【スランプはチャンス!】イラスト上達の道しるべ【その1】
スランプとは何か?
イラストを描いていらっしゃる方々の間で稀に聞かれるスランプにつきまして書かせて頂きます。
まず初めに結論から、実はスランプというものは存在致しません。
「え?スランプはチャンス!って銘打っておいて?詐欺なの?」と思ったあなた様の疑問は最もでございます。ですが早合点なさらないで下さいませ。
確かにそういった状態が現れることはございます。ですがそれは世間一般で言われるスランプとは違うのです。
一般的にスランプと言われる状態
・今まで描けていたのに急に何のアイデアも浮かばなくなった
・急に絵が下手になってしまった・・・
・描く気が起こらず何をしても上手くいかないように思える
このような解釈をされているものと思われます。
ですが、こちらを一言「スランプ」というもので一括りにするのは些か乱暴でございます。
物事は必ず原因と結果がセットでございます。
スランプと言われる状態の原因は何でございましょう?
「急に・・・・」とおっしゃいますが、元をたどれば起因となっている事柄が必ずございます。それは人によって千差万別ですので一概に決めつけられませんが、3つの例をご覧頂いて一緒に考えて参りましょう。
そこにスランプをチャンスに変えるヒントが隠されております!
スランプと言われる現象の実例
・今まで描けていたのに何のアイデアも浮かばない状態
お辛い状態でございますね。描きたいものが分からなくなったり、何を描けば正解なのか迷ってしまわれたり・・・。
こちらは考えられる原因の一つに「アイデアの容量」が関係していることが挙げられます。要するにアウトプットしすぎてアイデアの容量が空になってしまっている状態でございます。
楽しいこと、美しいもの、新しい刺激などがありますと、人は感銘を受けて想像力が広がり新しい発想が生まれやすくなります。基本的にインプットしなければアウトプットはできません。
スランプの状態になる前に、ご旅行に行かれたり、芸術鑑賞されたりしていらっしゃいますか?お友達とお出かけされたり、素敵な映画をご覧になったり、そういったことをされましたか?
ひとつのことに集中するのは大切なことですが、インプットする方法もお考え下さいませ。イラスト制作に集中するあまり、それ以外が疎かになってはいませんでしょうか?
そんな時こそワクワクするようなことがあれば積極的に行動致しましょう!イラストのことは一時忘れてしまっても構いません。それによって逆に今までより素晴らしいアイデアが想起するかもしれません。
・急に絵が下手になってしまった・・・状態
こちらも多く聞かれるスランプの代表格と言ってよい状態でございますね。
しかし、ご安心下さいませ。こちらはむしろ喜ばしい状態でございます。
「いや、下手になっているのに喜ばしいって・・・嫌味?」とお考えのあなた様、また早合点していらっしゃるので焦らずに続きをお読み下さいませ。
人が成長するときに、一番早く成長するのはどこだと思われますか?
ご存知の方もいるかと思いますが、「脳」でございます。
体は成長するのにとても時間が掛かりますが、脳の成長は驚くほど速いのです。昨日聞いた楽曲を今日口ずさむということもできます。対して、昨日腹筋したからと言って今日シックスパックにはなりません。
イラストを描くとき使っていますのは、脳と身体の両方です。
両方使うと、どう成長するのでしょう?
脳→身体の順に成長する、ということになります。
絵が下手になった、と感じるのは実際に下手になったのではなく、あなた様の脳が成長して今まで見られていなかった部分や理解できなかった部分が分かるようになったからにございます。
これまではデッサンの狂いに気づかずよく描けたと満足していたのに、今描いてみると描けていないことを理解してしまい、直したいのにそれを上手く表現できずに苦戦して、いつまで経っても描けない、絵が下手に・・・となる。それは頭で分かっていても手が追い付いていないだけなのです。
技術力というのは一日で大きく変わることはありません。繊細な線の描写、描き方の処理、色の表現など、思い描いていても描けるようになるには訓練が必要でございます。
ですが、ここまで読んでお気づきかと存じますがこの状態は自身が成長している最中ということでございます。しかも急激に成長しているところで、言わば成長痛と同じです。
今は苦しいかもしれませんが、脳に身体の成長が追い付いた時、どんな世界が広がっていますでしょう。今までは「さすが神絵師は違うな」と思っていたような素敵なイラストを、ご自身でも描ける様になっているかも知れません!
