オランダ大使の公邸へ
以前、取材がらみで「動き出す浮世絵展」に行った記事を書いた。その時の記事はこちら。
今回はオランダ大使館関係の仕事が来て、HPを調べていたら、ちょうど今週末に公邸が一般公開されると書いてあったので、申し込んで行ってきた。
今年の一般公開は4月4日~5日の2日間、無料で公邸の中(1階のみ)と庭園を見て回ることができる。HPからPeatixの予約ページに入り、20分きざみで希望の時間を選び、予約するシステムだった。
最寄り駅は日比谷線神谷町で、そこから歩いて約7分というのに、なぜかまた道に迷って、森ビルをぐるっと回って東京タワーの目の前まで行ってしまった(よく道に迷う)。ただでさえ今朝の濃霧のせいで、もう昼だというのに電車が遅れに遅れ、余裕で着くはずがギリギリになってしまったのだが、何とか間に合った。
入口では大使館の方が申し込みのURLと身分証明書をチェックしていた。私は今回、13:20~13:40の間に入場。






部屋の様子や調度品の素晴らしさもさることながら、今回私が一番見たかったのは、徳川家康の朱印状だ。
江戸時代、鎖国が始まったときに、ヨーロッパでオランダだけが長崎の出島での居住と交易を許された。徳川家康から交付された朱印状の写しがあると知り(原本はオランダハーグ国立公文書館蔵)、見られるかどうか分からなかったのだが、中に入ると玄関すぐ左手にあって見ることができた。

【翻刻】
おらんた船日本江渡海之時何之
浦ニ雖為着岸不可有相違候
向後守此旨無実儀可被往来
聊疎意有間敷候也以如件
慶長拾四年七月廿五日
ちゃくすくるうんべいけ
【書き下し文】
オランダ船、日本に渡海のとき、いずれの
浦に着岸せしむるといえども、相違あるべからず候。
向後、この旨を守り、異議なく往来せらるべく、
いささかも疎意あるまじく候也。よってくだんの如し。
慶長十四年七月二十五日
ちゃくすくるうんべいけ
(参照:Wikipedia)
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dutch-Japanese_trading_pass_1609.jpg
【現代語訳】
オランダ船が日本へ渡航してくる時には、どこの
海岸に着岸するとしても、相違のないようにすること。
今後はこの趣旨を守り、異儀なく往来されるように。
少しも疎意はあってはならない。以上の通りである。
慶長14年(1609)7月25日
チャクス・クルウンベイケ
朱印状の最後は、てっきり徳川家康の署名だと思っていたのだが、それにしては文字数が多すぎる。何だろう?と思っていたが、上で参照したWikipediaの資料で、オランダ語表記を見て分かった。
この判読が難しい文字は「ちゃくす・くるうんべいけ」と読み、オランダ語表記の最後にある"Jacques Groenewegen" と思われる。おそらく「ジャクス・グルーネヴェーゲン」のような音をかな表記にしたものだろう。
署名かと思ったら、相手のオランダ人の名前だったようだ。
何やら、暗号の謎解きのような感じだが、昔の日本人はこんな意味不明な文字をちゃんと読めたのだろうか。モダンな洋館の中で、この書簡がある場所だけ、時が止まっているように感じられた。
さて、公邸の中を一通り見たあとは、大使館の方が民族衣装を着て一緒に写真撮影をしてくれた。あとは一方通行で庭を見て終了。
元々大名屋敷があった場所だから、庭園が広くてりっぱである。




この公邸はオランダ大使館のHPにも書かれているとおり、1923年の関東大震災で倒壊し、1928年に再建築された建物で、あと3年で100周年を迎える。
また、この公邸の裏手にある大使館本館(事務棟)は出島と同じ扇形に建てられたそうだ。こちらは中に入れず、外からだと少しカーブしているのは分かったが、全体の形は上からでないとよく分からない。

最後に、出口付近でオランダ名物の「ストロープワッフル」という焼き菓子の試食と販売をしていたので、ひと缶購入。無料のガイドブックも頂いて帰る。



大使館付近にある坂道は「切通坂」というが、昔はこの坂の上から東京湾が望めたという。いにしえの江戸を想いながら歩く東京の街もたまにはいいものである。
参考資料:4. 江戸・東京 | 出島から東京へ
映像字幕・実務翻訳者: 浦田貴美枝
Copyright©2025 Kimie Urata note
著書:『夢を叶える字幕翻訳者の翻訳ノート』
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『続・夢を叶える字幕翻訳者の翻訳ノート』
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