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本当に効く覚え方は3つだけ|分散学習・検索練習・チャンク化の使い方

「勉強しているのに、なかなか覚えられない」

そう感じることがあります。

本を読んだ直後は、わかった気がする。
講義を聞いた直後は、理解できた気がする。
テキストにマーカーも引いた。
ノートも作った。

でも、翌日になると説明できない。
問題を解こうとすると、言葉が出てこない。

このとき、つい「自分は記憶力が悪いのかも」と思ってしまいます。

でも、本当に見直すべきなのは、記憶力ではなく「覚え方」かもしれません。

今回は、ネットでよく見る勉強法をそのまま信じるのではなく、学習科学の研究で比較的根拠が強い方法を確認しながら、実際に使える形に落とし込みます。

先に結論です。

まず押さえたい覚え方は、次の3つです。

  • 分散学習

  • 検索練習

  • チャンク化

この3つだけで、すべての勉強が完璧になるわけではありません。

ただ、英単語、資格勉強、読書、仕事の知識整理など、かなり広い場面で使いやすい方法です。

大事なのは、数字のインパクトに振り回されないこと。

「1日後に何%忘れる」といった話よりも、今日の勉強をどう設計するか。

学習法は、知って終わりではなく、使える形にして初めて意味があります。


なぜ、この3つなのか

学習法はたくさんあります。

マーカーを引く。
何度も読む。
ノートにまとめる。
語呂合わせを作る。
動画を見る。
人に説明する。

どれも役に立つ場面はあります。

ただ、研究レビューを見ていくと、効果が比較的安定している方法と、勉強した気にはなるけれど定着にはつながりにくい方法があります。

たとえば、Dunloskyらのレビューでは、複数の学習法を比較したうえで、検索練習分散学習が「高い有用性」を持つ方法として評価されています。

一方で、読み直しやハイライトは、多くの人が使うわりに、効果が安定しにくい方法として低めに評価されています。

もちろん、読むことや線を引くことが完全に無意味という話ではありません。

問題は、それだけで「覚えたつもり」になりやすいことです。

そこで今回は、実装しやすさも含めて、次の3つに絞ります。

1つ目は、時間を空ける「分散学習」。
2つ目は、見ずに思い出す「検索練習」。
3つ目は、情報をかたまりにする「チャンク化」。

順番に見ていきます。


1. 分散学習:一夜漬けより、間を空ける

分散学習とは、同じ内容を一度に詰め込むのではなく、時間を空けて何度か学ぶ方法です。

たとえば、英単語を30分まとめて覚えるのではなく、

  • 今日10分

  • 明日10分

  • 3日後10分

のように分けます。

ポイントは、同じ日に全部やらないことです。

記憶は、一度触れただけでは弱いままです。
時間を空けてもう一度出会うことで、忘れかけた情報を再び拾い上げることになります。

この「忘れかけたころにもう一度」が、記憶には効きやすい。

分散学習については、多くの研究があります。

Cepedaらのメタ分析では、317実験・184論文に含まれる839件の評価をもとに、学習間隔と記憶保持の関係が検討されています。

ただし、ここで気をつけたい誤解があります。

「復習は必ず翌日にしなければいけない」
「1日後、3日後、7日後が絶対に正しい」
「間隔を空ければ何でも覚えられる」

ここまで言い切るのは危険です。

適切な間隔は、覚える内容、試験日までの期間、今どれくらい覚えているかによって変わります。

なので、最初はざっくりで十分です。

今日からのやり方

  • 今日、新しい内容を学ぶ

  • 翌日に軽く思い出す

  • 3日後にもう一度確認する

  • 1週間後に再確認する

これくらいで始められます。

完璧な復習スケジュールを作るより、まず「一度で終わらせない」こと。

そこからで大丈夫です。

英単語なら

1日目に20語を見る。
その場で全部覚え切ろうとしない。
翌日に意味を隠して思い出す。
3日後に間違えた単語だけ確認する。
1週間後にもう一度テストする。

これだけでも、ただ単語帳を眺めるより、記憶に残る形になりやすいです。


2. 検索練習:読むより、思い出す

検索練習とは、覚えたい内容を「見直す」のではなく、「思い出す」練習をすることです。

英単語なら、単語を見て意味を思い出す。
資格勉強なら、問題文を見て答えを出す。
