JW774 棹の森
【筑紫再征編】エピソード29 棹の森
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦97年、皇紀757年(景行天皇27)。
襲国(今の鹿児島県周辺)の熊襲を平定した、日本武尊(以下、タケル)の一行は、筑紫(今の九州)を巡っていた。


そして、ここは、福岡県水巻町の立屋敷。
「タケル」は、砧姫と再会し、彼女が妊娠したことを知ったのであった。




タケル(16)「早う産まれて来てほしいのう・・・。」
砧姫「楽しみにございます(*^-^*)」
もち「皇子・・・。ちょっと、よろしいですか?」
タケル(16)「何だ?」
もち「姫のおらぬ処で、話したいんやけど・・・。」
タケル(16)「気にすることはない。ここで、話せ。」
もち「で・・・では・・・。出立について、なんやけど・・・。」
タケル(16)「出立? 姫の身身(出産のこと)を見届けてからだ。」
もち「そんげなコツは、出来ないっちゃが!」
タケル(16)「ん? なにゆえだ?」
もち「皇子には、熊襲平定を大王に報せる務めが有るんや。呑気に身身を待っちょる時は、無いっちゃが。」
タケル(16)「そ・・・それは、そうだが・・・。」
そこに、砧姫の父、民(に)がやって来た。
民(に)「皇子・・・。御出立くださりませ。船を支度致しました。」
タケル(16)「船?」
民(に)「伝承によりますと、皇子の船は、竜造船という、舳に竜頭の彫り物を飾っていた船だったようですので、そのように致しましたぞ。」

タケル(16)「そこまでして、出立させたいのか?!」
もち「御意。」
タケル(16)「むむむ・・・。」
砧姫「皇子・・・。行ってください。私は、大丈夫ですから・・・。」
タケル(16)「わ・・・わかった。では、参ろうぞ。」
砧姫「お気を付けて・・・。」
タケル(16)「姫・・・。汝との契りの思い出に、銀杏の木を植えようぞ。」
民(に)「これが、エピソード752で紹介した、銀杏の木にござる。二千年後も、元気に生えておりまするぞ。」
もち「八劔神社の境内に生えちょるじ。」







タケル(16)「姫・・・。健やかな『やや(赤ん坊のこと)』を産むのだぞ。」
砧姫「はい・・・(´;ω;`)ウッ…。」
こうして「タケル」は、砧姫と別れ、船路を進んだ。
そして・・・。
ナッカ「皇子! 今日は、ここで仮寝(野宿のこと)するっす。」
弟彦「して、ここは何処に?」
よっちゃん「伊予二名島じゃ。」
チヂオ「二千年後の四国のことじゃな?」
よっちゃん「そうじゃ。」

タケル(16)「もう、そんなところまで、来ておるのか?」
弟彦「して、詳らかに申せば?」
疾風「モォォ!」
田子「ふむ。棹の森らしいぞ。」
ナッカ「その通りっす。そして、皇子が仮寝したことから、後に社が建ったっす。」
ウナ「その名も、三皇神社にござりまする。祭神は、皇子ですぞ。」
タケル(16)「快なりぃぃ!」


よっちゃん「し・・・して、棹の森に、社が建ったのござるか?」
ウナ「そうじゃ。」
チヂオ「二千年後の地名で申せば?」
ナッカ「愛媛県四国中央市の妻鳥町っすよ。」







タケル(16)「妻鳥町? 妻鳥・・・姫・・・。姫ぇぇ!!」
もち「ち・・・ちなみに、帰路ではなく、往路に立ち寄ったかもしれないっちゃ。」
チヂオ「此度の遠征の折に、立ち寄ったと書かれておるのですな?」
もち「じゃが。」
田子「とにかく、仮寝の支度をせねば・・・。」
タケル(16)「姫ぇぇ!」
こうして、一行は野宿したのであった。
つづく
