ライトMVNOとフルMVNO
2026年1月、「mineo」を展開するオプテージが「フルMVNO」への参入方針を示したことが話題になりました。
でも、「フルMVNO」とは何ぞや?今までのMVNOとどう違うの?と思っている人も多いでしょう。今回は、そんな話をしてみたいと思います。
MNOとMVNO
まずは基礎知識として、「MVNO」とは Mobile Virtual Network Operator の略で、直訳すると「仮想移動体通信事業者」となります。移動体通信(モバイル通信)の提供に必要な設備を他社から借りてサービスを提供している事業者を指す用語です。
対して自社で設備を持ってサービス提供している事業者は「MNO」 (Mobile Network Operator) と呼ばれます。2026年1月現在、日本全国で個人向けにモバイル通信サービスを提供している事業者は4グループ(NTTドコモ、KDDI・沖縄セルラー(※)、ソフトバンク、楽天モバイル)あります。
※沖縄県ではグループ会社の沖縄セルラーが、他の地域ではKDDIが提供しています。以下本稿ではまとめてKDDIとします。
とはいえ厳密にはMNOも他社の設備を借りることがあります。楽天モバイルのパートナー回線や、政策的にMNOの直営が認められていないBWA、au Starlink Direct などの衛星通信、インフラシェアリングなどなど。またドコモは自前の基地局をインフラシェアリング業者に売却してしまいました。MNOが必ずしも全ての設備を自前で持っているわけではありませんが、そのあたりは考慮されません。
そして楽天モバイルは「完全仮想化 (virtualized) ネットワーク」を売りにしていますが、これもまた別の話。
あくまで用語なので、字面にはあまりこだわらず、国内の電波の割り当てを受けて携帯電話・スマートフォン向けモバイル通信サービスを提供しているのがMNO(※)、専ら他社に割り当てられた電波を借りているのがMVNO、と考えると解りやすそうです。
※CATV事業者やISPなどが地域限定の電波割り当てを受けてサービス提供している「地域BWA」や「ローカル5G」と呼ばれるものや、IoT・M2M向けの「LoRaWAN」などの通信サービスもありますが、本稿では扱いません。
モバイルデータ通信のMVNO
今はMVNOと言えば4G・5Gデータ通信と音声通話をセットで提供する形態が一般的ですが、当初MVNOはデータ通信用途が一般的でした(※)。
※音声通話用PHSを再販していた事業者もありましたが、自社で音声通話設備を持っていたわけではなく、販売代理店やPBのような形態だったと思います。
昔、PHSやアナログモデムなどのデータ端末を使ってモバイルデータ通信していた経験がある人は、その頃を思い出してみてください。当時はインターネット接続(ISP、インターネットサービスプロバイダ)と回線が分かれているのが一般的で、端末(データカードやアナログモデムなど)を買って、固定電話回線やPHSは別途契約し、さらにISPも契約して使っていました。
PHSからWiMAXや4Gになって、ISPを別個に契約する機会は減りましたが、回線契約とISP契約が分かれている通信サービスもあります。ドコモの「spモード」や「mopera U」(2026年3月末でサービス終了予定)はその名残です。
今のMVNOは、昔のPHSやWiMAXをISPが売っていた(WiMAXは今でも売っています)形態に近い感じです。回線は他社から提供を受けて、自社のISPとセットにしてユーザーに提供しているわけです。
MVNO登場の経緯などは筆者のまとめサイトをご覧ください。
オプテージが「フルMVNO」に参入
2026年1月27日、オプテージが「mineo 2026年度 中長期戦略」を発表しました。その一部はYouTubeでも見られるので、興味があれば見てみてください。
オプテージは関西電力系のISP事業者です。関西では同社の「eo光」に加入している人も多いと思います。そしてモバイル通信のMVNO「mineo」でも知られていて、全国にユーザーがいます。
同社は2018年まで「ケイ・オプティコム」という社名でした。関西のKと、Optiは光、Comは通信で、その名の通り関西の光通信を得意とする会社です。地盤の関西以外でも関西電力系の黒部峡谷鉄道(富山県)沿線などに光ケーブルを引いていたりします。
