JW993 杉の箸
【東征冒険編】エピソード68 杉の箸
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦111年、皇紀771年(景行天皇41)。
東征をつづける、日本武尊(以下、タケル)一行は、「甲斐の国造」の「甲斐の君の塩海」(以下、塩)と、「速彦の宿禰」の親子と共に、甲斐国(今の山梨県)を進んでいた。


そして、伊弉諾神、国常立尊、大国主大神、少彦名命、速玉男命、事解男命を祀る社を建てることにしたのであった。
ウィル「で? 何て名前の社にするんだ?」
タケル(30)「その名も、山梨岡神社だ!」


ウィル「鎮座地は?」
タケル(30)「山梨県山梨市下石森だ!」






塩「では、皇子。こちらの石に、坐ってくださりませ。」
タケル(30)「ん? そういうことか・・・。では・・・。」
速彦「こうして、皇子が、腰掛けたので、御腰掛石が誕生しましたぞ。」
八腹「拝殿の東に有りまする。」
ウィル「それだけじゃないぜ。石の上には、皇子を祀る祠が建てられたんだぜ。」
八腹「うむ。それが、天神社じゃ。」

タケル(30)「そうか・・・。ありがたいことだ。」
そして、一行は進軍をつづけ・・・。
タケル(30)「この辺りで、一休みしようぞ。」
ウィル「皇子ぉぉ。腹が減って、仕方ねぇんだけど・・・。」
タケル(30)「では、昼餉とするか・・・。」
たけし「ちょっと待ってください。」
タケル(30)「ん?」
たけし「私たちの時代に、昼餉は有りませんよ。」
タケル(30)「許せ。伝承なのだ。」
たけし「なんとぉぉ!」
ナッカ「それじゃあ、杉の枝を使って、箸を作るっす。」
こうして、一行は食事を済ませたのであったが・・・。
タケル(30)「では、この箸を地に刺そうぞ。」
塩「こうして、刺された箸は、すくすくと育ち、大きな杉の木になったのですぞ。」
速彦「そして、社が建ったんさよぉ。」
八腹「それが、甲斐奈神社にござりまする。鎮座地は、山梨県笛吹市一宮町の橋立にござりまする。」






ウィル「林部宮とか、橋立明神とも呼ばれてるんだぜ。伊弉諾神や伊弉冉神が祀られてるぜ。」
タケル(30)「甲斐奈神社か・・・。聞いたことが・・・。」
たけし「エピソード98で、紹介されているからでは?」
タケル(30)「やはり、そうか・・・。」
たけし「ただ、こちらの社は、山梨県甲府市中央に鎮座する、甲斐奈神社ですが・・・。」






タケル(30)「もしや、論社ということか?」
わかたけ「諸説有り・・・ということで?」
タケル(30)「うむ。始まり方も、異なるしな・・・。」
わかたけ「と申しますと?」
タケル(30)「エピソード98の甲斐奈神社は、向山土木毘古王こと、土木殿が祀ったことが、始まりであると、語られておる。」
ダータケ「前回の黒戸奈神社と同じく、『延喜式』に書かれた甲斐奈神社について、各々が、それぞれの起源を語っていると?」
タケル(30)「そういうことであろう。」
塩「ちなみに、大杉ですが・・・。」
タケル(30)「ん?」
塩「『橋立の大杉』と呼ばれていたのですが、西暦1953年、皇紀2613年、昭和28年に枯れてしまいもうした。」
速彦「二千年後は、大杉の跡と、石碑だけでごいす。」


タケル(30)「そうか・・・。」
ナッカ「なお、境内には、皇子を祀る林部天神社も鎮座してるっすよ。」

タケル(30)「摂社と呼ばれるモノだな?」
ナッカ「そうっす。」
とにもかくにも、甲斐奈神社が創建されたのであった。
つづく
