JW793 櫛を忘れて
【諸国鎮定編】エピソード6 櫛を忘れて
第十二代天皇、景行天皇の御世。
日本武尊(以下、タケル)一行は、悪しき魚を退治する使命を受け、伊予二名島(今の四国)に上陸した。


タケル(17)「して、伊予二名島の何処に参ったのだ?」
ナッカ「粟国っす。二千年後の徳島県北部っすね。」

タケル(17)「ん? なにゆえ、汝まで来ておるのだ?」
ナッカ「いいじゃないっすか! 膳夫として、加わったんすよ!」
タケル「膳夫?」
ナッカ「料理人ってことっす。」
タケル(17)「腹が減っては、戦は出来ぬが・・・。」

よっちゃん「して、悪しき魚は、何処に?」
疾風「モォォ!」
田子「ふむ。悪しき魚は、讃岐国(今の香川県)にて暴れておる・・・と申しておりまする。」

チヂオ「では、なにゆえ、粟国に?」
タケル(17)「迷って、ここに、来てしまったのかもしれぬな・・・。」
ナッカ「そうかもしれないっすね。」
疾風「モォォ!」
田子「ふむ。膳夫より、海に通じた者を連れてくるべきだった・・・と申しておりまする。」
ナッカ「悪かったっすね!」
弟彦「ともかく、船路の疲れを取りましょうぞ。」
七十六「そうですな・・・。ちと、船酔いが・・・。」
タケル(17)「では、少し休もうぞ。」
こうして、一行は、休息を取ったのち、讃岐に向かったのであったが・・・。

ナッカ「あれ? 忘れてるっすよ!」
タケル(17)「ん? 何を忘れたのだ?」
ナッカ「大御櫛笥っすよ!」
よっちゃん「化粧箱のことですな?」
ナッカ「その通りっす。」
タケル(17)「何を申しておる。俺は男だぞ? 化粧など、せぬっ。」
チヂオ「皇子? 男でも、髪を整えるのに、櫛を使いまするぞ?」
タケル(17)「そうなのか?!」
弟彦「して、櫛を入れた箱を忘れてきたと?」
ナッカ「そういうことっす。」
疾風「モォォ!」
田子「ふむ。この出来事により、徳島市の国府町観音寺にある、勝間の井の伝承が生まれたと申しておりまする。」







タケル(17)「勝間の井?」
七十六「我らが旅立ったあと、地元の者たちが、忘れた地に井戸を掘り、そこに、勝間の地名を残したというのです。」
タケル(17)「なにゆえ、井戸を造ろうと思うたのか、よくわからぬが、もっと気になるのは、勝間だ。どこを、どうやれば、勝間となるのだ?」
疾風「モォォ!」
田子「ふむ。この地の方言で、櫛のことを勝間と言ったのだとか・・・。」
タケル(17)「ヤマトの言の葉で言えば、櫛の井・・・ということか?」
田子「御意。」
七十六「他にも、鏡のような水面に顔を映し、櫛で、髪を整えていたことから付いた地名・・・とも言われておりまする。」
とにもかくにも、一行は、進軍をつづけ、讃岐国に到達した。
そして、讃岐の国造の神櫛皇子(以下、ムック)の出迎えを受けたのであった。

ムック「よくぞ、お越しになられた。『タケル』殿。」
タケル(17)「義兄上・・・。殿は、やめてくだされ。『タケル』で、良うござる。」
ムック「そうか? 汝が、それで良いと申すのなら、そうさせてもらおう。」
タケル(17)「して、義兄上? この者らは?」
ムック「うむ。讃岐の住人『カルロス』と『ホセ』じゃ。」
カルロス「お初にお目にかかりまする。」
ホセ「我ら、エピソード724以来の登場ですぞ!」
タケル(17)「この者らも、戦に加わるので?」
ムック「先の退治でも、働いてくれたゆえ・・・。」
カルロス「任せてください。」
無事に退治できるのであろうか?
次回につづく
