朗読BGMの選び方|声と言葉の余白を守る3つの基準と場面別3曲
朗読にBGMを入れたら、声が聞きづらくなった。
音量を下げても、なぜか台詞に集中できない。
そんなとき、原因は「BGMが大きいこと」だけではないかもしれません。
細かく動くメロディー、鋭く目立つ音、強い打楽器。こうした音が台詞の間も鳴り続けると、BGMを小さくしても、言葉が遠く感じられることがあります。
朗読に合うのは、単に雰囲気のよい曲ではありません。
声が入れる場所があり、言葉の余白を守れる曲です。
この記事では、声を邪魔しないBGMを選ぶ3つの基準と、朗読の場面に合わせて試せる3曲を紹介します。
先に結論|声を邪魔しないBGMの3つの基準
朗読用のBGMを選ぶときは、次の3点を確認します。
・台詞の間に、音が動きすぎない
・感情を先回りして説明しない
・必要な場面まで、同じ温度を保てる
BGMだけで聴くと少し控えめでも、声を重ねたときに言葉が自然に前へ出る。そのくらいの曲が、朗読には合うことがあります。
BGMを小さくしても、声が聞きにくい理由
メロディーが台詞と同時に動いている
細かなメロディーが絶えず動いていると、聞き手は言葉と音楽の両方を追うことになります。
音量が小さくても、情報量の多いBGMは台詞と競合します。
目立つ音色が声とぶつかっている
鋭い音や明るく前へ出る楽器は、声の近くで鳴ると存在感が強くなります。
とくに、語りの大切な部分と目立つフレーズが重なると、聞き手の注意が音楽へ移りやすくなります。
曲の展開が感情を決めすぎている
朗読より先にBGMが盛り上がると、音楽が場面の意味を説明してしまいます。
悲しい場面に悲しい音を重ねすぎれば、声の震えや沈黙から生まれる感情が狭くなることもあります。
BGMの役割は、感情をすべて決めることではありません。聞き手が自分で感じるまでの時間を守ることです。
あなたの朗読に近い場面を選んでください
ここからは、実際の台詞にBGMを重ねて試します。
※Audiostockの試聴版にはサンプル音声が入ります。購入後にダウンロードする音源には入りません。サンプル音声の合間で、朗読との相性を確認してください。
夜の独白・言えなかった思い
「言えなかった言葉だけが、夜の部屋に残っていた。」
「満天の星」で、夜の独白を30秒試す
https://audiostock.jp/audio/1046757
感情を一つに決めすぎず、夜の景色を静かに広げるアンビエントです。
落ち着いた低めの声や、息を多く含んだ静かな語りになじみます。音が前へ出すぎず、独白の後ろに余韻を残します。
雨の日の会話・静かな日常
「雨がやむまで、もう少しここにいようか。」
「rain drops」で、雨の日の会話を30秒試す
https://audiostock.jp/audio/1028175
会話の速さを急かしにくい、落ち着いたチルアウトです。
自然な声や、抑揚をつけすぎない朗読と合わせやすく、雨の日の日常や二人の短いやり取りになじみます。
家族・子ども時代・夏の回想
「あの夏、縁側で飲んだ麦茶の味を覚えている。」
「夏 木陰にて」で、懐かしい回想を30秒試す
https://audiostock.jp/audio/1052032
ピアノとリコーダーが、記憶にそっと温度を添えるバラードです。
明るくやわらかな声や、家族・子ども時代を振り返る場面に合わせやすく、懐かしさに少しだけ色を加えます。
場面と声から選ぶ早見表
・夜の独白、手紙、眠る前の朗読/低めで静かな声 → 「満天の星」
・雨の日の会話、日常の短編/自然で穏やかな声 → 「rain drops」
・家族の記憶、子ども時代、夏の回想/明るくやわらかな声 → 「夏 木陰にて」
迷ったら、最初は「満天の星」を試してみてください。
声の温度や物語の感情を決めすぎないため、場面がまだ固まっていない段階でも合わせやすい一曲です。
実際の台詞を重ねて、30秒だけ確認する
