12月10日(水) 343/365 技能士試験直前リハーサル。
水曜日の着装教室。
今日も直前まで着て行く着物のネタが思い付かず、新たに掛けたハギレ半衿の半襦袢にしようとすると、そのままハンガーに掛かったままのウール着物に手を出し、今日は可能なら後見結びの自装をやってみようかとと思い、そうなると帯は半幅帯の方が扱いやすいし、この着物だとこの半幅帯、帯締めは黒猫にするか…と、スルスル決まっているようだが、実はただの成り行きという格好で落ち着いた。
授業が始まった直後、部屋に入ってきた人がいた。大きめのキャリーケースと一緒にやって来た人は着装教室の上のクラスで学んでいる、まだ若い男性だ。彼は女性を伴っていて、午後に行われる『着付け技能検定』に臨む前に、最後のリハーサルの為に訪れたそうだ。
『着付け技能検定』は国家資格で、2級と1級がある。1級試験に臨む彼は、着付けをするモデルを連れて来たという訳だ。実技試験課題は『振袖着装、ふくら雀』。
女性は狭い場所でいそいそと下着に着替え、その状態から長襦袢を着付ける。制限時間は15分。私は隣りで他装の練習をしつつも、彼らが気になりついガン見してしまう。人の着付け風景なんて、そうそう見ることがないからある意味チャンスだ。補正は何をどう当てがっているか、伊達締めの結び方などツブサに見る。
モデルになっている人は、日舞仲間だそうで、それなら着物を着慣れているし安心だ。ある人はやはり1級試験を受けるのに、モデルを確保することが大変だったと話していた。受験者、つまり着せる人が男性=異性だと、生理的に受け付けない人もいるだろう。
また普段着慣れていないとか、プロポーションが良すぎて補正箇所が多過ぎる人も、試験という場所には向かないかもしれない。
長襦袢は余裕を持って終え、次は長着と帯結び。制限時間は25分。
長着を着せ掛け、長襦袢の袂を畳んで手渡し、モデルが袖に腕を入れ、袂をそっと落とす…当然ながら、モデルと会話してはいけない。通常の着付けならば、コミュニケーションしながら進めると思う…それこそ紐の締め具合とか、違和感の有る無しを確認したりしながら。しかし試験ではそういったことは一切NGだ。
帯を結び終え、小物の始末をし、おはしょりを整えて…終了。時間内に収まっている。出来上がりを見せてもらったが、ふくら雀の羽根のバランスも良く、おはしょりも衿周りもすっきりキレイだ。
これなら大丈夫そうじゃない?と思えるが、審査員はとにかくアラを探しまくるそうだし、予期せぬ焦りが襲ってきて、普段ならやらない事が起きたりするのが『試験』というものだ…先生も常々『試験は水モノよ』と言っている。
ま、普段通りやって、あとは天に委ねるしかない。
技能検定については、個人的に『どうなんだろう?』と思うこともある…着物に直結する国家資格はこの着付け技能士と和裁技能士しかない。就職を有利にする為、または個人的理由で取れるだけの資格は取っておこう、という人もいるだろうし、依頼する側も、技能士資格保有者か否か、を判断にする人もいるだろう。
…しかし、私としては払拭しきれないモヤモヤがある。端的に言えば『資格が全てなのか?』という話なのだけれど…ちょっとこの話は後日に譲りたい。
