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【まずいのは経営だけ。湯は極上。銚子電鉄で行く、犬吠埼・白亜紀温泉ひとり旅】千葉県 銚子グランドホテル宿泊記【おひとり様女子旅記録】

銚子電鉄に揺られて、犬吠埼へ。
白亜紀の冷泉で“夏支度”ひとり温泉旅

夏至も過ぎたこの時期。
いよいよ、
蒸し暑い季節がやってくるに違いない。

そう思った私は、ひと月ほど前に、
ある宿を予約しました。

目的は、温泉交互浴。
温かい温泉と、冷たい温泉に
交互に入る入浴方法です。

来たるべき夏本番に備えて、
身体を内側から整えておきたい。

できれば、潮風と波音付きで。

そんなわけで向かったのは、
千葉県銚子市・犬吠埼にある
銚子グランドホテルです。


……が。
この日は、台風が近いような梅雨空。

思っていたより、なんとなくヒンヤリ。

「蒸し暑い日に冷泉でととのうぞ!」
という私の計画は、
出発前から少しズレました。

旅とは、だいたいこういうものです。

そして、そのズレすら楽しいのが、
ひとり旅です。

一年ぶりの犬吠埼へ

銚子グランドホテルには、
2024年3月に初めて伺っています。

前身は、犬吠埼で一番大きな、
豪華絢爛な老舗リゾートホテル
「グランドホテル磯屋」。

3.11の震災による風評被害などを
乗り越えられず廃業したのち、
中国系カナダ人の投資家さんに買収され、
「銚子グランドホテル」として
生まれ変わりました。

大きな廃墟ホテルだった建物が 
再び灯りをともした。

その再開業直後に泊まったときの記事は
こちらです。

あれから1年に一度は
あの海の前のお宿に泊まりたくなり、
銚子へ向かっています。

銚子駅といえば、まず醤油樽
銚子駅に着くたびに、つい撮ってしまうものがあります。
それが、醤油樽。

「また撮るの?」と自分でも思うのですが、
銚子に来たぞ、というスイッチが
ここで入るのです。


ここから銚子電鉄に乗り換えます。
経営難で有名な銚子電鉄。
ですが、そのたくましさとユーモアが、
もはや観光資源そのものです。
ネーミングライツで収入を得ているようで、
来るたびに駅名が変わっています。

銚子駅は、今は「ルートインホテルズ銚子」。
もはや、どこまでが駅名で、
どこからが広告なのか。
旅人の読解力が試されます。



電車は一時間に一本。

レトロで可愛らしい車両がやってきました。
この日乗った車内は、ネコとお魚がモチーフ。
木製の吊り革まで可愛らしくて、 
乗った瞬間にウキウキします。



そして人気スポット、緑のトンネルへ。
車窓いっぱいに緑が迫ってくるあの感じ。

トトロに会えそうで、
でも出てきたらたぶん
銚子電鉄の経営相談をされそうです、笑



途中の駅も、個性が強い。

かさがみくろはえ駅は、なぜかナウル共和国。
もう本来の駅名がわからなくなってきます。

ネーミングライツで
各駅年間100万円の収益になるそうで、
前回来た時、車掌さんに聞いてしまいました。

聞く私も私ですが、
教えてくれる車掌さんも優しい。

車内には
クラウドファンディングに参加した方の
お名前でできた路線図が!

