「騙されていたのか?」7年の疑念が温かな絆に変わる瞬間。辻村深月『ツナグ』で最も心震えた一篇
『ツナグ』辻村 深月
まとめ
『ツナグ』辻村 深月
「待ち人の心得」が5つの短篇の中で一番印象に残りました。死者と生者をつなぐ使者という設定の中で、7年間の待ちと少しずつ明らかになる気持ちが静かに積み重ねられていく点が秀逸です。

① 婚約したばかりのキラリが失踪し、7年間待ち続けた土谷が使者に会うことを依頼する設定が魅力的です。
② 疑いの気持ちと待ち続けたい気持ちの間で揺れる土谷の葛藤が丁寧に描かれています。
③ すべてが繋がった瞬間に溢れてきた哀しみと、残る絆の温かさが心に残る作品でした。
辻村深月さんの短篇らしい静かな心理描写が光る一篇です。待つことの痛みとつながりの意味を深く感じられる作品でした。ぜひ読んでみてください。
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感想
『ツナグ』辻村 深月
「待ち人の心得」が5つの短篇の中で一番良かったです。この短篇が優れていたのは、死者と生者をつなぐ使者という設定の中で、7年間待ち続けた土谷の葛藤や、使者を通じて少しずつ明らかになるキラリの気持ちが、静かに積み重ねられていく点にありました。
婚約したばかりの日向キラリがある日突然失踪します。7年間、彼女を待ち続けた婚約者の土谷は、死者と生者をつなぐ使者である渋谷歩美に、キラリと会うことを依頼します。
キラリのことを何も知らないのではないか、自分は騙されていたのではないかという疑いの気持ちと、彼女を待ち続けたいという気持ちの間で土谷は葛藤します。しかし、使者を通じてキラリに会うことの意味や、キラリが会うと言うことの気持ちがすべて繋がった瞬間、別れと再会、絆の深さ、そして失ったことの哀しさが、私の中に溢れてきました。特に、失ったものの大きさと、それでも残る絆の温かさが同時に感じられたのが印象的でした。
この作品を通じて、待つことの痛みとつながりの意味を深く感じることができました。特に、溢れてきた哀しみの中にあった絆の温かさが、今も心に残っています。
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