あなたの家の火災警報器、たぶんもう鳴りません。「電池切れ」じゃない、本体に10年の寿命がある話
天井を、見上げてみてほしい。
白くて、丸くて、
手のひらサイズの、
プラスチックのやつ。
「住宅用火災警報器」だ。
最後にそれを意識したの、
いつだろう。
たぶん、
「引っ越したときからある」
「気づいたら付いてた」
くらいの人が、
ほとんどだと思う。
でも、今日は、
現場の人間として、
はっきり言わせてほしい。
あなたの家のそれは、
たぶん、もう
“寿命”を過ぎている。
いざ火事でも、
鳴らないかもしれない。
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■「電池切れ」じゃない。本体に寿命がある
多くの人が、
こう思っている。
「電池が切れたら、
電池を替えればいい」
半分は正しくて、
半分は、危ない。
火災警報器の中には、
熱や煙を感じるための
センサーと、電子部品が入っている。
これが、
だいたい10年で、
経年劣化してくる。
すると、
見た目はふつうでも、
いざ火事のとき、
反応しないことがある。
だから、
電池を替えて延命するのではなく、
「本体ごと、10年で交換」
これが、
総務省消防庁もすすめている考え方だ。
(「とりカエル」というキャラで
啓発もされている)
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■なぜ「今」なのか
ここが、いちばん伝えたいところ。
住宅用の火災警報器は、
2006年(平成18年)に、
新築住宅で義務化された。
そして、
すでに建っていた家も、
2011年(平成23年)ごろまでに、
全国で設置が義務づけられた。
つまり、
多くの家が、
2011年前後に、
いっせいに取り付けている。
……もう、気づいただろうか。
2026年の今から数えると、
設置から、およそ15年。
本体の寿命「10年」を、
とっくに、超えている。
「うちは付いてるから大丈夫」
その警報器こそ、
いちばん危ないかもしれない。
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■警報器は「寝ている間の、見張り番」
なぜ、そこまで言うか。
住宅火災で亡くなる人の多くは、
「逃げ遅れ」だ。
しかも、
火が出た時間帯を見ると、
深夜から明け方の、
みんなが眠っている時間に、
多く起きている。
火事のいちばん怖いところは、
炎より先に、
煙と一酸化炭素が回ること。
眠っていると、
それに、気づけない。
火災警報器は、
その「気づけない時間」に、
たった一人、
起きていてくれる見張り番だ。
消防庁の分析でも、
警報器がある住宅は、ない住宅に比べ、
火災による死者や被害が、
おおむね半分ほどに抑えられている、
とされている。
たった数千円の、
白い丸いやつが、だ。
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■今夜、30秒でできる確認
むずかしいことは、いらない。
① 天井や壁の、白い丸いやつを探す
(寝室と、階段の上あたり)
② 本体のボタンを押すか、
ひもを引く
→ 音が鳴れば、電子系はひとまず生きている
→ 無音なら、電池切れか、寿命
③ 本体のどこかに、
「製造年」が書いてある
→ それが2016年より前なら、
鳴っても、交換を考えていい
前に、封水切れの記事でも書いた。
家は、
放っておくと、静かに不調になる。
そして、
その不調の多くは、
「見えないところ」で進む。
火災警報器も、
まさに、それだ。
普段は、ただの置物みたいで、
存在すら忘れている。
でも、
本当に必要な夜に鳴らなかったら、
取り返しがつかない。
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「安全のルールは、
誰かが亡くなったあとにできる」
この連載で、
何度も書いてきた言葉だ。
火災警報器の義務化も、
たくさんの逃げ遅れの犠牲の
あとにできた。
その仕組みを、
10年ごとに更新するかどうかは、
もう、法律じゃなく、
一人ひとりの手にゆだねられている。
今夜、寝る前に、
天井を、見上げてみてほしい。
白い丸いやつの、製造年を。
それが、
あなたと家族の、
静かな見張り番の、年齢だ。