犬吠駅、別名「アドナイ・エレ」

犬吠駅で下車しました。

現在の駅名は「アドナイ・エレ」。
……何のこっちゃ、です。

でも、銚子電鉄に来ると、
「何のこっちゃ」も含めて旅情です。

駅の売店には、
エッジの効いたお土産がずらり。

まず、銚子電鉄名物、まずい棒。

経営がまずい、ということで、
味は美味しいらしいです。
ショートケーキ味に至っては
「資金もショートしてます」。

斜めになっているショットグラスは
「経営が傾いてます」。
赤字が消える暗記セット。
尻拭いトイレットペーパー。


もう、ダジャレの宝庫。
シャッターが止まりません。

ここだけ見ると、
ずいぶん余裕がありそうです。

いや、余裕がないからこその、
この強さなのかもしれません。

銚子電鉄、強すぎます。

まずは、駅前の島武さんへ

この日のお宿は、夕食なしのプラン。
なので、犬吠駅前にある
回転寿司・魚料理 島武さんで、
海の幸をいただくことに決めていました。

銚子港で水揚げされた旬の魚や、
珍しい地魚が楽しめるお店です。

玄関を入ると、
回転寿司は右側へ、魚料理は左側へ。

一つのお店の中で、
右と左に運命が分かれます。

前回は魚料理の方にしたので、
今回は回転寿司へ。


お品書き


銚子に来たら、
深海魚のアブラボウズはマストです。
イワシ、大トロ、海老汁。
そして名物の伊達巻。


この伊達巻が、甘くてプルプル。
これはもう、卵料理ではなくデザートです。
スイーツです。
最後に食べないと、
「しまった、締めを間違えた」となるやつです。

お腹も満たされたので、
腹ごなしに犬吠埼灯台までお散歩。
風が強い。

左側の白い建物が
今日の宿です。


潮風に吹かれるというより、
潮風に軽く指導されている感じです。

犬吠テラステラスに立ち寄りました。

地元野菜や海鮮、
お土産物が充実していて、
見ているだけで楽しい場所です。

2階には、
海を見渡せるハンモックコーナーもあります。
ここでうっかり横になったら、
もう宿に行けなくなる予感がしたので、
今回は大人しく見学だけにしました。
そろそろお宿へ向かいます。

犬吠埼灯台

海へ下っていく道
ホテルの看板が見えてきました。
日帰り温泉もやっています。

海へ下っていく道を歩いていると、
子どもの頃、海水浴へ行く時に、
いつもこんな感じの道を降りて行ったことを
思い出しました。
少し坂を下るだけで、空気が変わって、
潮の匂いが濃くなる。
この感じ、なんだかワクワクします。


このお宿は、連絡すれば
銚子駅まで車で迎えに来てくれます。
これは本当に素晴らしいサービスです。

でも今回は、銚子電鉄に乗って、
犬吠駅からのんびり歩いてみました。

車で送っていただく安心感もいいけれど、
電車に揺られて、駅から歩いて、
少しずつ海へ近づいていくのもまた新鮮です。

ホテルは、海の目の前。

建物自体は、 
閉業したホテルに手を加えたものなので、
ところどころに時代を感じます。
でも、その“時代を感じる”部分も含めて、
ここには独特の味わいがあります。



