『転生したら、余命一日だった。』 第3話「命の支払い、残り一時間」
「邪竜を従えた災厄の老賢者だ!」
村は完全にパニックだった。
鍬や鎌を持った村人が迫る。
(丸聞こえなんだよなぁ……)
その時、空が震えた。
ヨルムンガンドが戻ってくる。
『地獄門が開いた。ケルベロス付きだ』
さらに続ける。
『雷神トールも目覚めた。均衡が崩れたぞ』
つまり、俺のせいだ。
『トールは我が抑える。後始末は貴様がやれ』
無茶だ。だが他にいない。
ニンフに頼み、水で魔法陣を描かせる。
目標は地獄門の閉鎖。
火を思い描く。
また、間違えた。
顕現したのは焔の魔神イフリート。
『価値を示せ』
時間はない。
「俺の命も魔力も全部くれてやる。
だからケルベロスを止めろ」
魔神は笑う。
『よかろう。共に地獄へ行くぞ』
背後から声が飛ぶ。
「爺さん!世界救う気かよ!」
振り返らない。
それが、この世界で見られた最後の姿だった。
業火が空を白く塗りつぶす。
静寂の後、地獄門は消えていた。
地面に残っていたのは、焼けた杖一本。
名も知らぬ老賢者は、伝説だけを残して消えた。
――余命一日、使い切り。
完
いいなと思ったら応援しよう!
ありがとうございいます。今後の、創作活動をより、活発にしていく糧にさせていただきます。