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生成AIで変わる肖像権

肖像とは人の顔や外観のことですが、人を撮影した写真、描いた絵画、模した彫刻なども意味します。

そして自分の肖像とみだりに利用されない権利として、肖像権があります。

この肖像権ですが、生成AIの普及で解釈が変わりつつあるため検討が行われています。

この記事では、肖像権の概要、肖像権の解釈が微妙なケース、肖像権の検討会、について取り上げます。


■肖像権の概要

肖像に関する権利で、具体的には自分の顔や姿を勝手に撮影されたり、撮影された写真や動画を無断で公開・利用されたりしないための権利です。

□根拠となる法律がない権利

例えば、基本的人権は日本国憲法で、著作権は著作権法で定められています。

このように権利は、法律で定められています。

ところが肖像権は直接定めた法律がなく、民法や個人情報保護法や不正競争防止法などの法律や、判例(裁判での判決)の積み重ねにより認められている権利です。

この肖像権には、プライバシー権とパブリシティ権があります。

□プライバシー権

プライバシー権は、私生活をみだりに公開されることを防ぐための権利で、誰もが対象になります。

このような尊厳や名誉を守る権利を人格権といい、他人に譲渡することはできません。

プライバシー権の具体例ですが、勝手に写真を撮られない権利、住所や秘密を漏らされない権利、があります。

□パブリシティ権

例えば、タレントが広告に出ることでその商品の売上が上がる場合、そのタレントの肖像には経済的価値(肖像権関係では、顧客吸引力という用語を用います)があります。

このような、肖像の経済的価値を守るための権利です。そのため芸能人やプロスポーツ選手など、経済的価値を持つ人が対象になります。

財産的価値に関する権利であるため財産権といい、契約等で譲渡できます。

パブリシティ権の具体例ですが、ブロマイドや、キャラクター商品や、商品の宣伝等で、勝手に肖像を使われない権利となります。


■肖像権の解釈が微妙なケース

□公道でのデモ行進の撮影

デモ行進は、自分たちの主張を多くの人に示すために、自分の肖像を公開して行進しています。そのやめデモ行進を撮影した映像で、写っている人が肖像権を主張するのは矛盾します。

ただし昔はともかく、大勢の人がデモ行進している場合で、一人一人の顔をアップで写し続けた場合は肖像権の侵害になる可能性があります。

□野球の試合や相撲の中継で客席にいる人の撮影

これは、自分も写ることがあらかじめ分かっている場所に行くのですから、背景で写りこむ程度のことはとやかくいえません。

ただしデモ行進と同様に、一人一人の顔をアップで写し続けた場合、肖像権の侵害になる可能性があります。

□Youtubeなどの動画での公開

当然ですが動画で出演される人は、事前に撮影許可をとります。

街中を写した場合、誰か特定される写り具合の人には、モザイクをかけるなどして、肖像権に配慮します。

□事件での犯人の肖像

犯罪捜査の必要性・緊急性がある場合の警察による撮影や、公益目的のメディアによる報道は正当業務行為として違法性が阻却されます。

つまり、ニュースで事件の犯人の映像が掲載される、指名手配で犯人の顔写真が公開される、のは正当だということです。

ただし、万引きや盗撮などの犯人であっても、一般人が私的制裁としてSNSや店舗に顔写真を無断で公開すると、名誉毀損や不法行為に該当する可能性があります。

□雑誌の記事などで使われる芸能人の肖像

これについて、ピンク・レディー事件という代表的な裁判があります。その判決では、パブリシティ権の侵害となるのは、

・肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する(ブロマイドなど)
・商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等で利用する(キャラクター商品など)
・肖像等を商品等の広告として使用する

であるとされました。なお、この判決ですが、芸能ニュースなどを伝える(芸能界と持ちつ持たれつの関係にある)雑誌の出版社を訴えた裁判で下されたものです。


■肖像権の検討会

生成AIの普及で民事責任の在り方が問題となっており、令和8年より法務省で「肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」が開催されています。

この検討会の取りまとめ報告書(肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会取りまとめ報告書―生成AIによるパブリシティ権侵害等に関する解釈指針―)で、以下の想定事例が検討されています。

(1)想定事例1(映像作品への俳優の肖像の無断利用がされた事案)
(2)想定事例2(配信音源への歌手・声優の声(キャラクターの声をむ。)の無断利用がされた事案)
(3)想定事例3(性的画像・音源への俳優の肖像・声優の声の無断利用がされた事案)
(4)想定事例4(収益目的なく俳優の肖像・声優の声の無断利用がされた事案)
(5)想定事例5(本人が所属事務所に対してパブリシティ権の独占的利用許諾又は譲渡を約定している事案)
(6)想定事例6(本人の死後に映像作品への俳優の肖像の無断利用がされた事案)
(7)想定事例7(本人の死後に性的画像への俳優の肖像の無断利用がされた事案)

出典:https://www.moj.go.jp/content/001468286.pdf


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木村宏一 お心遣いありがとうございます。この記事への反響としても、受け止めさせていただきます。