チェックインの手続きをしてくれた
アジア系のスタッフの女の子が、
「また来てくれてありがとうございます」
と言ってくれました。

こちらこそ、ありがとうです。

一年ぶりに会ったら、
日本語がものすごく上手になっていて、
なんだか親戚のおばちゃんのような気持ちで、
心の中で拍手してしまいました。


フロントには、
日の出と日の入りの時間がわかる案内があります。


ロビーからは、窓いっぱいに広がる銚子の海。
レトロな電話ボックスもあります。
ただし、ボックスだけで公衆電話はなし。
その潔さも、また良いです。



ウェルカムドリンクをいただきに行きました。

以前あった、
自分でお煎餅を焼いて食べられるサービスは
終了していました。


銚子のお醤油、ヒゲタとヤマサを
焼きたてのお煎餅に塗って
食べ比べできたのですが、
あれはとても楽しかったので、
少しだけ寂しい。

湧水、柔らかくて美味しかった。


でも、こうして
再生した大きなお宿を続けていくことは、
きっと簡単なことではありません。

変わっていくものもありながら、
今あるものを大切に味わいたいな、と
思いました。

セレクト浴衣コーナーもあります。
客室にも普通の浴衣は用意されていますが、
せっかくなので可愛い柄をお借りしました。



お部屋までの案内サービスは、
今はないようです。
でも、ひとり旅だと、
その方が気楽でありがたい時もあります。

ひとりには広すぎる、贅沢すぎる和室

お部屋は、12畳の和室に広縁付き。
スタンダードルーム禁煙。
そして、オーシャンフロント。


広い。
広すぎる。
ひとり旅なのに、
部屋の中で小さな合宿ができそうです。

相変わらず、テレビが直置きなのには、
やっぱりちょっとびっくりします。
冷蔵庫には、お水のサービス。



広縁の立派なソファーセットに座ると、
目の前には海。灯台。

波の音が心地よく響いて、
ただ座っているだけで、
どんどん身体の力が抜けていきます。



ああ、来てよかった。
そう思ったところで、
さっそくお風呂へ向かいます。

お風呂用のカゴも用意されています。
こういうカゴ、なんだかんだで本当に便利です。



温泉へは、いったんロビー階に降りて、
専用階段で2階へ。

エレベーターもあります。



左側が天然温泉の岩風呂。
右側が眺望抜群の展望風呂。




いつも人気の展望風呂に、
まだ誰もいなかったので、
先にそちらへ行ってみました。


雄大な海原を一望できる展望風呂。
寝湯もできます。
犬吠埼灯台も近くにきれいに見えます。


ロケーションは、たしかに抜群。
でも、私のお目当ては別にあります。
それは、
1億2千年前の白亜紀の地層から湧き出た
天然温泉

お宿自慢の砂岩風呂です。

サウナもあります

白亜紀の地層から湧く、しょっぱい温泉

砂岩風呂は、眺望があるわけではなく、
少し暗めの落ち着いた雰囲気です。

だからなのか、
いつ行ってもあまり人がいなくて、
大抵ゆっくり独泉できます。

浴槽は、左から水風呂、源泉冷泉、加温温泉。


千葉県で温泉交互浴ができる場所は、
私が今のところ知る限り、
ここと亀山温泉ホテルくらいです。

温泉交互浴は、初心者は
「温」で始まり「温」で終わる。
慣れてきたら、
「冷」で始まり「冷」で終わる。
……らしいです。

私はまだまだ初心者。
まずは加温湯から。

入った瞬間、思わず心の中で叫びました。
気持ちいいーー。


海沿いの温泉の匂い。
塩化物泉の香り。
肌あたりはマイルドなのに、
しっかりしょっぱい温泉です。

温まったら、25度の源泉へ。

これが、なんとも言えない至福。
ひんやりしているのに、
刺すような冷たさではなく、
身体がふわっとほどけていく感じ。



塩分が多いのか、身体がぷかぷか浮きます。
加温湯。
源泉冷泉。
また加温湯。
また源泉。

気づくと、2時間、3時間が溶けています。
温泉交互浴、恐ろしい子。

この岩風呂には、
天然の岩石「銚子石」が使われているそうです



海の目の前で、
白亜紀の地層から湧いた温泉に浸かる。

それだけで、なんだか
地球規模の贅沢をしている気分になります。

お風呂上がりには、嬉しいアイスのサービスもありました。

こういう一口の幸せ、旅先では沁みます。


波音の子守唄
お部屋に戻り、お布団にゴロンとした途端、
数時間、爆睡してしまいました。

寝ようと思ったわけではありません。
気絶に近いです。

温泉と波音の力、すごい。

夜は、波の音が静かに響いていました。
まるで自然の子守唄のようです。

朝4時ごろ、ふと目が覚めて外を見ると、
予報通りのあいにくのお天気。

時間とともに移ろう光と波の表情。
それを眺めているだけで、
心が静かに整っていくのを感じます。




朝風呂は4時頃から。
日の出の時刻に合わせているとのこと。


本当なら
展望風呂から日の出を楽しめるのですが、
今日は無理そうです。

雨が降り出しました。


私はやっぱり岩風呂へ向かいました。

朝ごはんの時間まで
それまでまた交互浴で時間を溶かします。
朝から贅沢すぎる時間の使い方です。

オーシャンビューの朝ごはん

朝食は2階の食事処でいただきます。
時間は8時か8時半から選べます。
こちらも素晴らしいオーシャンビュー。

朝の海を眺めながらいただく和定食。
これだけで、もう心が満たされます。



中でも塩サバが素晴らしかったです。
皮はパリパリ。
身はふかふか。

厚みは2センチくらいあったんじゃないかと
思うほど。

これは優勝です。


幸せ贅沢朝ごはん。

美味しくいただいた後は、
急いで締めの一湯へ。
お風呂は9時までなのです。
最後まで温泉を味わい尽くす。

ねっとりと濃い冷泉。
なかなかやめられない…



これが、おひとり様温泉旅の大事な仕事です。

ロビーには朝のサービスコーヒー。


デザートやラムネも売っていました。


チェックアウト前に、もう一度海を眺めます。


ロケーションの贅沢さ。
白亜紀の地層から湧く温泉。
波音に包まれるお部屋。

そして、
一生懸命に迎えてくださるスタッフの皆さん。

肩の力がすっと抜けるような、
やさしい安らぎを味わえた滞在でした。

変わっていくところもある。
残っていてほしいものもある。
それでも、また来たいなと思えるお宿でした。

海まで徒歩10歩。
朝日も夕日も楽しめる犬吠埼。

次に来る時は、
今度こそ、
蒸し暑い日に冷泉を思い切り味わいたいです。

温泉分析書


でもきっと、天気が外れても、
また同じように
「来てよかった」と思うのでしょう。

銚子電鉄に揺られて、
ダジャレに笑って、
海を見て、
しょっぱい温泉に浮かぶ。

犬吠埼のひとり旅は、
少しレトロで、少し不器用で、
でもとても愛おしい時間でした。


千葉県 犬吠埼温泉 
黒潮の湯 銚子グランドホテル
泉質:含ヨウ素ーナトリウムー塩化物強塩温泉
源泉温度:25度
入浴可能時間:4:00-9:00 / 12:00-23:00
2026年6月24日(水)宿泊
プラン名:海辺の憩い宿~海の音色に包まれて
~ のんびりステイ【朝食付】
13,040円+入湯税150円

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