そしてモバイル通信サービスの「mineo」は全国展開していますし、「eo光電話」や「LaLa Call」などのIP電話サービスも提供しています。関西から全国へ、ISPから電話へと事業範囲を拡げてきた会社でもあります。

オプテージは2024年12月現在、SIMカード型MVNOサービスの事業者別シェア2位(8.2%)。競合の「OCN モバイル ONE」や旧「楽天モバイル」(MVNO) がMNOに取り込まれる形で撤退したこともありますが、日本のMVNOを牽引している事業者のひとつです。
そんなMVNO大手が「フルMVNO」に乗り出すことも、注目を集めた理由かもしれません。
「フルMVNO」と「ライトMVNO」
前説が長くなりましたが、ようやく本題です。
今回、「フルMVNO」という用語が登場しました。対義語は「ライトMVNO」で、今般のMVNOはほとんどがこの「ライトMVNO」です。この違いは何でしょうか。
簡単に言えば、通信設備をどこまで借りるか、の違いです。でも話は単純ではありません。
今回、オプテージは「国内初となるauとのデータ通信・音声/SMS通信に対応したフルMVNO事業」に参入すると謳っています。
詳しい人は思い出されるでしょうが、実は「IIJmio」でお馴染みのIIJも「フルMVNO」を標榜しています。ただしIIJはドコモ回線の、しかも4Gデータ通信(※)のみに限った「フルMVNO」です。音声通話対応サービスや5Gデータ通信は従来の「ライトMVNO」で提供しているんです。
※2026年3月までは3Gも使えますが、5Gには未対応。
IIJmioが「フルMVNO」になった理由は明確で、「IoT時代に必要なSIM」を提供することにありました。ユーザー管理機能を自前で持つことにより、ドコモ回線のeSIMを自前で発行できるようになったんです。法人向けには従業員に持たせるWAN内蔵ノートパソコンやタブレット端末、M2M通信などで、SIMの管理を柔軟にしたいという需要があります。そうした法人需要に応えることを主眼としています。
そしてもうひとつ、競争が激しいMVNO業界で「横並び」から抜け出すこともあったようです。SIMを自社発行できて融通が利くようになったことで、法人の需要に応えることに成功したのでしょう。
でもIIJは今のところ音声通話の設備は自前で持っていませんので、音声対応SIMは「ライトMVNO」のまま。5Gにも未対応で、4Gデータ通信に限った「フルMVNO」なんです。これでは法人向けには差別化できても、個人向けにはあまり効果がなさそうです(^^;。
今回のオプテージは、データ通信は 5G (NSA) にも対応予定ですし、ニュースリリースに掲載されているこの図が解りやすいと思いますが、音声通話設備も自前で持とうとしています。さらに一歩進んだ感じがしますね。

そんなわけで、簡単に言えば、「フルMVNO」と「ライトMVNO」は(MNOから)どこまで設備を借りるかの違いです。そしていろんな通信設備があるので、IIJmioの「フルMVNO」と、mineoが目指す「フルMVNO」は同じ文言でも中身が少し違うんです。
どこまで設備を借りるか
日本のMVNOはデータ通信から始まったことは前述しました。黎明期には電話回線やPHSを使ったインターネット接続サービスがあって、ISP(インターネットサービスプロバイダ)が提供していました(※)。今でもFTTH(家庭や小規模事業所向けの光ケーブル)は、NTT東西の「フレッツ光」などの回線をセットにしてISPが提供する形態が一般的です。
※PHSや2G・3G携帯電話では、ISPが別に提供されていました。例えばWILLCOMの前身のDDIポケット時代には「DION」というISPを用意していましたが、DIONを使わず(自宅などで使っている)他のISPをそのまま使うことも一般的でした。
FTTHはISPが窓口になって提供されることが多いですし、ユーザーから見ればデータ通信が快適に使えれば裏側(どこの回線か)はあまり気にしない、という人が多いでしょう。それで馴染みのある会社(近所であったり、ブランドであったり)で契約する人が多そうです。2025年9月末時点では「ドコモ光」が最大手(シェア16.7%)、2位はソフトバンクだそうですが、3位はCATV大手のJCOMですし、ISP老舗のBIGLOBEやNiftyをはじめ、ISPのブランドで選んでいる人も多そうです。
でもこれらはあくまでサービスブランド。よく見ると提供形態も様々です。
