JW994 酒折の宮
【東征冒険編】エピソード69 酒折の宮
第十二代天皇、景行天皇の御世。
西暦111年、皇紀771年(景行天皇41)。
東征をつづける、日本武尊(以下、タケル)一行は、「甲斐の国造」の「甲斐の君の塩海」(以下、塩)と、「速彦の宿禰」の親子と共に、甲斐国(今の山梨県)を進んでいた。


タケル(30)「ということで、塩よ。」
塩「はっ。」
タケル(30)「汝に命じたいことが有る。」
塩「何でしょう?」
タケル(30)「汝が祭主となって、三輪の神を祀るべし!」
塩「三輪とは、国中(今の奈良盆地)の三輪山に鎮座する、大神神社のことですな?」



タケル(30)「そうだ。その祭神である、大物主大神を祀るのだ。」
塩「御意。」
速彦「こうして、美和神社が建てられたんさよぉ。鎮座地は、山梨県笛吹市御坂町の二之宮でござんす。」








神社を創建した一行は、進軍を再開し・・・。
タケル(30)「よし! ここで、一休みしようぞ。」
わかたけ「こうして、この地に、社が建ちもうした。」
ダータケ「それが、吾妻屋宮にござりまする。四阿宮や東屋宮とも書きまするぞ。」


わかたけ「さらに、四阿山権現とも呼ばれていたとのこと・・・。」
タケル(30)「して、鎮座地は?」
だねお「笛吹市春日居町の鎮目だがや。」




タケル(30)「祭神は?」
だねお「皇子と、弟橘媛こと『タッチ』姫だがや。」

タケル(30)「夫婦で祀ってくれているのか?」
だねお「御意。」
ダータケ「父上と母上を慕う者が、多く居るのですなぁ。」
タケル(30)「うむ。ありがたいことだ。」
わかたけ「して、このあとは?」
タケル(30)「さて・・・。何処に向かおうか・・・。」
塩「そろそろ、酒折に参られては?」
タケル(30)「ん?」
速彦「皇子が、しばらく過ごされたという『酒折の宮』が有るんさよぉ。」
タケル(30)「行宮・・・ということか?」
塩「御意。そして、二千年後は、社になっておりまする。その名も、酒折宮ですぞ。鎮座地は、山梨県甲府市の酒折になりまする。」





ダータケ「祭神は、やはり?」
速彦「皇子にござんす。」
タケル(30)「そうか・・・。」
塩「社となった経緯についても、語りましょうぞ。」
だねお「何かあったんきゃ?」
塩「皇子が『酒折の宮』に居た時、我を『甲斐の国造』に任命し、燧袋を授け、『行く末は、ここに鎮座しよう』と申されたことから、そののち、我が、燧袋を神体として、社を建てたと伝わっておるのです。」


タケル(30)「俺が、『塩』に国造を任せたと? では、今までは、どういうことだったのだ?」
塩「皇子・・・。それは、すなわち・・・。」
わかたけ「ロマン! ということじゃな?」
塩「御意。」
タケル(30)「なるほど・・・。」
押根「しばし、お待ちくださりませ。『酒折の宮』についてですが、笛吹市御坂町竹居に鎮座する、坂折天神社という説も有りまするぞ。」





わかたけ「おお! ロマン!」
押根「ぎょ・・・御意。」
ダータケ「こちらも、やはり、祭神は?」
押根「皇子にござりまする。」
だねお「ところで、押根。」
押根「はい。」
だねお「申し訳ないが、この物語では、甲府市酒折の方で、話を進めることになったでよ。」
押根「なんとぉぉ!」
とにもかくにも「酒折の宮」に滞在することになったのであった。
つづく
