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【不登校・うつ】大人にも効く、心がゆるむ絵本6選【第22回】

この連載「うつや不登校の家族に知ってほしいこと」では、うつや不登校など、さまざまなしんどさを抱えた方と、そのそばにいる家族が、焦る気持ちを抱えながらも、自分たちのペースで整えていくための視点をお伝えしています。

前回までは、いい人の家庭内における問題、過干渉やハラスメントといった重たい話題が続きました。

今回は少し方向を変えて、疲れた気持ちにやさしさを取り戻すきっかけになるような絵本を紹介したいと思います。


『きみのことが だいすき』

なにをやっても空回りするとき。

ここまで、まっすぐに「そのままでいい」と受け止めてくれるものは、あまりないかもしれません。

しんどくてもいい。うまくいかなくてもいい。
思っていることが話せなくても、それでいい。

それでも、「あなたがだいすきだよ」と繰り返し伝えてくれる。

かなしい気持ちにふたをしなくていいことや、
怒りの奥にあるさみしさに、そっと気づかせてくれます。

「たくさん失敗するきみはすてき」
「がんばらなくても、あなたはよいこ」

そう言い切ってもらえる体験は、思っている以上に少ないのかもしれません。

読んでいると、誰かに受け入れてもらうというよりも、
自分の中にあるやわらかい部分に、そっと触れるような感覚になります。

そして同時に、
「こんなふうに関われる人でありたい」と思わせてくれる一冊でもあります。

親としても、治療者としても。

ときには、言葉を重ねるよりも、この一冊の方がすっと届くこともある。
そう感じる方もいるかもしれません。

子育てで悩んでいるとき。
手を抜いていいのか迷っているとき。

毎晩、自分に読んであげるのもいいかもしれません。

がんばりすぎてしまう人にこそ、一度、手に取ってみてほしい絵本です。

読み終わったあと、少しだけ、自分にやさしくなれるかもしれません。


『ハグして ぎゅっ!』

不安やさみしさが強いとき、
「大丈夫」と頭で考えても、気持ちはなかなか落ち着かないことがあります。

そんなときに必要なのは、言葉よりも先にくる「安心の感覚」なのかもしれません。

絵は少し独特ですが、

うまくいったときも、いかないときも、
さみしいときも、くやしいときも。

どんなときでも、ハグしてぎゅっ!