回線別で見るとFTTH最大手(※)のNTT東西は回線のみを提供し、ISPがインターネット接続のみを提供しています。「フレッツ光」に替わって近頃主流の「光コラボ」はそのPB版(NTT東西は裏方に徹し、販売元がユーザーサポートも実施する)といったところ。先ほどの「ドコモ光」もこの光コラボです。ブランドで選ばれることの多い今のご時世に適した販売形態なのでしょう。
※2025年6月末時点でNTT東西のシェア46.7%。2位のKDDIは18.1%。
同じFTTHでも、各地のCATV事業者や「USEN 光01」(旧UCOM、現アルテリア・ネットワークス)などは地域限定ながらも自前で光ケーブルを引いていることがあります。オプテージも自前の光回線を持っています。
ソニーネットワークコミュニケーションズの「NURO光」は光回線こそ他社(NTT東西など)から借りていますが、未利用の光ケーブル(ダークファイバ―)を芯線単位でまるごと借り、住宅への引き込みは自前で行って、PONなどの通信設備も自前で持っています。
このように固定回線でも、光ファイバーから自前で引いているCATVなどの通信事業者と、ダークファイバ―を芯線借りして自前の通信設備を持つ通信事業者、光回線はNTT東西などにお任せでインターネット設備のみを持つ通信事業者と、様々な形態があるわけです。
そして、FTTHにも「光電話」がありますね。従来のメタル回線を使うアナログ加入電話も2035年頃までに光収容(IP電話化)される予定ですが、すでにFTTHとセットで光電話に変えたという家庭や事業所も多いと思います。
モバイル通信から話が逸れていますが(^^;、音声通話サービスの話が関連しますので、もう少しお付き合いくださいね。
データ通信と勝手が違う音声通話
このように「光電話」サービスを提供しているISPは多いですが、音声通話設備を自前で持つISP事業者は寡聞にして知りません。強いて言えばKDDIは自前ですが、ISP事業者というより元々電話屋さんなので別枠でしょう。同じく電話屋さんのNTT東西はISPをしていませんし、オプテージの「eo光」はKDDIの、ダークファイバ―を芯線借りしている「NURO光」はソフトバンクの、CATV系はKDDIやソフトバンクのIP電話サービスを使っています。
ソフトバンクの電話部門は、旧JR系の「日本テレコム」(後の「ソフトバンクテレコム」)を吸収合併しています。旧国鉄ではかつて携帯電話など無かった頃から列車内電話を自前で提供し、列車の運行や座席の確保などに使う鉄道電話(後のJR電話、2027年3月末で廃止予定)も自前で持っていました。今は指定席予約のオンライン化と保安設備の自動化、一般の携帯電話・固定電話サービスが充実したことで専用電話は役目を終えつつありますが、電話会社はソフトバンク傘下に移って引き続き活躍しているんですね。
楽天も、中継電話とIP電話を得意とする商社系の旧「フュージョン・コミュニケーションズ」を買収しています(「楽天コミュニケーションズ」に社名変更した後、楽天モバイルに吸収)。MNOは元々電話屋さんだったか、電話屋さんを買収しているんですね。
後からMNOに参入したソフトバンクや楽天が電話屋さんを買収したことからも想像できるように、この音声通話の設備というのは、実はけっこう大変です。
ユーザー目線では、データ通信と音声通話の違いは判りやすいですね。データを届けるのか声を届けるのかといった違いはもちろん、電話番号をプッシュして相手を呼び出す動作も音声通話ならでは。
インターネットは、通信機器類はもちろん必要ですが、IXに接続すれば世界中と通信できますし、基本的には通信の優先順位を付けたりもしません。通信品質はユーザー目線では担保してほしいですが、基本的にはベストエフォートです。
ところが音声通話は、どこかの拠点につなげば全てつながる、とはいきません。他の電話会社と個別に接続する必要があるんです。そして110番・119番・118番といった緊急通報も必須ですが(※)、これも単に接続するだけでは済まず、電話番号の強制通知、コールバック機能と優先接続、災害時の優先扱いといった様々な機能も入ってきます。
※0AB…Jと呼ばれる地域別電話番号が割り当てられる固定電話サービスと、携帯電話・PHSサービスは緊急通報必須です。逆に050IP電話は緊急通報対象外です。
さらに、音声通話に一定の通信品質を担保する必要があります(「光電話」(0AB…J)の例)。
また、以前は自前の基地局等設備を持たないMVNOには電話番号を割り当てることができないという制度面の課題もありましたが、これは2023年2月の制度改正で解消しました。
