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“使っていい情報/ダメな情報”の線引き──持ち込み禁止リスト(プロジェクト導入現場版)

AI活用で一番事故りやすいのは、出力の質ではなく「入力(持ち込み)」です。
プロジェクト導入の現場は、提案書・見積・契約・WBS・課題管理・障害報告など、社外秘・機微情報の塊です。ここで線引きが曖昧だと、便利になる前にリスクが勝ちます。

この回の目的は、導入現場で迷わないための 持ち込み禁止リスト を作ること。
「AIを使う/使わない」ではなく、“安全に使える形にして使う” ための基準です。

結論:迷ったら「入れない」。代わりに“抽象化”して使う

AIに渡したいのは固有名詞や原文ではなく、構造(論点・条件・判断軸・手順)です。
具体を守りながら、構造だけ借りる。これが導入プロジェクトで最も安定します。

  • NG:顧客名/案件名/金額/契約条件/提案書原文/設計書原文

  • OK:匿名化した前提、数値はレンジ、要点箇条書き、役割名で置換、テンプレ化

持ち込み禁止リスト(導入現場で特に危ない順)

1)顧客・案件が特定できる情報

  • 顧客名、案件名、プロダクト名、拠点名、担当者名

  • 画面名・帳票名・コード体系など、組み合わせで特定できる断片
    ポイント:「匿名化しても、文脈でバレる」ことが多い領域です。

2)提案書・見積・契約に関する情報

  • 見積金額、単価、原価、利益率、条件(支払・検収・責任分界)

  • RFP回答、提案書の差別化ポイント、競合情報
    理由:価格・条件は信用と競争力の中枢。漏れたときの損害が大きい。

3)WBS・体制・計画(人とコストが透ける)

  • 体制表(役割・人数・稼働率)、要員計画、スケジュールの詳細

  • リスク、炎上兆候、課題の深刻度が分かる情報
    注意:WBSそのものより「誰がいつ何をするか」が機微になります。

4)設計書・障害・運用の原文

  • 要件定義書、基本設計、詳細設計、IF仕様、障害報告、ログ

  • セキュリティ設計、権限、ネットワーク、内部URL
    理由:原文は再利用・流用の扱いも絡み、事故が複合化します。

5)個人情報・認証情報(ゼロトレランス)

  • 氏名、メール、電話、社員番号、顔写真、音声

  • パスワード、APIキー、トークン、秘密鍵、Cookie
    原則:1文字でも入れない。スクショにも写り込みます。

“入れていい形”に変換する:導入現場の抽象化テンプレ

置換ルール(最低限)

  • 固有名詞 → 「顧客A/業務部門B/意思決定者」

  • 金額・単価 → レンジ化(例:数百万〜、人月単価は非開示)

  • 原文 → 要点箇条書き(最大7点)

  • WBS → タスク構造だけ(週次日付・要員・稼働は落とす)

例1:提案書レビューをAIに手伝わせたい

NG:提案書原文、顧客名、競合名、見積金額まで貼る
OK:次の形に落とす

  • 目的:提案の説得力を上げたい(読み手=意思決定者)

  • 前提:顧客課題(抽象化した事実)

  • 制約:競合・金額・固有名詞は出さない

  • 依頼:弱い論点、想定反論、補強すべき根拠を列挙して

例2:WBSの叩き台を作りたい

NG:顧客名+稼働率+日付入りWBS
OK:タスク構造だけ渡す

  • スコープ:導入(要件→設計→開発→テスト→移行→教育→運用引継ぎ)

  • 制約:期間は「短期/標準/長期」の3パターンで

  • 出力:WBS階層(工程→タスク→成果物)と、抜けがちな論点

コピペ用:導入現場の安全プロンプト(入力点検)

以下はプロジェクト情報を抽象化したものです(固有名詞・金額・契約条件は含めない)。
もし「案件特定」「見積/契約」「WBS体制」「設計/運用原文」「個人情報/認証情報」
に触れそうな箇所があれば、
1)危険ポイント
2)安全な言い換え案
3)追加で確認すべき質問(抽象化したまま聞ける形)
を出してください。

よくある事故(導入現場あるある)

  1. “参考”のつもりで見積表を貼る(単価・条件が最も危険)

  2. WBSに人名・稼働率が残っている(体制が透ける)

  3. 障害報告・ログを貼ってしまう(情報量が多く、漏れ方が深い)

まとめ:AI活用は「入力の線引き」で勝負が決まる

導入プロジェクトでAIを安全に使うには、出力テクニックの前に「持ち込み禁止」を決める方が先です。
迷ったら入れない。抽象化して構造だけ渡す。これだけで事故率は大きく下がります。

次回は、AIの出力を「事実/推測/未確認」に分けて扱う、検証の型をまとめます。

※本記事は一般的な情報提供です。最終判断は所属組織の規程・契約条件・セキュリティ方針を優先してください。

次に読む:

シリーズ:仕事で使えるAI活用

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