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ふたご座流星群を見よう

まもなく、ふたご座流星群が極大を迎えます。
ふたご座流星群は8月のペルセウス座流星群と並ぶ大流星群です(本当は1月のしぶんぎ座流星群を加えて三大流星群と呼ばれますが、しぶんぎ群にそれほどの実力があるとは思えません)。

ふたご群は裏切りません。

最近はマイナーな流星群までマスコミに取り上げられるので、流星群不信になっている人もいるかもしれませんが、ふたご群は確実に数の出る流星群です。

流星痕を伴って、ぐおん!と流れていくペルセウス群や、胸のすくような高速流星のしし群のような派手な特徴はありませんが、ひかえめな流星がスッスッスッと流れるふたご群も悪くありません。空の暗いところなら1時間に数十個、街中でもしばらく見上げていればいくつかの流星を見ることができると思います。

流星群というと雨のように降る流れ星をイメージするかもしれませんが(「星の瞳のシルエット」のせい?!)、さすがにそこまでは期待できません。2001年のしし座流星群がそのイメージに近い、まさに流星雨でしたが(その時は「もうこれからの人生に幸せなことがなにもなくてもいい」と思いました)、そんな光景が見られるのは数百年に一度くらいでしょう。

2001年 しし座流星群 2001.11.19 皇座山
CONTAX G1 Biogon21/2.8

流星群の流星は、空の一点を中心に放射状に流れるように見えます。流星群の名前は、その点(輻射点)のある星座の名前(より細かくは、その点に近い星の名前)がつけられます(ジャコビニ流星群のように、親となっている彗星の名前が通称として広まっているものもあります)。

ふたご座流星群(ふたご座α流星群)は、ふたご座のα星(=カストル)のそばに輻射点があり、ふたごの頭のあたりを中心に流星が流れていくように見えます。

2015.12.14 常陸大宮
EOS 6D EF24/1.4LII, f2.0 15sec ISO2500

だからといって、ふたご座の方向にだけ流星が流れるわけではありません。流星群を見るなら、空が暗く、できるだけ星のたくさん見える方向(多くの場合は真上)を見るのが一番です。ふたご座が高い位置に来るのは夜遅くなってからですし、経路の長い見応えのある流星が流れるのは、むしろ輻射点から離れたところです。

2017.12.14 常陸大宮
EOS 6D EF24/1.4LII, f2.5 8sec ISO2500

今年のふたご座流星群の極大は12月14日の22時すぎ、とても見やすい時間です。その頃まではまだ月ものぼってきませんので、月明かりにじゃまされることもありません。夜遅くなると月の影響がありますが、深夜以降に見るつもりのない人にとっては、かなりいい条件と言えるでしょう(一番大事なのは晴れることですが、それは祈るしかありません)。

2018.12.14 常陸大宮
EOS 6D EF24/1.4LII, f2.2 10sec ISO1250

流星はなかなか写真に写りません。

3等級の星は簡単に写真に写りますが、3等級の流星はほぼ写りません。流星は高速で動くので、露光時間を長くしても意味がありません。

より暗い流星まで写すなら、感度を上げて、絞りを開いて、露光時間を短くした方が効果的です(夜空はけっこう明るいので、感度を上げて、絞りを開くと、露光時間を長くすることができません)。ただし、露光時間が短いと多くのコマ数を撮る必要がありますし、露光途中で流星が切れてしまう可能性が高くなります。わたしは暗い流星をあきらめて、ISO2500, f2.5, 10秒くらいにすることが多いです。(この記事中の写真には撮影データも載せました)。

2019.12.14 霞ヶ浦湖畔
EOS 6D2 EF24/1.4LII, f2.8 4sec ISO640

大学生時代、天文サークルで流星の観測をしていました。
流星群の日はもちろんですが、そうでない日も、深夜に数時間、何人かで集まって、寝袋の中から空を見上げました。

流星なんてほとんど流れなくてもいいのです。目のまえに広がる星空をただずっと眺めていると、自分が宇宙に浮かんでいる感覚になってくる、その感覚が好きなのです。

2020.12.14 矢祭
EOS 6D2 EF24/1.4LII, f2.2 15sec ISO2500

流星群は星空を見上げるいい機会です。

できれば視界の開けた場所で寝転がって、真上を見てみてください。他のことは考えずに、ただ星空に意識を委ねましょう。

その時に感じる「宇宙に浮かんでいる感覚」
それは「自分の存在がほとんど無であることの実感」です。

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寒い時期ですので、くれぐれも万全の防寒対策を忘れずに。

流星は宇宙空間を漂う小さな粒が地球の大気にぶつかり、上空約100kmで発光する現象です(その粒が燃え尽きずに落ちてくると隕石になります)。流星群は「同じ向きに動いているたくさんの粒」と地球がぶつかることで起こります。「同じ向きに動くたくさんの粒」の正体は、彗星の落とし物です。流星になる粒(流星物質)の親である彗星は母彗星(または母天体)と呼ばれます。ふたご座流星群の母天体は彗星ではなく(昔は彗星だった)小惑星だと考えられています。
彗星は氷のかたまりで(よく「汚れた雪だるま」と表現されます)、太陽に近づくと表面が昇華し、そこに含まれる粒も放出されます。彗星から放出された流星物質は、母彗星とほぼ同じ速さで太陽の周りをまわりながら、少しずつ彗星を離れ、彗星の軌道上に広がっていきます。彗星が近くにいなくても、その軌道に近づくだけで毎年流星群が見られるのはこのためです(しし座流星群のように流星物質が母彗星の近くに集中していて、彗星の回帰の前後にのみ大出現する流星群もあります)。地球は毎年同じ場所で同じ彗星の軌道と交わりますので、そこで流星群が起こります(年によって極大時刻が違うのは、「同じ場所」を通る時刻が年によって異なるからです)。ふたご座流星群の極大は太陽黄経262.2度(地球が太陽の周りを春分点から262.2度まわった位置にきた時)で、今年はこれが日本の時刻で12月14日の22時過ぎにあたります。その時間だけでなく、その前数日と後ろ1日くらいはそこそこの数が流れます。「ふたごは極大前夜」の格言がある通り、13日の夜も注目ですが、今年は月のことを考えても14日夜が最高の条件だと思います。

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追記(2022/12/15)

2022.12.14 常陸大宮
EOS 5Ds EF24/1.4LII, f2.5 10sec ISO2500

冷たい北風のおかげで澄んだ星空の中、ふたご群を見てきました。

上の方でふたご群のことを「派手な特徴がなくてひかえめ」なんて書いていますが、昨夜は数十秒の永続痕(流星が流れたあとに消えずに光り続けている痕)を残すマイナス等級のものも含めて、明るい派手な流星がいくつか流れました(残念ながらカメラの視野内には大きなものは流れませんでしたが)。

来年以降のふたご座流星群も楽しみです。

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kimura noriaki 「科学」と「写真」を中心にいろんなことを考えています。