BGMだけを聴いて決めるのではなく、実際の台詞を重ねてください。
まずは30秒で構いません。確認するのは次の3点です。
・言葉が自然に耳へ入るか
・読む速さを音楽に急かされないか
・感情を音楽に決めつけられていないか
この3つが守られていれば、そのBGMには「声が入れる場所」があります。
できれば、イヤホンだけでなく、スマートフォンのスピーカーでも確認します。再生する環境が変わると、目立つ音や声の聞きやすさも変わるためです。
声を邪魔しないBGM、3つの基準
1|台詞の間に、音が動きすぎない
細かなメロディーや目立つ音が動き続けると、聞き手は言葉と音楽のどちらを追えばよいのか迷います。
2|感情を先回りして説明しない
BGMだけでは少し控えめでも、声を重ねると台詞が自然に前へ出る。朗読では、そんな音楽がちょうどよいことがあります。
悲しい場面に悲しい音楽を重ねすぎると、声の息づかいや「間」から生まれる感情が狭くなります。
聞き手が何を感じるかを、音楽だけで決めないこと。言葉が届いてから感情が生まれる、その短い時間を残します。
3|必要な場面まで、同じ温度を保てる
音の印象が頻繁に変わると、言葉より先に場面転換を感じることがあります。
静かな独白なら、静かなまま。穏やかな日常なら、温かさを保ったまま。
朗読では、展開の少なさが「声を置ける余白」になることがあります。
朗読BGMの音量は、正解ではなく出発点
BGM選びが合っていても、音量が大きすぎれば声は聞きづらくなります。
編集を始めるときは、まず声を基準にし、BGMを十分に下げた状態から少しずつ上げる方法が安全です。
一例として、BGMを声より12〜18dBほど低い位置から試す考え方があります。ただし、これは固定の正解ではありません。
声質、楽曲、録音状態、編集ソフト、再生環境によって、聞こえ方は変わります。数値よりも、台詞を無理なく聞き取れることを優先してください。
声が入る場面だけBGMを少し下げる「ダッキング」も有効です。ただし、音量が不自然に上下すると朗読への集中を妨げます。ゆっくり戻し、変化を目立たせないことが大切です。
使用前に利用規約を確認する
「フリーBGM」と書かれていても、すべての用途に自由に使えるとは限りません。
使用前に、少なくとも次の項目を確認してください。
・YouTubeやPodcastで利用できるか
・収益化した作品で使えるか
・商用利用できるか
・クレジット表記が必要か
・音源の編集やループが認められているか
・Content IDに関する条件があるか
利用条件は音源やサービスごとに異なります。公開前に、必ず配布元・販売元の最新規約を確認してください。
最後は「いい曲」ではなく、「言葉が残る曲」を選ぶ
BGMだけを聴いて、最も華やかな曲を選ぶ必要はありません。
同じ台詞を重ねたときに、
・言葉が自然に残る
・間を急かされない
・声の感情を邪魔しない
その一曲を選びます。
声を邪魔しないBGMは、何もしていない音ではありません。
語り手が言葉を選び、聞き手が景色を思い浮かべる時間を、後ろから静かに守る音です。
作品専用のBGMが必要なときに
既製曲を試しても、場面転換と曲の展開が合わない、声に合う音域や楽器が見つからない、作品固有の感情や世界観を音にしたい、という場合は、朗読に合わせてBGMを作る方法もあります。
動画・朗読・ゲーム向けのオリジナルBGM制作について、対応できる雰囲気や制作の流れを以下の記事にまとめています。
動画・朗読・ゲームのためのオリジナルBGMを制作します
https://note.com/kimikoon/n/nfec5ad97d5de
まずは既存曲に台詞を30秒重ねてみてください。
そこで残った違和感が、作品に本当に必要な音を見つける手がかりになります。
▼ 朗読・動画・ゲームの3つの場面から、まず試す1曲を選ぶ
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