【酸化と還元 Part②💚】物質が電子を失う変化を「酸化」と電子を受け取る変化を「還元」をどのように見極めていくか⚗️:毒物劇物取扱者試験対策 No.71
毒物劇物取扱者試験の合格を目指す皆様
日々の勉強お疲れ様です📚
前回の【酸化と還元 Part①】では、酸素や水素の
授受を中心とした基本的な概念を学びましたが
今回の【酸化と還元 Part②】からが本番であり
試験で最も合否を分ける本質的な内容へと突入します。
今回は、電子の移動による厳密な定義や
計算問題の土台となる酸化数の数理的な捉え方
そして試験に頻出する強力な酸化剤・還元剤の性質
について、初学者の方でも確実に得点源にできるよう
一歩ずつ丁寧に解説していきます📚
ここを乗り越えれば、基礎化学の計算問題に対する
苦手意識は完全に吹き飛びますので
今回も一緒に集中して学んでいきましょう!
電子のやりとりによる酸化と還元の定義
化学反応における酸化と還元を最も広く
かつ厳密に説明するためには
酸素の有無だけでなく「電子の移動」に
着目する必要があります🌟
酸化とは、原子やイオンが
電子を失う変化のことを指します。
一方で還元とは、原子やイオンが電子を
受け取る(得る)変化のことを指します💡
この電子の動きを最も直感的に理解するために
物質Aと物質Bの間で行われる電子$${ \text{e}^- }$$の
キャッチボールを数式で視覚化してみましょう。

Source: Getty Images
まず、物質Aが電子を失って陽イオンになる
変化(酸化)は、次のような式で表すことができます。
$${ \text{A} \rightarrow \text{A}^+ + \text{e}^- \text{ (酸化)} }$$
同時に、物質Aが放出した電子$${ \text{e}^- }$$が
中央を矢印のように通り抜けて物質Bへと移動し
物質Bがその電子を受け取って陰イオンになる
変化(還元)は、次のように表されます。
$${ \text{B} + \text{e}^- \rightarrow \text{B}^- \text{ (還元)} }$$
試験では、この「電子を失う=酸化」
「電子を受け取る=還元」という基本原則と
電子がAからBへと移動するイメージを
頭の中に焼き付けておくことが、複雑な
物質の反応を紐解く鍵となるでしょう🔒
酸化数の増減による酸化と還元の表し方
電子のやりとりをより視覚的に、そして計算可能に
するための数学的モデルが「酸化数」です。
酸化数とは、物質中の各原子が
どの程度電子を失っているか、あるいは
受け取っているかを数値化した指標です。
酸化数を正確に決定するためには
試験に高確率で出題される厳格な
計算ルールをマスターする必要があります📝
まず、単体を構成する原子の酸化数は、その物質の
種類に関わらずすべて$${ \text{0} }$$として扱います。
次に、化合物中においては、原則として
水素原子の酸化数を$${ \text{+1} }$$
酸素原子の酸化数を$${ \text{-2} }$$を
基準として計算していきます!
