制度はある。でも、その言葉がわからない。函館市の請願と陳情を調べてみた
先日、市民活動と議員との関わりについて記事を書きました。
その記事を読んでくださった、別の町の地方議員さんから、丁寧な感想をいただきました。
そこで教えていただいたのは、議員は単に「相談を受ける個人」ではなく、住民の声を行政や議会へつなぐ役割を持っている、という視点でした。
私はそれまで、特定の議員とつながることで、市民活動が政治的に見られたり、考え方の違いから人が離れたりすることを心配していました。
けれど、議員に相談することは、その人だけにお願いをすることではありません。選挙で選ばれた議員を通して、住民の声を議会という公の場所へ届ける方法でもあるのだと気づきました。
一方で、議会ごとに取扱いは違います。
今回お話をくださった議員さんは、ご自身の町での経験をもとに説明してくださいました。そこで私は、まず自分が暮らす函館市ではどうなっているのかを調べてみることにしました。
請願書、陳情書、嘆願書。
この三つの違いを、みなさんは説明できますか?
社会科や公民の授業で習ったのかもしれませんが、私は少し前まで全く知りませんでした😅
請願は、憲法第16条で保障されている請願権にもとづき、国や自治体などへ希望や意見を伝える仕組みです。
函館市議会へ請願書を提出する場合は、紹介議員が必要です。請願は所管の委員会で審査され、最終的に本会議で採択か不採択かが決められます。採択された請願は、必要に応じて市長や関係機関へ送られます。
陳情は、紹介議員がいなくても提出できます。
函館市議会では、提出された陳情書の写しが、まず全議員へ配られます。その内容を見た所管委員会の委員が取り上げた場合、委員会で調査するかどうかを協議します。
調査することが決まれば、「所管事務調査」として扱われます。調査の結果、必要に応じて、市長や関係機関への提言、意見書の提出などにつながることがあります。
以前、函館市議会議員さんへ陳情について相談したとき、「陳情書を読んだ議員が同じ問題意識を持てば、議会の中で一緒に取り組むこともできる」という趣旨の説明を受けました。
今回、函館市議会の公式案内を読み直し、その言葉の意味が少しわかったように思います。

ただし、陳情書を提出すれば必ず調査されるわけではありません。ひとりの議員が共感しただけで、自動的に調査が始まるわけでもありません。所管委員会での協議など、議会の正式な手続きがあります。
また、注意したいこともあります。
函館市議会の案内には、請願や陳情が審査・調査される際、提出者の住所や氏名、内容などが公になる場合があること、受理された文書は情報公開の対象になることが書かれています。
地域の問題を伝えるための制度ですが、個人情報や、関係する人たちへの影響も考えて提出する必要があります。これは、制度を使う前に知っておきたい大切な点だと思いました。
では、嘆願書はどうでしょう。
今回確認した函館市議会の公式案内で、議会へ意見や要望を伝える手続きとして説明されているのは、請願と陳情です。
嘆願書は、事情を訴えて配慮や対応を強くお願いする文書として一般に使われる言葉ですが、函館市議会における請願・陳情と同じ手続き上の名称ではありません。
似た言葉に見えても、提出先や目的、扱われ方は違います。
制度は、ちゃんとあります。
けれど、その制度の名前も使い方も知らなければ、私たちの選択肢にはなりません。
憲法、法律、条例、議会の規則。
大切なことが書かれているのに、言葉が難しく、生活とどう結びついているのか見えにくいことがあります。私自身、これらを人にわかるように説明できるかと聞かれたら、できませんでした。
だからこそ、議員さんには、制度と住民の間をつなぐ「通訳」のような役割も担ってほしいと思います。
特に、市議会議員や町議会議員は、住民の暮らしに近いところにいる存在です。法律や条例、議会の仕組みを、住民の生活に引き寄せた言葉で丁寧に説明してもらえたら、制度はもっと身近になるのではないでしょうか。
難しい言葉では、届きません。
同時に、私たち住民の側も、知ろうとする必要があるのだと思います。
入院中、久しぶりに新聞を読みました。
スマホでもニュースは読めます。でも私の場合、画面では内容をざっくり眺めて終わってしまうことが多く、紙の文字を追ったほうが、少し立ち止まって考えられる気がしました。
昭和の人間だからかもしれませんが😅
知らなかったことを恥じるより、知ったところから始めればいい。

今回の対話をきっかけに、私は請願と陳情の違いを初めて自分の言葉で考えました。
函館市では、広報紙「市政はこだて」が市内全世帯に配布され、ウェブ上でもPDF版、音声版、電子書籍版、バックナンバーが公開されています。難しい制度にいきなり向き合うのではなく、まずはこうした身近な広報紙を読むことも、市政や制度を知る入口になるのかもしれません。
まずは、自分の住む町の公式案内を開いてみる。
それも、住民としてできる小さな一歩なのだと思います。
【あとがき】
今回の記事も、ある議員さんが呼びかけて作ってくださったコミュニティでのやり取りをきっかけに書きました。
私にとってこの場は、とても刺激になり、勉強になっています。難しい言葉も多いので、その都度調べながら、皆さんのお話をインプットして、自分なりに咀嚼し、noteに自分の考えとしてアウトプットする。
そこまでして、ようやく頭の中に少し入る感じです😅
病気の影響もあって以前より記憶力が落ちている実感がありますが、だからこそ今は、「調べる・考える・書く」という過程そのものが、自分にとって大事な学び方になっています。
注記
この記事は、2026年8月12日時点の函館市議会の公式案内などをもとに、私が制度について学んだことをまとめたものです。議会によって取扱いが異なるため、実際に提出する場合は、提出先の議会事務局へ最新の手続きや公開範囲をご確認ください。
参考にした資料(2026年8月12日閲覧)
函館市議会「請願・陳情について」
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2014010900579/
衆議院「日本国憲法」第16条
https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm
e-Gov法令検索「地方自治法」第124条・第125条
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000067
e-Gov法令検索「請願法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000013
関連情報
市政はこだて
https://www.city.hakodate.hokkaido.jp/docs/2014020700091/
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構造を言語化し、現場と制度をつなぐ
現在は療養中のため、無理のない範囲で地域活動やボランティアに関わりながら、日々感じたことを発信しています。
現場で感じた違和感や、制度との間にあることを、少しずつ言葉にしています。
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