JW985 神札、宇宙へ
【東征冒険編】エピソード60 神札、宇宙へ
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦111年、皇紀771年(景行天皇41)。
ここは、腰掛神社(神奈川県茅ケ崎市芹沢)。







東征をつづける、日本武尊(以下、タケル)は、大山を眺めながら、休息を取っていた。


タケル(30)「俺が、坐った石は、二千年後も、残っておるのか?」
わかたけ「残っておりまする。その名も、腰掛玉石にござりまする。境内にて、守られておりまするぞ。」

タケル(30)「そうか・・・。それにしても、大山が美しい。再び、見ることが出来た・・・。」
わかたけ「たしか、エピソード845でも、大山を眺めましたなぁ?」

タケル(30)「うむ。あのときは、『タッチ(弟橘媛のこと)』が居た・・・。されど、今は・・・。」

わかたけ「ち・・・父上?」
タケル(30)「案ずるな。偲んでおるだけだ。」
わかたけ「か・・・かしこまりました。」
とにもかくにも、一行は歩を進めた。
そして・・・。
タケル(30)「ん? 川が有るぞ。ここで、休むと致そう。」
たけし「美しい川ですね。」
タケル(30)「うむ。川の水を飲んでみようぞ。ゴクゴクッ・・・。」
たけし「如何ですか?」
タケル(30)「美味い! それに、酒の匂いがする。この川を、酒匂川と名付けよう。」
たけし「酒匂川は、全長46㎞の二級河川です。静岡県を流れている時は、鮎沢川と呼ばれているんですよ。」
タケル(30)「そうか・・・。」

休息後、一行は、さらに歩を進め・・・。
タケル(30)「して、ここは?」
押根「ここは、皇子が立ち寄ったとされる地にござりまする。」
タケル(30)「ということは?」
押根「そののち、社が建てられました。その名も、寒田神社にござりまする。」


わかたけ「鎮座地は?」
押根「神奈川県松田町の松田惣領にござりまする。」







たけし「では、こちらの社に伝わる伝承も、紹介してください。」
押根「かしこまりました。皇子が、ここに立ち寄った折、タッチ様を偲んで、酒匂川に神酒を注いで、姫様の冥福を祈ったところ、神酒が海に流れ入るまで香ったので、酒勾川と名付けたと伝わっておりまする。」

タケル(30)「そうか・・・。『タッチ』の御魂を想って・・・。」
わかたけ「となると、祭神は?」
押根「皇子と、タッチ様にござりまする。」
タケル(30)「夫婦で祀られておるのだな?」
押根「御意。ちなみに、酒を入れたとされる木の椀が、神社に伝わっておりまするぞ。」
わかたけ「ロマンが過ぎるぞ。」
押根「そ・・・そうですな。」
たけし「こちらの社には、さらなるロマンが有りますよ。」
わかたけ「ん?」
たけし「アメリカ合衆国初の地球周遊に成功した、宇宙飛行士の話です。」
わかたけ「あめりがしゅ? ちきゅうしゅゆう? うちゅうひこし?」
たけし「西暦1962年、皇紀2622年、昭和37年に、神社の総代が、ソ連に先を越されたアメリカを励まそうと、国会議員を通じて、寒田神社の神札を送ったんです。」
タケル(30)「ふむ。」
たけし「その神札は、『ジョン・ハーシェル・グレン』中佐の手に渡りました。そして、中佐は、神札を携えて宇宙に飛び立ち、周遊は無事に成功。グレン中佐は、地球に帰還後、お礼参りをしたそうです。」


タケル(30)「寒田神社の神札が、遥か空の上を飛んだと?」
たけし「その通りです。」
わかたけ「父上と母上が、宇宙を飛んだ・・・ということじゃな?」
たけし「そうとも言えますね。」
タケル(30)「話が大きすぎて、付いて行けぬが、ロマンだな。」
わかたけ「御意! これぞ、ロマンですな!」
つづく