ただし、ここには試験で非常に
狙われやすい重要な例外が存在します。
過酸化水素$${ \text{H}_2\text{O}_2 }$$中における
酸素原子の酸化数は$${ \text{-1} }$$となり
金属水素化合物(例えば水素化ナトリウム$${ \text{NaH} }$$など)中
における水素原子の酸化数は$${ \text{-1} }$$となります。
✅酸化数の決定ルール
①単体の中の原子の酸化数の数は0(ゼロ)とする。
例)$${H_2、O_2、C、S}$$、金属などの原子はゼロ。
②通常、化合物中の水素原子の酸化数は$${+1}$$、酸素原子の酸化数は$${-2}$$とする。
例)$${H_2O}$$では、$${H}$$は$${+1}$$、$${O}$$は$${-2}$$
③化合物中における原子の酸化数の総和は0である。
例)$${SO_2}$$では、$${O}$$は$${-2}$$なので、${{S}$$は$${+4}$$
④単原子のイオンの酸化数は、そのイオンの価数に等しい。
例)$${K^+}$$、$${H^+}$$では$${+1}$$、$${S^{2-}}$$では$${-2}$$
⑤原子団からできているイオンでは、その中の原子の酸化数の総和は、そのイオンの価数に等しい。
例)$${CO_3^{2-}}$$では、$${O}$$は$${-2}$$であるから、$${C}$$は$${+4}$$
注1)過酸化物($${H_2O_2 , Na_2O_2}}$$など)では、酸素原子の酸化数を$${-1}$$とする。
注2)周期表の1族と2族の金属の水素化合物($${NaH,LiH,CaH_2}$$など)では、水素原子の酸化数を$${-1}$$とする。
さらに、電気的なバランスのルールとして
電荷を持たない中性分子を構成する
全原子の酸化数の総和は必ず$${ \text{0} }$$になり
イオンの場合は全原子の酸化数の総和が
そのイオンの価数(符号を含む)と一致します。
このモデルを用いて、多原子イオンである
硫酸イオン$${ \text{SO}_4^{2-} }$$の中の
硫黄原子の酸化数を計算してみましょう。
求める硫黄原子の酸化数を$${ x }$$とおくと
酸素原子の基準である$${ \text{-2} }$$が4個存在し
イオン全体の価数が$${ \text{-2} }$$であることから
次の一次方程式を組み立てることができます。
$${ x + ( -2 ) \times \text{4} = -2 }$$
この数式を展開すると次のようになります。
$${ x - \text{8} = -2 }$$
これを解くと、$${ x = +6 }$$となり
硫酸イオン中の硫黄原子の酸化数は
$${ \text{+6} }$$であることがわかります。
化学反応の前後でこの酸化数を比較したとき
酸化数が増加していればその原子は
「酸化された」と表し、酸化数が
減少していれば「還元された」と表します。
覚えておきたい酸化還元反応式
試験では、反応式の係数 (数字) の穴埋め
発生する気体の種類、そして「どの物質が
酸化剤 (または還元剤) として働いたか」
が波及して問われます📝
知識ゼロからでも構造的に理解できるよう
実務上のキーワードと合わせて整理していきましょう!
①硫化水素と二酸化硫黄の反応
$${ \\\text{2H}_2\text{S + SO}_2 \rightarrow \text{3S + 2H}_2\text{O} }$$
✅覚えておきたいポイント
・酸化還元:$${ \text{H}_2\text{S} }$$が
還元剤(Sの酸化数が$${ \text{-2} } \rightarrow \text{0} $$へ増加)
$${ \text{SO}_2 }$$が酸化剤(Sの酸化数が$${ \text{+4} } \rightarrow \text{0} $$ へ減少) として働きます。
・無色の気体同士が反応すると
黄白色の硫黄(S)の沈殿(または白煙) を生じます。
この「黄白色の沈殿」というフレーズが
鑑別問題の決定的なヒントになります。
②塩素と硫化水素の反応
$${\\ \text{Cl}_2 + \text{H}_2\text{S} \rightarrow \text{2HCl + S} }$$
✅覚えておきたいポイント
・酸化還元:塩素$${ \text{Cl}_2 }$$が
酸化剤として働き、自身の酸化数は
$${ \text{0} } \rightarrow \text{-1} $$に減少(還元)します。
・実務のポイントとして、黄緑色で刺激臭のある
塩素ガスに硫化水素を通すと、塩素の色彩が消失し
黄白色の硫黄(S)が析出されます。
③シアン化ナトリウムの酸化分解反応
$${ \text{2NaCN + 5NaClO + H}_2\text{O} \rightarrow \text{2NaHCO}_3 + \text{N}_2 + \text{5NaCl} }$$
✅覚えておきたいポイント
・酸化還元:猛毒のシアン基$${ \text{(CN}^-)} $$が酸化され
無害な窒素ガス(N₂)と炭酸水素ナトリウムに分解されます。
・実務のポイントとして、漏えい現場で
酸をかけると猛毒のシアン化水素ガスが発生するため
必ずアルカリ条件下で強力な酸化剤である
次亜塩素酸ナトリウムNaClOなどを注ぎます!
