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この夏に読んだ本(2)英語系



『英語でオノマトペ』

前回縦書きの本について書いたので、今回は横書きの英語系書籍のお話を。

何度も言及して恐縮だが、前回も触れた『JR上野駅公園口』の英語版を読んだ時、電車の音が訳されていなくて不思議だったと書いた。

あの記事を書いたあと、あるnoterさんからオノマトペに関するコメントをいただいた。「日本語の擬態音は動詞化できても、擬音語を翻訳するのは難しいのでは」ということと「むかし、みなもと太郎さんがこの件を扱ったときも、日本のマンガの「電車が停まる」音の表現を取り上げていたと記憶しています」とあった。

そうなのか!?

確かに電車の「シュッシュッ(ポッポ)」という音については、英語でも(EXILEの歌で有名になったが) "Choo Choo" という擬音語はあるものの、電車が止まる音はあまり聞かないかも・・・と、その後も気になっていた。

それで、この上の写真 ↑ にもある『英語でオノマトペ』(ルーク・タニクリフ著)を借りて読んでみたのだが、やはり電車の止まる音は特殊だから出ていなかった。

日本語では自然界の音などを、聞こえた(と思う)音で表現するが、英語ではそれに近い様子を表す言い方にするしかない。

たとえば、雨が降る様子。「しとしと」は "drizzling"(静かにしたたる)や "light rain"(軽い雨)、「ざあざあ」"downpour"(すごい量がどっと降る)や "rain cats and dogs"(犬と猫がけんかしてるみたいに激しく降る)など、だいぶ説明的な動詞や形容詞・副詞を使う表現になってしまう。

などだが、これらは今の時代、簡単にネットで調べられるから、まあこの本はなくてもいいかな、と思えた。


『難訳・和英オノマトペ辞典』

一方、英語界の重鎮、松本道弘氏が書いた『難訳・和英オノマトペ辞典』は面白い。

「あーあ」(Boring)に始まって、大阪弁の「あかん」(non-negotiable / bad)「あかんもんはあかん」(You should know better. / No means no.)と続く。

ただの言い換えではなく、非常に細かい解説が、面白おかしくエッセイ風に書かれている。さらに「あかん、あかん」"No way." だし「あかんたれ」"born losers" である、と「あかん」の変化形まで出てきて勉強になる(大阪弁の?)

いや、もうオノマトペからは離れた表現も多いが、これはこれで読み物として面白い。1冊購入して手元に置いておこうと思う。


さて、それで肝心の電車の止まる音だが、この分厚い『難訳・和英オノマトペ辞典』にも出ていなかったので、ChatGPTに聞いてみたところ、速攻でいくつか紹介してくれた(最初からそうしていれば・・・)。

まずは、やはり動詞系の表現だ。

・screech(キーッという音を立てる)
・grind to a halt
(ギーときしみ音を立てて止まる)
・brake squeal
(ブレーキがきしみ音を立てる)

これらは、このまま動詞として使える。

The train screeched to a stop.(電車がキーッと音を立てて止まった)
The old bus ground to a halt in front of the station. 
(その古いバスは駅前でギーと音を立てて止まった)*groundはgrindの過去形

一方、やはりマンガなどではオノマトペとして、音のまま表現されるようである。

漫画的な擬音(英語圏でよく使う書き文字)
“Screeeech!”
“Skreee!”
“Eeeek!”
👉 日本語の「キキーッ!」に近い表現です。

ChatGPT

ということで、あるにはあるが、日本語ほど豊かな語彙はないようだ。『JR上野駅公園口』に出てくる、電車が止まるまでの以下の音。

ブォォォン、ゴォー、ゴトゴト、ゴト、ゴト、ゴットン、ゴットン、ゴ、トン、ゴ……トン、ブーン、ルゥー、ブシュウーキキ、キキ、キィ、キ……キ……キ……ゴトッ……シュー、ルルル、コト……

これはもう、英語で表すのは不可能といえるかも。日本語独特のオノマトペ普及のため、いっそ、このままローマ字表記したらよかったのでは・・・?


"Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?"

"Polar Bear, Polar Bear, What Do You Hear?"


あと、図書館で借りたのは英語絵本だ。児童英語教育界では超有名な ビル・マーティン・Jr(作)& エリック・カール(画)の代表的な2冊。

買ったものがうちにあったのだが、孫が生まれた時に、他のたくさんの英語絵本と一緒に娘のところに送ったきり、どこへ行ったかしれない(引っ越し後、探す気がないようで・・・)。

孫に読んであげようと思ったら「どこにあるか分からない」というので、仕方がないから借りてきた。

"Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?" のほうは、

"Brown bear, Brown bear, what do you see?"(茶色いくまさん、何が見える?)
"I see a red bird looking at me." (赤い鳥がこっちを見てるのが見えるよ)
"Red bird, Red bird, what do you see?" (赤い鳥さん、何が見える?)
"I see a yellow duck looking at me."(黄色いアヒルが・・・) *以下、続く

という感じで、リズムに合わせて9種類ほどの動物と色の名前を覚えられる本である。

これを何度か読んであげてると、子どもたちは自然に覚えてしまい、一緒にチャンツすることができる。*チャンツとは、一定のリズムに英単語や英文を乗せて発音する読み方。英語指導法のひとつ。

また、動物の絵を描いてあげるか、得意な子なら本人に描かせ、それに好きな色を塗らせると、 この絵本の「わが子バージョン」ができる。

ちなみに、小2の孫が塗ったのがこちらの絵(下絵は娘にちゃちゃっと描いてもらった。なぜか sheep の胴体だけやたら長い 笑)

" 〇〇ちゃん、〇〇ちゃん、what do you see?  I see a purple bear looking at me." と、一緒にチャンツしながらやると楽しい♪

YouTubeを見ると、いろいろな人がこの本を読み聞かせているが、動く絵本になっているものもあって驚いた。


さらに、この応用編として鳴く動物たちが出てくるのが "Polar Bear, Polar Bear, What Do You Hear?" である。

今度は「何が見える?」ではなく、「何が聞こえる?」

ただ、こちらは出てくる動物名と文が長くてチャンツがしにくい。しかも、日本語版には、これまたオノマトペ「がぉー」とか鳴き声が入っているのに、英語版にはない。想像して読ませるということか。

日本語では「鳴く」「吠える」くらいしか動詞がないが、英語では動物ごとにたくさんの動詞があるので、むしろそれを覚えるための絵本らしい。

たとえば、ライオンが吠えるのは "roar"、カバが鼻を鳴らすのは "snort"、ゾウの「パォーン」は "trumpet"…といった感じだ。ちなみにトランペットは名詞として使われることが多いが、英語の名詞はだいたい動詞として使える。先日はpeopleの動詞使いを見て驚いた("depeople"「人口を減少させる」)。

こちらも同じ"Lollipop Animated Book" というチャンネルに動画がある。うまく貼り付けられなかったので、興味のある方はこちらから探していただきたい⤵ 

お子さんやお孫さんのいる方は、うまく読めるようになったら、ぜひ絵本を借りて一緒に読み聞かせを!


フリーランス翻訳者: 浦田貴美枝
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著書:『夢を叶える字幕翻訳者の翻訳ノート』
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