JW5 皇子原にて
【神武東征編】エピソード5 皇子原にて
ここは、高千穂国。

紀元前711年、一人の男の子が産まれた。
のちに、初代天皇、神武天皇となる、狭野尊(以下、サノ)である。
そして、十年余りの歳月が流れた。
ここは、「宮の宇都」。







宮の主、彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊(以下、ウーガ)は、予想外の展開に、困惑していた。
ウーガ「どういうことっちゃ!? なして、我と『サノ』は、離れ離れになっちょるんや?!」
そこに、天道根(以下、ミチネ)という老人がやって来た。
ミチネ「読者のみなさん、お初にお目にかかりまする。我が『ミチネ』にござる。」
ウーガ「ん? なして、汝が、ここに? 汝には、鏡を祀る務めが、有るんやぞ? ここに居って、ええんか?」
ミチネ「されど、合いの手が要ると思いまして・・・。」
ウーガ「そ・・・そうか・・・。」
ミチネ「それに、少しくらい、息抜きも、せねば・・・と思いまして・・・。」
ウーガ「そ・・・そんげなコツより、なして、『サノ』が、ここに居らんのや?!」
ミチネ「仕方ありませぬ。『サノ』様は、異なる地で、育っておりまするゆえ・・・。」
ウーガ「どういうことっちゃ?」
ミチネ「古代は、通い婚にござりまするぞ?」
ウーガ「通い婚?」
ミチネ「古代の夫婦は、男が、女の家に通う形だったのです。」
ウーガ「じゃっどん、エピソード3では、『宮の宇都』で、共に暮らしたとか、何とか、言うちょったぞ?」
ミチネ「あれは、ミスリードですな。」
ウーガ「みすりぃ?」
ミチネ「とにかく、『サノ』様は、エピソード2で紹介した、高原町蒲牟田に鎮座する、皇子原神社にて、暮らしておりまする。」



ウーガ「玉依姫こと『タマちゃん』も、そこに?」
ミチネ「御意。」
ウーガ「こうなったら、行くしかない!」
こうして、「ウーガ」は、皇子原に向かった。
そして・・・。
ウーガ「タマちゃん! サノ! 我は、来てしまったじ!」
タマ「我が君? 如何あそばされました?」
ウーガ「『サノ』に会いに来たんや。」
サノ「父上! お待ちしておりました!」
ウーガ「そうか・・・。汝も、我に会いたかったんやな?」
サノ「はい。では、父上。よく見ていて、くださりませ。」
ウーガ「ん?」
サノ「こちらに、石が、ござりまする。」
ウーガ「う・・・うむ。」
サノ「坐りまするぞ。」
ウーガ「お・・・おう。」
サノ「さあ! 父上! 坐りましたぞ!」
ウーガ「ん?」
タマ「こうして、『サノちゃん』が坐ったことから、御腰掛石が誕生したのです。」

サノ「それだけでは、ありませぬぞ。」
タマ「えっ?」
サノ「母上が、我を産んだ折、諸物を洗い清めた地も、伝わっておりまする。」
タマ「知っておりますよ。血捨之木でしょう? エピソード3で、紹介しておりますよ。」
サノ「母上? 『まだまだ』ですね。」
タマ「えっ?」
サノ「他にも、赤池という伝承地が有るのですぞ。」




タマ「まさか、そんなことが・・・。」
サノ「そして、我は、産まれて、すぐに、祓い清められたのですが、その地が、祓原にござりまする。」
ウーガ「確かに、『そこ』やったな。」




サノ「そして、我は、そこの水を、常日頃、飲んだり、清めることに使っておりまする。」
タマ「祓川の水ですね?」
サノ「じゃが。祓川湧水園が、二千年後も有りますし、祓川についての案内板も有りまするぞ。」





解説は、つづく