こうした障害を乗り越えて、オプテージは音声通話設備を自前で持つISP事業者になろうとしているわけです。ISPが緊急通報にも対応する音声通話設備を新たに持つというのは、筆者が知らないだけで先行事例はあるかもしれませんが、珍しい例になりそうです。
日本通信の「ネオキャリア」
音声通話を含む「フルMVNO」を目指す動きは、オプテージが日本初ではありません。オプテージのニュースリリースにも明記されているように、国内初となるのは「auとのデータ通信・音声/SMS通信に対応したフルMVNO事業」です。
実は、格安SIMの「合理的シンプル290プラン」などで知られる日本通信が、2022年6月にドコモに音声網の相互接続を申し入れており、協議を経て2026年11月24日開始を目指して準備中。接続先がドコモかauかの違いはありますが、日本通信も音声通話設備を自前で持って独自のサービスを行おうとしています。
どちらもまだ予定ですが、オプテージは2027年度下期なので、予定通りにいけば日本通信が日本初の音声「フルMVNO」になりそうです。
日本通信では「ネオキャリア」と呼んでいますが、オプテージの「フルMVNO」とほぼ同じ意味になります。ドコモ回線かau回線かの違いと、もちろんサービス内容の違いは出てくるでしょうが、どちらも音声交換機能やユーザー管理機能を自社で持つことは共通しています。

なぜこの時期なのか
前述のように、2018年に(データ通信のみの)「フルMVNO」になったIIJは、音声通話設備は持っていません。でも、ここにきてMNVO老舗の日本通信と大手のオプテージが、相次いで音声通話設備を持とうとしているのはなぜでしょうか。
このごろは音声通話は減っている(2022年度の総通信回数は対前年比3.2%減少)と言われますが、それでも音声通話は重要、ということなのでしょう。
日本通信のニュースリリースを見ると、「携帯電話番号が直接付与されることで、これまでやりたくてもできなかった様々なサービスを開発し、提供できる自由を得られます。」と書かれています。
オプテージのニュースリリースにも、「かけ放題などの通話サービスや独自性の高いデータ通信サービスの柔軟な設計、海外ローミングなどの付加価値提供による競争力の強化を目指します。」と書かれています。
2018年にデータ通信のみの「フルMVNO」になったIIJでも、「フルMVNOは、既存のMVNOのビジネスモデルを発展させたものというよりも、既存のMVNOとは全く違うビジネスモデルだと考えた方がしっくりきます。これができなかったからフルMVNOになるという正常進化形というよりは、技術的な制約や心理的な制約があり、アイデアにブレーキを踏んでいたことがなくなっていく。今までより、はるかに広いフィールドでサービスを実現できるようになるのだと思います。」という話がありました。
競合が多く画一化しやすいMVNO業界において、他社が真似しづらい様々なサービスの開発・提供により、競争力を強化できる。音声通話機能がその切り札になっている様子が伝わってきます。
でも、MVNOの競争環境は今に始まったことではないですし、単に音声通話が重要だからという理由であれば、もっと早く対応していても良さそうです。日本通信は1996年に開業して30周年、「mineo」は2014年に始まって12周年。ここにきてMVNOが音声設備を持とうとしているのはなぜでしょうか。
PSTNマイグレーション
2024年1月より、NTT東西の加入電話と公衆電話の通話料が全国一律になりました。今主流の携帯電話や「ひかり電話」などの通話料は全国一律ですから、むしろNTT加入電話の通話料が距離により変わることを知らなかったという人もいるかもしれません。
電話機やアナログ電話回線(メタル線)はまだ変わりなく使える(電話機を交換する必要はない)のですが、2024年1月頃に、電話局より先のNTT東西の電話網がIP化されているんです。技術の進展により、アナログ交換機がIP化されても通話品質や機能は変わりません(※)ので、一般ユーザーは気づかなかったと思います。
※IP化に伴い終了した電話機能もありますので、対応に追われた事業所もあったと思います。
総務省の資料によると、2022年時点で固定電話は10社、IP電話は21社、携帯電話は11社あるそうです。これらの電話会社は相互に接続していて、どこにでも通話することができます。
