見出し画像

『私の腰痛は15年間治らなかった』 −"バカの壁"を越えて−

序章|28歳のぎっくり腰、そして15年の停滞

28歳のある日、突然それはやってきました。
軽い羽毛布団を持ち上げようと屈んで立ち上がろうとした瞬間、腰に電流のような激痛が走り、その場に崩れ落ちた。診断は「ぎっくり腰」と「腰椎椎間板ヘルニア」。
それ以来、慢性的な腰痛を抱える人生が始まりました。

思い返せば、その前から膝を痛め、足首は慢性の捻挫を繰り返していました。
しかし、私はそれらを「別問題」と考え、腰の痛みは腰そのものに原因があると信じて疑いませんでした。
整形外科に通い、マッサージを受け、電気治療や湿布にも頼った。
しかし一時的に軽くなることはあっても、数日で元通り。
痛みと不安は私の日常になり、やがてそれを「仕方のないこと」「一生付き合う腰痛」と受け入れるようになっていったのです。

この期間は実に十五年。
「なぜ治らないのか」と考えることもなく、ただ腰が悪いのだと決めつけていた自分。
いま振り返れば、それこそが養老孟司先生のいう“バカの壁”でした。
知らないことを知らない。この無知の壁の中に、私は長く閉じ込められていたのです。

しかし、この壁を越えたとき、腰痛だけでなく、體そのものに対する理解が一変しました。
痛みの正体は腰ではなく、もっと複雑で精緻な連鎖の中に隠されていたのです。



第1章|腰痛=腰の問題だと思い込んでいた

― バカの壁の正体

腰が痛ければ、その原因は腰にある。
多くの人が抱くこの単純な思い込みに、私自身もどっぷり浸かっていました。整形外科で「椎間板が潰れていますね」と言われれば、それがすべての原因だと信じ、湿布や鎮痛剤に頼る。整骨院で「骨盤が歪んでいます」と言われれば、矯正を受けて納得する。
マッサージで一時的に楽になれば「これで治る」と期待する。

しかし、どれだけ通っても根本的な改善はなく、数日で痛みは戻ってくる。
にもかかわらず、私は「腰痛=腰」という前提を疑おうともしませんでした。
むしろ「治らないのは自分の努力不足」と思い込み、さらに治療に通い続けたのです。

いま振り返れば、この思考そのものが“バカの壁”でした。
養老孟司先生が指摘した「知らないことを知らない」という状態。
つまり、私の場合は「腰痛の原因は腰にしかない」と決めつけ、それ以外の可能性を知らないことにすら氣づいていなかった。

本当は、膝の古傷や足首の捻挫が全身のバランスを崩し、骨盤の固定や筋肉の拘縮を引き起こしていた。
血流や栄養状態の滞りが、慢性の炎症と代謝低下を招いていた。
しかし、その「全身の連鎖」を見る視点を持たなかった私は、腰だけを責め続け、15年という時間を失ってしまったのです。

腰痛という症状は、あくまで「結果」にすぎません。
しかし私はその結果ばかりを追いかけ、原因にたどり着こうとしなかった。これこそが、最初にぶつかった「壁の正体」だったのです。

ここから先は

5,851字 / 1画像
この記事のみ ¥ 1,000
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

人体は、骨や筋肉を積み重ねた「部品の集合体」ではありません。張力と圧縮が全体で均衡するテンセグリティ構造として存在しています。本マガジンで…

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?