読書なら、本を閉じて要点を説明する。

やっていることはシンプルです。

頭の中から取り出す。

これだけです。

ただ読むだけだと、「見ればわかる」状態になりやすいです。
でも、テストや仕事で必要なのは「見なくても出せる」状態です。

RoedigerとKarpickeの研究では、テストは知識を測るだけでなく、その後の保持を高める学習活動として検討されています。

ここでも、よくある誤解があります。

「テストは仕上げにやるもの」
「まだ覚えていないから問題を解くのは早い」
「間違えると意味がない」

実際には、検索練習は早めに入れたほうが使いやすいです。

もちろん、何も知らない状態でいきなり難問に挑む必要はありません。

でも、1回読んだら、すぐに小さく思い出す。

このくらいなら、今日からできます。

今日からのやり方

1ページ読む。
本を閉じる。
「何が書いてあった?」を3つ書く。
見直してズレを直す。
翌日にもう一度、何も見ずに思い出す。

大事なのは、きれいなノートを作ることではありません。

思い出せなかった場所を見つけることです。

間違いは、失敗ではありません。
弱点の発見です。

資格勉強なら

テキストを読む。
すぐに小問を解く。
間違えた問題に印をつける。
解説を読む。
翌日、同じ問題をもう一度解く。

「読んでから問題」ではなく、
「読んだらすぐ小さく問題」。

これだけで、勉強の質はかなり変わります。


3. チャンク化:バラバラをかたまりにする

チャンク化とは、バラバラの情報を意味のあるかたまりにまとめることです。

たとえば、次の数字を見てください。

09012345678

少し覚えにくいです。

でも、こうするとどうでしょう。

090-1234-5678

情報そのものは変わっていません。
でも、扱いやすくなります。

これがチャンク化です。

人は、一度にたくさんの情報を扱うのが得意ではありません。

短期記憶・ワーキングメモリの容量について、Cowanは従来よく知られる「7±2」より小さい、約4チャンクという見方を示しています。

だから、覚える前に情報を整理することが大事です。

ただし、チャンク化にも誤解があります。

「語呂合わせを作れば何でも覚えられる」
「短くまとめれば理解したことになる」
「きれいな図解にすれば記憶に残る」

これは少し違います。

チャンク化は、記憶の入り口を整理する技術です。

長く覚えるには、分散学習や検索練習と組み合わせる必要があります。

今日からのやり方

覚えたい内容を全部書き出す。
似ているものをグループにする。
グループ名をつける。
そのグループごとに思い出す練習をする。

これだけです。

読書なら

読んだ内容を、ただ感想として残すのではなく、

  • 問題提起

  • 筆者の主張

  • 具体例

  • 自分に使えること

の4つに分ける。

あとから見返したときに、内容を取り出しやすくなります。

仕事の勉強なら

会議や資料の内容を、

  • 目的

  • 決定事項

  • 未解決のこと

  • 次にやること

に分ける。

これもチャンク化です。

「覚える」の前に、「扱いやすくする」。

このひと手間が、あとで効いてきます。


3つを組み合わせる実装レシピ

では、実際にどう使うのか。

おすすめは、1日10分からです。

最初から完璧な学習計画を作る必要はありません。

むしろ、続かない計画を作るくらいなら、雑でも回る仕組みのほうが強いです。

1週間レシピ

1日目:読む+チャンク化

新しい内容を10分読む。
読み終えたら、内容を3〜5個のかたまりに分ける。

2日目:検索練習

昨日の内容を見ずに思い出す。
思い出せなかったところだけ確認する。

3日目:別テーマ、または軽く休む

同じ内容を詰め込みすぎない。
別の内容に進んでもいい。

4日目:再検索

もう一度、見ずに思い出す。
前回より出てくるか確認する。

7日目:まとめ直し

1週間前の内容を、短く説明してみる。
説明できない部分だけ見直す。

流れとしては、

読む。
分ける。
思い出す。
間を空ける。
もう一度思い出す。

これだけです。


やらない損もある

学習法の話をするとき、「これをやると得をします」と言われることが多いです。

もちろん、それも事実です。

でも、もう少し現実的に言うなら、

覚えたつもりの時間を積み重ねると、あとで思い出せない損が出る。

こういう見方もできます。