スランプを抜けた方のイラストが一段と素晴らしく目に映りますのは、その方の成長が他者から見ても明らかなくらいである証拠でございます。
スランプだからと描くのを辞めてしまうのではなく、成長途中なのだからと思って踏ん張ってみて下さい。きっと素晴らしい体験が待っている事と確信しております。
・描く気が起こらず何をしても上手くいかないように思える状態
こちらは大きく2つの要因が考えられます。
1つ目はいわゆる鬱の状態になってしまわれている。
2つ目はお心に怒りをお持ちの状態のとき。
こちらは少し危険で、特に鬱の状態だった場合はご病気ですのでイラスト云々ではなく日常生活にも影響が出ていることかと思われます。自分は大丈夫、と思わずに違和感をお感じになったらすぐにどなたかへご相談されることをお薦め致します。
2つ目の怒りをお持ちの状態のとき、というのは鬱とはまた逆で反発した攻撃的な状態のことでございます。
描いた絵をアップしたら酷評されてしまった、自分と同じレベルの絵師が急に活躍し始めた、投稿した漫画が何の賞にもかすりもしない、など要因は数多ございますが、ご自身を否定するような出来事に遭われた場合が多いようです。
上記のような状態ですと、本来楽しいはずのイラスト制作が楽しくない、むしろ嫌なものになって参ります。
結果、描いてて意味があるのか?など根本的な不安が芽を出してきたり、グルグルと負のスパイラルに陥ってしまわれます。描く気は起らないのにイラストのことは余計考えてしまい、仲間であるはずの絵師の粗探しをしてしまったりエゴサをしてみたり・・・本来のあなた様とは違う一面が出てきてしまいます。
この状態の場合は精神的にダメージを抱えていることが問題ですので、解決策は「誰かを頼る」事となります。
ご家族、ご友人、先生、恋人、カウンセラー、医師・・・誰でも構いません。
SOSを発信してお話を聞いて頂きましょう。
この時に同じ絵師仲間や同じ悩みをお持ちの方にご相談すると、少々宜しくない状況になる場合がございますので、できればイラストとは関係ない人にご相談頂くことをお薦め致します。
この記事をご覧になっているということは、本来は絵を描くのがお好きな方なのだと思います。その楽しい気持ちを失ってしまわぬよう、早めにご相談下さいませね。
スランプをチャンスに変える方法
これまでスランプと呼ばれるものの本質に触れて参りましたが、では結局どうやってチャンスへと変えていくのか?それは、スランプの状態をレベルアップするための材料にしてしまうことです。
・今まで描けていたのに急に何のアイデアも浮かばなくなった
→インプットを積極的にして今までは発想できなかったアイデアを得られるような新しい経験をしてみる
・急に絵が下手になってしまった・・・
→急成長の最中だと意識してより成長を助けるために苦しくても信じて描き続け、その後の成長した自分を楽しみにする
・描く気が起こらず何をしても上手くいかないように思える
→自分の心と向き合い、人に相談して客観的意見を聞き、人間として成長できるようにまず自身を整え癒してあげる
このようにワンステップ高い位置へ行くための材料にしてしまいましょう!
