ある日の極楽蜻蛉:ある日の春香伝1「桜の花の咲く頃に」
その年の桜の花の咲く頃はとても暖かく、中野哲学堂に会社の連中が集まって花見に出かけた。
4月というのに、哲学堂の桜の花は長持ちして、満開だった。
その頃の君は、新入社員だったね。
君のいでたちは、短パンにTシャツという、まるで夏の姿だった。

桜の花の下で輝くスレンダーな脚と腕は眩しくて、僕達の目はその容姿にうっとりとした。
やがて桜の木の下にシートが広げられ
幹事が調達してきたおつまみや酒と缶ビールが並べられた。
皆でビールで乾杯したが、酒が飲めない体質の君は、三ツ矢サイダーで乾杯したね。
ビールが終わり、酒の段になると、君は慣れない手つきで、皆にお酌してまわったね。
男達は、うっとりとしながら酒をかたむけていったよ。
君の頬に桜の花びらがハラハラ舞い降りて、春の強い日差しは君の顔や手足をほんのり紅色に染めていき、色っぽかったね。
その瞬間、僕はこの娘と一緒になりたいと思ったんだよ。
実話を交えたフィクションです
完