このうち「ひかり電話」と050IP電話、4G以降の携帯電話はIP化されていますが、NTT東西の固定電話には昔ながらの設備が残っていて、新規参入する電話会社はNTT東西の電話網に接続するために各都道府県に接続しに行く必要がありました。大変ですね。
2024年1月にNTT東西の電話網もIP化されたことで、以降は東京(NTT東日本)と大阪(NTT西日本)に1箇所ずつ接続すれば済むようになりました。
つまり、新規参入する電話会社にとっては、音声網のIP化によって他社(特にNTT電話網)への接続が楽になったんです。
この一連の取り組みは「PSTNマイグレーション」と呼ばれています。

3Gの終了
もうひとつ、NTTドコモは2026年3月末までで 3G (FOMA) 通信サービスを終了します。
1990年台に規格が策定された3G携帯電話までは、音声通話(CS)とデータ通信(PS)が別建てになっていました。その後のVoIP技術の進展に伴い、4G LTE では音声通話をデータ通信の上に載せるVoLTE方式へと、技術的に大きな転換があったんです。
MVNOが新たに音声通話設備を導入する際、これまでは3Gと4Gの設備を導入する必要がありましたが、そろそろ役目を終える3G用の設備を新たに導入するのは非効率です。言い替えると、3Gが終了する2026年はいい区切りになるんです。
NTT電話網のIP化と3G終了、この2つのおかげで、MVNOが新たに電話交換設備を持つ際の負担が抑えられたわけですね。
もっとも、2026年3月まで3Gを提供するのはドコモだけ。KDDI (au) は2022年3月までで3Gを終了しているので、au回線を使うオプテージにはあまり関係がなさそうです。
とはいえ、NTTドコモの3G終了を待って2026年に開始予定の日本通信も、ドコモへの接続申し入れは2022年6月に行っていますから、足掛け4年もかかっています。
先述した4Gデータ通信のみ(音声無し)の「フルMVNO」になったIIJも2014年から協議を始め、ドコモとの協議に2年間、その後のサービス構築に1年半かかったそうです。
オプテージは1年半後の2027年下期の開始を予定しているとのこと。発表こそ2026年1月でしたが、KDDIとの協議はもっと早いうちから進めていて(※)、先が見通せたタイミングで発表したのでしょう。
※同社内では「次期網構想」と呼んでいたそうですが、構想段階を含めると4年以上前から考えていたという話がありましたね。
「フルMVNO」になって変わりそうなこと
このように、オプテージと日本通信は自前の電話設備を持つという決断をしました。実現すれば、先行するIIJのように自前のSIMを発行できるようになりますし、さらに通話機能の柔軟性が高まると期待されます。
もちろん個別のサービス内容はまだ発表されていないのですが、電話設備を持つ以上は、通話に絡めた何かが登場しそうな予感がしますよね。オプテージ社内でアイディア出しをしたところ、こんな案が出てきたとか(アイディア段階であり実現するかは未定です)。

一方で、心配な部分もあります。例えば迷惑電話対策として番号非通知の電話を網側で拒否してくれる「番号通知お願いサービス」(ドコモ系)や「番号通知リクエストサービス」(au系)を使っている人も多いと思いますが、ソフトバンクと楽天モバイルには相当機能がありません。
今は日本通信SIM(ドコモ回線)やmineo(au回線、ドコモ回線)でもこの機能が使えますが、mineoでソフトバンク回線を選ぶとこの機能が使えません。mineoの「フルMVNO」では果たしてこの機能は提供されるでしょうか?
他にも着信転送や留守番電話など、電話にはいろんな機能があります。私は「スマート留守電」を愛用しているので、着信転送機能は必須なのですが、果たして日本通信やオプテージが新たに持つ電話設備がこうした通話機能にも対応するでしょうか?
「フルMVNO」になって新しい通話サービスができるのでは?通話料が下がるのでは?といった期待が高まる一方で、かゆい所に手が届く通話機能が使えなくなってしまうかも?という心配も少ししています。
もっとも、両社が「フルMVNO」になってもすぐに現行サービス(ライトMVNO)をやめるわけではありません。用途に応じて使い分ければよく、新たなオプションが手に入るという意味で、両社の挑戦を楽しみにしたいと思います。
(本稿は「きまぐれ手記」の該当記事を再構成したものです。)
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