【SCM基礎】物流① 物流とは
こんにちは!サプライチェーン・マニアの瀬崎健です!
このシリーズでは、サプライチェーンの基礎について、なぜか時々バスケットボールになぞらえて説明しています。
サプライチェーンマネジャーという名の「勝利監督」をめざして、今回も学んでいきましょう。
前回までは、調達してきた選手(原料)を鍛え上げる「生産管理」についてお話ししてきました。 今回からは、いよいよ新しいステージ。 サプライチェーンの血管とも言える「物流」について解説していきます!
1. 物流とは:ボールをゴールまで運ぶ戦略
「物流」という言葉、よく耳にしますよね。 でも、具体的に何を指すのかと聞かれると、意外と「トラックで運ぶこと?」くらいのイメージになりがちです。
物流とは、一言で言うと「生産地から消費地まで、モノを物理的に動かすプロセス」のことです。 バスケで例えるなら、自陣のゴール下から、相手のゴールまでボールを運んでいく一連の動きすべてを指します。
物流の概念がはっきりと意識され始めたのは、1950年代の後半から1960年代のアメリカだと言われています。 当時は「フィジカル・ディストリビューション」と呼ばれ、日本語では「物的流通」、略して「物流」となりました。
それまでは「作れば売れる」時代だったので、運ぶこと自体はあまり重要視されていませんでした。 しかし、競争が激しくなるにつれ、「どれだけ安く、正確に届けるか」がチームの勝敗を分ける決定打になったのです。
物流の役割は、単にトラックを走らせることだけではありません。 保管する、包む、仕分ける、といった「モノの流れ」にまつわるすべての活動が含まれます。
2. 物流とロジスティクス:戦術か、戦略か
ここで、よく混同される言葉に「ロジスティクス」があります。 「物流と何が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
実は、ロジスティクスは物流よりも一歩進んだ、「全体最適」を目指す管理手法のことです。 もともとは軍事用語で、戦地へ食料や武器を効率よく補給するための「兵站(へいたん)」を意味していました。
ロジスティクスという考え方がビジネスで普及したのは、1980年代後半からです。 それまでは、運送部は運ぶだけ、倉庫部は保管するだけ、とバラバラに動いていました。 しかし、これでは無駄な在庫が溜まったり、逆に必要なときにモノがなかったりします。
そこで、調達・生産・販売といった各部門と連携し、「市場のニーズに合わせて、モノの流れを一本の線として管理する」ロジスティクスが登場しました。
これにより、無駄な在庫の削減や、リードタイムの短縮といった効果が生まれたのです。
物流の最適化という切り口での、マネジメントの発明でした。
3.3PL(サードパーティ・ロジスティクス)
最後に、最近の物流を語る上で欠かせない「3PL」について。
3PLとは、物流業務のすべて、あるいは一部を、外部の専門業者に丸ごと委託することです。 1990年代にアメリカで登場し、今や日本の多くの企業でも当たり前の戦略となっています。
物流を自社でやるのは本当に大変です。 倉庫での荷物管理、ドライバーの手配、トラックのメンテナンス……やることが山積みで、監督(マネジャー)の仕事がパンクしてしまいます。
そこで、「物流のプロ」をチームの外部スタッフとして雇うのが3PLです。 彼らは単に荷物を運ぶだけでなく、「どうすればもっと効率よく運べるか」という提案までしてくれる心強いパートナーになります。
バスケチームで例えるなら、遠征バスの手配やユニフォームの洗濯、プロテインの在庫管理などを、すべて**「チーム運営のプロ」に任せる**ようなものです。
3PLを導入する最大のメリットは、「自社の得意分野に集中できること」です。 監督であるあなたは、新しい戦術の開発(商品開発)や選手のスカウト(販売戦略)に専念できるようになります。 しかも、プロのノウハウを使うことで、コストを抑えながら配送の品質も上げられるんです。
ただし、注意点もあります。 丸投げしすぎると、「今、自分たちの荷物がどこでどうなっているか」が全くわからなくなるリスクがあるのです。 あくまで監督であるあなたが主導権を握りつつ、協力体制を築くことが勝利への近道です。
最近ではこの3PLがさらに進化しています。 複数の物流パートナーをまとめてサプライチェーン全体を最適化する「4PL」。 さらにITやネットビジネスの専門知識を駆使してネットワーク全体を設計する「5PL」なんて言葉も出てきました。
まさに、スーパーサイヤ人が3から4へ進化していくような、とんでもないパワーアップですね(違う)。
🚀 まとめ:物流はチームの生命線!
今回は、物流の基礎となる3つのポイントを解説しました。
一つ目は物流。ボールをゴールまで運ぶための物理的な動きそのものです。 二つ目はロジスティクス。勝利のために、モノの流れを全体最適化する戦略のこと。 三つ目は3PL。専門家の知恵を借りて、運びの仕組みをアウトソーシングすることです。
物流は、ただモノを動かすだけの地味な裏方仕事ではありません。「必要なときに、必要な場所へ、確実にお届けする」という、信頼のバトンをつなぐクリエイティブな仕事なのです。
さて、次回はこの「物流」をさらに深掘りしていきます。 物流には「6大機能」と呼ばれる核となる業務があります。 一つひとつ、どんな役割があるのかを詳しく紹介していきます。
お楽しみに!