いいときだけでなく、うまくいかないときにも、
変わらず関わってくれる存在があること。

それは、思っている以上に大きな支えになります。

普段はなかなかできなくても、
親の方から、そっと抱きしめてみる。

そんな関わりが、安心の土台になっていきます。

親自身も、忘れていたなにかを思い出すきっかけになるかもしれません。

人には、そういう関わりが必要です。

子どもにも、大人にも。

ただ一緒にいて、抱きしめてもらえるような、そんな関わりが。


『あつかったら ぬげばいい』

気づかないうちに、
「こうしなければいけない」と、自分にルールを課してしまっていることがあります。

少し休みたいと思っても、
「まだがんばらないと」と、動き続けてしまうようなとき。

ちゃんとしていないといけない。
迷惑をかけてはいけない。
がんばり続けなければいけない。

この絵本は、「そんなに合わせなくてもいいんじゃない?」と、
やさしく視点をゆるめてくれます。

「正しいかどうか」ではなく、
「今の自分に合っているかどうか」で考えていい。

タイトルの通り、とてもシンプルなことを言っているのに、
どこかハッとさせられます。

「別のやり方でもいい」と気づいたとき、
少しだけ、呼吸がしやすくなります。

「これでもいいのかもしれない」と思える余白が生まれる。

がんばることをやめるのではなく、
自分に合ったがんばり方を探していく。

そんなきっかけを、そっとくれる絵本です。


『ぼく モグラ キツネ 馬』

ふと立ち止まって、
「このままでいいのかな」と思うときに。

モグラやキツネ、馬とのやりとりの中で、
うまく言葉にできないまま抱えていたものに、
そっと触れられるような感覚があります。

すぐに答えが出るわけではないけれど、
静かにそばに残ってくれる一冊です。


『やねうらべやのおばけ』

ひとりの時間が好きな人に、
ひっかかるかもしれない絵本です。

やねうらべやで気ままに暮らしていたおばけのもとに、
ある日から、子どもが毎日やってくるようになります。

おばけは自分の場所を取られるような気がして、
なんとか追い出そうとするのですが、うまくいきません。

けれど、いつの間にか、その子と遊ぶ約束をしていて、なんだかわくわくしている自分に気づきます。

最初は「なんでこの人が」と思うような相手でも、
いつのまにか関係が変わっていることがあります。

友達や人生は、
自分で選んでつくるというよりも、

気づいたら、縁の中で、少しずつ形になっていくものなのかもしれません。


『たまごにいちゃん』

摂食障害で入院していた高校生に、
絵本を読むことになったときの話です。

その子に
「どんな絵本がいい?」
「小さいときに読んでもらった思い出の本とかある?」
と聞いたときに、教えてくれた一冊でした。

本人にとって、印象に残っていた本だったようです。

摂食障害の子は、入院しても、なかなか休めるようにならないことが多いです。

その子も、ほとんど栄養も取れていないのに、
起きている間中、ベッドのそばに立って、小刻みに体を動かしていました。

横になることは、ほとんどできませんでした。

上の先生に、
「なるべく自然な形でベッドに横になれるようにしよう。絵本を読んであげるのはどうだろう」
と言われたことがきっかけでした。

実際に読んでみると、その子はこう言いました。

「内容はあんまり覚えてなかったけど、
たまごにいちゃんと、私の気持ちがすごく重なる」

それからも時間はかかりましたが、
少しずつ落ち着いて過ごせるようになり、退院していきました。

内容ははっきり覚えていなくても、
「感じたこと」は残っている。

そんな本があるのは、幸せなことかもしれません。

うまく休めない人の中にある寂しさに、
そっと触れてくる一冊です。


♪ Lullabye (Goodnight, My Angel)(Billy Joel)

夜、少し落ち着かないとき。
何かを考えすぎて、なかなか眠れないときに。

やさしく語りかけるようなメロディの中に、
「大丈夫だよ」と言葉にされない安心感があります。

誰かに言ってほしかった言葉を、
そのまま受け取るように聴いてもいいし、

「大丈夫だよ」と、
自分に向けて、そっと声をかけてみてもいい。

がんばってきた一日の終わりに、
少しだけ肩の力を抜く時間として。

静かに、心がほどけていくような曲です。


どれかひとつでも、
「見てみたいな」と思えるものがあったなら、うれしいです。

しんどいときは、無理に変わろうとしなくていい。

ただ、少しやわらぐ時間を持てたら、
それでいいのだと思います。


次回は、「わかってもらいたい」とがんばり続けてしまう人が、
自分を守るために距離を取ることについて、お話しします。

このnoteでは、うつ・不登校・子育て・親子関係・ネガティブな感情とのつきあい方など、
「読んで少しホッとする」「気持ちが軽くなる」
そんな記事をお届けしています。

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焦らずにいられる時間が、少しずつ増えていきますように。


▶この連載をまとめて読む
#うつや不登校の家族に知ってほしいこと

【連載一覧】(個々の記事は上記のリンクからみれます)

  • 第1回:「行けなくなった日」は家族にとって“始まり”、本人にとっては“もう限界”

  • 第2回:「怠けてる?」と感じてしまうときに

  • 第3回:家族自身を整えていくこと

  • 第4回:子どもが自立へ向かう関わり方―― うつの方への関わり方にも

  • 第5回:毎朝の「行く・行かない」に疲れたあなたへ

  • 第6回:年末年始の過ごし方 ― 回復を守るために家族ができること

  • 第7回:イライラ、不眠、痛み――それは「疲れ」のサインかもしれません

  • 第8回:子どもの部屋に入らないということ――見張られ感を減らす関わり

  • 暫定版最終回・前編:この地獄を少しでも楽しく生き延びるためのマインド――生活と心の編

  • 暫定版最終回・後編:この地獄を少しでも楽しく生き延びるためのマインド――子どもと大人が、楽に生きるための社会と教育

  • 第9回:親が「ムダ」と感じてるときにこそ、子どもは育ってる

  • 第10回:親子で考えるスマホ・ゲームのルール──「守らせる」より大切なこと

  • 第11回:ルールを守れないのは、怠けでも反抗でもありません──「守れなさ」には理由がある

  • 第12回:「手のかからなかった子」が急に動けなくなる理由──過剰適応という“見えない疲労”

  • 第13回:「いい子」が限界までがんばってしまう理由──過剰適応・完璧主義の背景にあるもの

  • 第14回:がんばりすぎた「いい子」を緩める関わり方──親にできる7つのこと

  • 第15回:「がんばれない」は甘えではありません。回復は「休めるようになること」から始まります

  • 第16回:「少し元気になったのに、また崩れた」――回復期に起こる“揺れ”

  • 第17回:「休んでいいよ」と言っているのに休めない理由――“空気で伝わる不安”

  • 第18回:休めないときの薬の使い方──「休める状態」をつくる

  • 第19回:なぜ休めない?──親子の距離が見えてくる入院の話

  • 第20回:いい人ほど、家でイライラしてしまう理由

  • 第21回:過干渉とハラスメントの本質──いい人ほど苦しくなる理由

  • 第22回:大人にも効く、心がゆるむ絵本6選


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精神科医・城戸高志 ありがとう!