これはイラストに限らず言えることですが、成長とは苦しみの後にやってくるものなのでございます。勉強をすれば知識がつきますし、筋トレをすれば筋肉がつきます。何もせず楽をしておりますと何も身に付きません。
まずはスランプとされる状態の原因を観察して、理解できましたらどうすれば良いか考え、そして行動に移しましょう。
この行動に移すという部分が一番大切で、理解できてもやらない方が多くいらっしゃいます。なぜならそれは苦しいからに他なりません。
けれど、苦しいからと逃げてばかりでチャンスが掴めるかと申しますと、それは難しいと分かると思います。あなた様もご自身できっと気が付いているはずです。逃げていてはダメだと。
そんなあなた様へわたくしの愚行をお披露目致します。少しでも希望をもって頂けたなら嬉しく思います。
わたくしの実体験について
私事で恐縮ですが、以前アニメーターをしておりました時、エフェクトというものが得意でしたのでそういったお仕事を多く受注しておりました。
エフェクトというのは炎でしたり水でしたり時には魔法など、無形のものを表現することでございます。
ここで問題が発生致しまして、エフェクトは得意なのですが、ほぼセットといっても過言ではないメカがわたくしは苦手でございました。メカとエフェクトは正味一体、ビームも出ますし爆発したりも致しますので、一緒に描かなければならない事態と相成ります。
もちろん全く描けないわけではございません。アニメーターになるには何でもある程度描けなければなりませんので、資料があれば概ね描けるのですが、”魅力的”に描けないのです。
それをすぐさま看破され、さっそく先輩にお叱りを受けることになります。わたくしはそれは必至になって勉強し、どうやれば格好の良いメカが描けるのか日々研究致しました。
しかし、全然描けるようにならないのです。描けてはおりますが作画監督の修正が入り、わたくしの描いた部分は大半が直されておりました。形は間違っていないのですが、”魅力的”に見えないのです。
だんだんと何をどうすれば良いか分からなくなり、好きだったエフェクトの部分までも上手くいかないことが多くなりました。
どうして上手く描けないのか?何がいけないのか?そんなことを考えに考えておりましたある日のことです。わたくしにお叱りの言葉を下さった先輩がたまたまいらっしゃり、わたくしの担当したカットをご覧になっておっしゃいました。
「すごく上手くなってて君が描いたと思わなかった」と。
え?と驚きました。
自身では全く上達できてないと思い込んでいた為です。
さらには制作の方にも「きみおりさんはしっかり描いてくれるからチェックも早く済んで助かる」とおっしゃって頂けました。聞けばメカの作画監督の方はこだわりの強い方でかなり修正を入れるようで、わたくしの修正具合は比較的軽い方との事でした。
そして半信半疑で自分が過去担当したカットのボツ画を引っ張り出してきて現在のものと比較してみますと・・・、「描けてるやん」と。
そうなのです、自身ではスランプに陥っていてメカもエフェクトも描けなくなってどうしよう!?と思い込んでおりましたが、お仕事ですのでそれでも描かねばならず何とか描き続けていたところ、描けるようになっておりました。
わたくしの場合、逃げたくてもお仕事でしたので逃げ道がなく無理やりにでも描かなければならなかったのですが、それが功を奏してワンランク上のレベルへ成長できたのです。
成長に気が付かなかったのは、周りの方々が上手すぎてそれと比較していたので全く追いついてないと思ってしまっていた為でした。
基本的に提出したカットを自分で見返したりはできませんので、自身の過去と現在を比較できていなかったのです。
わたくし事をつらつらと書かせて頂きましたが、こちらのエピソードで申し上げたかったことは、行動をすることの大切さです。
わたくしが不細工にも必死になって足掻いていたことがお分かりになるかと思いますが、結果的には成長することができております。
スランプと感じた時に一番やってはいけないことは、その状態に負けてしまい、逃げて、そして筆を折ってしまうことです。
せっかくの成長のチャンスですのに大変もったいないことでございます。
今もしスランプで苦しんでいるのでしたら、一度1年前のイラストをご覧になってみて下さい。全く成長していないでしょうか?きっとそんなことはないと思われます。その苦しみを乗り越えた暁には、今以上の成長をすることが叶うでしょう。
どうか苦しみから逃げずに、成長のチャンスを掴んで下さい!
スランプは存在致しません。あるのは成長の為の痛みです。
この記事があなた様の成長の一助になりましたなら幸甚でございます。
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