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THE GAZETTEを読む(49)2022年4月号大辞職の年と企業文化

 本記事は、ラスムセン・コンサルティングが発行しているメールマガジンTHE GAZETTEのバックナンバーを、日本語訳をしながら、コメントを加えながら読んでいくシリーズの一つである。レゴ®︎シリアスプレイ®︎(LSP)のファシリテーター・トレーニング修了者向けに書いている。
 この記事の引用元原文はこちらのURLから確認することができる。

転職への大きな関心

 2021年は「大辞職の年」と呼ばれることが多く、多くのCEOや人事部門は、従業員たちの労働力を維持することに不安を感じています。マイクロソフトの調査によると、世界の労働人口の41%が現在の職務からの退職を検討しており、仕事と人をつなぐグローバルリーダーであるMonster社によれば、95%の労働者が転職を検討していると報告しています。数ヶ月に及ぶ在宅勤務を経て職場に復帰している現在でも、ワーカーは自分の優先順位や選択肢を再検討し続けています。

THE GAZETTE 2022年4月号をDeepLで翻訳・筆者が修正

 上記にも出ているMonster社の調査は2020年度の結果であるようだ。このNoteの執筆時で最新の2022年度版については、以下からダウンロードすることができる(英語)。調査対象(回答者)は北米および欧州であるが、2022年度でも91%の人が転職を検討している結果になっており、「大辞職の年」から「大辞職時代」と言い換えることができる環境が生まれつつあるかもしれない。

有害な文化は報酬よりも重要度が高い

 LinkedInのGlobal Talent Trendsレポートによると、求職者は応募する前に約2倍の求人情報を閲覧している一方で、文化に言及した投稿は平均的な投稿と比較して67%多くいいね、シェア、コメント、クリックを獲得していることがわかりました。
 MIT傘下のRevelio Labsが行った調査によると、有害な企業文化は業界調整後の離職率を予測する上で圧倒的に強く、離職率を予測する上で報酬よりも10倍も重要であることがわかりました。有害な企業文化とは、恐怖に基づいた文化です。

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 転職理由についての調査は日本でもよく行われている。検索等でひっかかる、いくつかの調査をみると、「給与・賃金の低さ」「仕事への評価」「キャリア・アップの機会」という個人への待遇的な面と、「会社の将来性」「人間関係(主に上司との関係)」などの労働環境の面が拮抗している(複数回答の調査が多いことも理由だろう)。それらの調査においては「社風に合わない」という理由は低めであることが多いが、「人間関係」や「キャリアアップの機会」の方向性を決めているのは、その会社の考え方であると考えると「企業の文化」が離職に関係しているといえなくもない。
 注意しておかねばならないのは「企業の文化」は非常にあいまいな概念であることである。企業の文化が問題であると転職の問題と絡めて説明するならば、これらのアンケートなどで挙げられているより具体的な項目や、企業の文化が転職を生み出す典型的な事例やストーリーなどと共に語れるようにしておかねばならないだろう。

恐れのない組織

 Harvard大学のAmy Edmondson教授によると、恐怖心は社員を遠ざけるだけでなく、高くつくといいます。恐怖心は、最も自信のある声(最も賢い人や観察力のある人は稀なのです)以外を黙らせ、差し迫ったリスクの小さなシグナルは、こうして軽視または無視されてしまうのです。Edmondson教授は著書『恐れのない組織』の中で、心理的安全の重要性について詳しく述べています。心理的安全性は目標ではなく、他の感情がさかんに花開く土壌なのです。人々が安心して発言することができれば、組織はチームとして問題を解決し、早期に軌道修正を行うことができるのです。Edmondson教授は、従業員が発言することを奨励され、率直な発言が暗黙のうちに許されるような環境を作るための戦略を探っています。また、CEOやCOOが失敗や意見の相違をどのように「リフレーミング」するのか、多くの例を挙げています。これらの文言は、他の誰かからコピーすることはできず、カスタマイズされたものでなければなりません。「失敗は成功の母」「問題はチームスポーツである」などは、リフレーミングの例です。

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 単に組織の中にある問題点を指摘するだけではどうしてもかどが立ち、雰囲気が悪くなり、それによって思ったことを言いにくくなる雰囲気が生まれてくる。それが続くと「恐れのある企業文化」に戻ってしまうということである。
 それを避けるために、失敗や意見の相違が飛び交う状況を「リフレーミング」するというのは確かに有力な方法であるといえる。本文では触れられていないが、同じモデルについて解釈や別のストーリーを載せたりすることができるという点で、ここでいう状況の「リフレーミング」を体験したり、コツを掴んだりすることについても、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドは親和性が高いと考えることができる。ストレートに「失敗の価値」について考えさせ、モデルを作らせるだけでも面白くなりそうだ。

 この『恐れのない組織』は邦訳されている。さまざまな事例が紹介されているが、日本のケースとして東日本大震災の原子力発電事故に至った経緯のくだりは読んでいて心苦しくなる。再三の地震と津波に対する備えの薄さについての事前警告も、日本の中にある「盲目的な服従、権威に異を唱えたがらないこと、計画を何が何でも実行しようとする姿勢、集団主義、閉鎖性」によってはねつけられたという指摘(Edmondson教授は国会事故調の黒川氏の言葉を引用している)は、全ての日本人が胸に刻んでおかねばなるまい。

良い会話は声を出させる

 心理的に安全な文化をつくるための実践的なアドバイスを求められたとき、彼女は次のように言っています。「構造はあなたの味方です。一般的に、私たちは本当に良い会話、良い会議をすることができません。一度に一人が発言し、全員が聞き、内容を把握し、記録するなど、声を出すための軽い構造を導入してください。質の高い会話のベストプラクティスは稀である一方、同時に強制することができるものなのです。」
 レゴ®︎シリアスプレイ®︎を知る人は皆、質の高い会話をサポートする構造を提供することを知っています。

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 ここのEdmondson教授のアドバイスは、まさにレゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドの中核にあるコア・プロセスそのものであることは、ファシリテーターであれば気づくであろう。コア・プロセスをしっかりと進めることが自然と「恐れのない組織」を作ることに寄与するのであれば、レゴ®︎シリアスプレイ®︎メソッドに沿ったワークショップをすることそのことが対策になるということである。
 素直で実直なコミュニケーションの土壌をつくることで、組織内部を良くしていき、離職対策はもちろん組織の強さもレゴ®︎シリアスプレイ®︎が作ることに貢献できることをしっかりと世の中に伝えていきたいものである。

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