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経年変化する素材、しない素材

家づくりで損しない人がやっていること vol.14

新築の家は、完成した日が一番きれいです。

ピカピカの床、白い壁、傷ひとつない建具。その状態を「完成」として、できるだけ長くその状態を保つことを「メンテナンス」と呼ぶ。多くの住宅は、そういう前提でつくられています。

ですが、建築家と家をつくる人の多くは、少し違う前提を持っています。

「住み始めてから、育っていく家にしたい」

素材には、二種類ある

家に使われる素材は、大きく二種類に分けられます。経年変化する素材と、しない素材です。

経年変化しない素材とは、新建材と呼ばれるものが代表的です。表面に加工が施されているため、傷がつきにくく、汚れも落としやすい。均一で安定した見た目が、長期間続きます。メンテナンスが少なくて済むという点では、合理的な選択です。

経年変化する素材とは、無垢の木材、漆喰、タイル、コンクリート、鉄、真鍮——自然素材や、経年で表情が変わるものです。使い込むほどに色が深くなり、傷がつき、艶が出る。新築時より、5年後、10年後のほうが豊かな表情になります。

「傷」の意味が変わる

経年変化する素材を選ぶと、傷への向き合い方が変わります。

無垢の床についた傷は、その家族の暮らしの記録です。子どもが走り回った跡、椅子を引いた線、何かを落とした凹み。均一な新建材の床についた傷は「劣化」ですが、無垢材についた傷は「時間の堆積」です。

同じ現象が、まったく違う意味を持つ。それは素材の違いであり、家に対する前提の違いでもあります。

「傷がつくのが嫌だ」という気持ちは自然です。ですが、「傷がついていくのが楽しみ」という気持ちで暮らせる家は、住むほどに愛着が深まります。

コストと経年変化の関係

経年変化する素材は、初期コストが高くなることがあります。無垢の床材は、複合フローリングより高価です。漆喰の壁は、ビニールクロスより手間がかかります。

ですが、長い目で見ると話が変わります。

新建材は、傷や汚れが目立ってきたとき、張り替えが必要になります。一方、無垢材は削り直すことができます。漆喰は塗り直せます。経年変化する素材は、手を入れながら長く使い続けられるものが多い。

初期コストと維持コスト、そして何より「住むほどに好きになれるかどうか」を合わせて考えると、経年変化する素材の選択は、長期的には合理的であることが多いのです。

「完成」を更新していく家

建築家と家をつくる人が経年変化する素材を好む理由は、コストや耐久性だけではありません。

家を「完成品」ではなく、「育てていくもの」として捉えているからだと思います。

新築時が一番きれいな家と、住むほどに深みが増す家。どちらの家に暮らしたいかは、その人の暮らしへの向き合い方そのものです。

損しない家づくりをしている人は、素材を選ぶとき「10年後にどう見えるか」を問います。新築時の美しさではなく、時間を経た先の豊かさを想像しながら、素材を選んでいます。


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