人は、得をすることよりも、損を避けることに強く反応しやすいと言われます。

KahnemanとTverskyのプロスペクト理論は、人が結果を絶対量ではなく、損得の変化として評価しやすいことを示した代表的な理論です。

学習でも、似たことが起きます。

読むだけの勉強は、安心感があります。
マーカーを引くと、進んだ感じがします。
ノートをきれいにまとめると、やった気がします。

でも、あとで思い出せないなら、少しもったいない。

勉強時間そのものがムダという話ではありません。

せっかく使った時間を、ちゃんと残る形にしたい。

そのために、分散学習、検索練習、チャンク化を使います。


今日から使うなら、これだけ

まずは、次の形で十分です。

  • 新しい内容を読んだら、3つに分ける

  • 本やテキストを閉じて、見ずに思い出す

  • 翌日、3日後、1週間後にもう一度思い出す

これだけでも、勉強はかなり「記憶に残す形」に近づきます。

難しいアプリも、完璧なノート術も、最初は必要ありません。

必要なのは、読むだけで終わらせないことです。


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分散学習とセルフテストを30日計画へ落とし込めるExcelキットを準備しています。

英単語、資格勉強、読書などで、復習日と学習記録を自分で調整できる形を目指しています。

たとえば、次のような使い方を想定しています。

英単語ならどう組むか。
資格勉強なら何日ごとに見直すか。
読書ならどんなメモにすれば思い出しやすいか。

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公開後に詳しい内容と使い方を追記します。

復習タイミングの考え方、記憶に残すためのチェックリスト、学習メモの作り方などを、すぐ使える形でまとめています。

この記事で紹介した考え方を、今日から自分の勉強に落とし込みたい方は、次の一歩として活用してみてください。

▶ 公開後、この記事にも案内を追加します。


まとめ

本当に効く覚え方として、まず押さえたいのは次の3つです。

  • 分散学習:時間を空けて学ぶ

  • 検索練習:見直すより思い出す

  • チャンク化:バラバラの情報をかたまりにする

ただし、どれも魔法ではありません。

分散学習は、復習間隔を完璧に決めることではありません。
検索練習は、自分をテストで追い込むことではありません。
チャンク化は、きれいなまとめを作ることではありません。

大事なのは、実際に使える形にすることです。

記憶の話は、数字が大きいほど説得力があるように見えます。

でも、実際に変わるのは「何%忘れるか」を知った瞬間ではありません。

今日の10分をどう使うか。
明日の復習をどこに置くか。
読んだあとに、思い出す時間を作れるか。

そこです。

学習法は、数字のインパクトより実装です。

覚え方を知るだけで終わらせず、今日の勉強に入れられる形にしていく。

それが、いちばん現実的な記憶の変え方だと思います。


参考文献・出典

  • Dunlosky, J. et al. (2013). Improving Students' Learning With Effective Learning Techniques.

  • Cepeda, N. J. et al. (2006). Distributed Practice in Verbal Recall Tasks: A Review and Quantitative Synthesis.

  • Roediger, H. L. & Karpicke, J. D. (2006). Test-Enhanced Learning: Taking Memory Tests Improves Long-Term Retention.

  • Cowan, N. (2001). The Magical Number 4 in Short-Term Memory: A Reconsideration of Mental Storage Capacity.

  • Kahneman, D. & Tversky, A. (1979). Prospect Theory: An Analysis of Decision under Risk.


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