④シュウ酸の酸化廃棄処理
$${\\ \text{5H}_2\text{C}_2\text{O}_4 + \text{2KMnO}_4 + \text{3H}_2\text{SO}_4 \rightarrow \text{10CO}_2 + \text{2MnSO}_4 + \text{K}_2\text{SO}_4 + \text{8H}_2\text{O} }$$
✅覚えておきたいポイント
・酸化還元:シュウ酸中の炭素(C)の酸化数が$${ \text{+3} } \rightarrow \text{+4}$$へ増加(酸化)し、無毒な二酸化炭素(CO₂)になります。
過マンガン酸イオン中のマンガン(Mn)は$${ \text{+7} } \rightarrow \text{+2} $$へ減少(還元)し、赤紫色から無色へと変化します。
・実務のポイントとして、還元剤であるシュウ酸(劇物)の廃棄において、硫酸酸性条件下で強力な酸化剤である過マンガン酸カリウム(劇物)を加えて処理する際の反応である点を覚えておきましょう!
⑤亜鉛と希硫酸の反応
$${\\ \text{Zn + H}_2\text{SO}_4 \rightarrow \text{ZnSO}_4 + \text{H}_2 }$$
✅覚えておきたいポイント
・酸化還元:亜鉛$${ \text{Zn} }$$の酸化数が
$${ \text{0} } \rightarrow \text{+2}$$へ増加(酸化)し
水素原子が$${ \text{+1} } \rightarrow \text{0} $$へ減少(還元)します。
・実務のポイント:亜鉛が硫酸に溶けて、無色・無臭で可燃性の水素ガス(H₂)が激しく発生します。
実務における「ヒ素の検出試験(グートツァイト法)」の還元用水素を作る原理としても重要である点は、頭の片隅に留めておいてください。
⑥銅と濃硝酸の反応
$${ \\\text{Cu + 4HNO}_3 \rightarrow \text{Cu(NO}_3)_2 + \text{2NO}_2 + \text{2H}_2\text{O} }$$
✅覚えておきたいポイント
・酸化還元:銅が酸化され、硝酸中の窒素(N)の酸化数が$${ \text{+5} } \rightarrow \text{+4} $$へ減少(還元)します。
・実務のポイント:銅に「希」硝酸を作用させた場合は、無色の気体である一酸化窒素(NO)が発生します。
これが空気中の酸素と触れるとただちに酸化されて赤褐色の$${NO_2}$$に変わります。
他にもご紹介すべき代表的な酸化還元反応式は
ございますが、本稿では一旦ここまでとします!
他の単元や毒劇物を学習する際にご紹介できる
内容があれば、まとめていきたいと思います👍
※参考演習例題は割愛いたします🙏
本稿では、毒物劇物取扱者試験における
化学の本質である「電子の授受による酸化と還元」
および「酸化数の決定」について解説しました📗
電子を失う変化が酸化、受け取る変化が還元であり
物質Aから物質Bへ電子が移動するというイメージを
整理してみました!
また、それを数値化した酸化数の決定ルールについて
過酸化水素や金属水素化合物などの例外を含めて
網羅し、硫酸イオン等を例とした数式による
具体的な計算手順を提示しました。
代表的な酸化還元反応式と関連して覚えておきたい
内容についても、整理しておりますので
ご参考になれば、大変嬉しい限りです🌈
お復習いはマガジンにて📚
本日のアウトプットはここまでとします!
一歩一歩の積み重ねが、毒物・劇物に関する
プロフェッショナルとしての確固たる知見へと
繋がっていくことでしょう✨
この調子で、毒物劇物取扱者試験の合格を目指して
共に着実に歩みを進めて行きましょう🔥
皆様の弛まぬ努力が、最高の結果として
結実することを心より応援しております!
参考リンク・おすすめのテキスト📚
各都道府県にて、毒物劇物取扱者試験に
ついての案内がHPが掲載されているはずですので
詳細は該当する都道府県のサイトをご確認ください🙏
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最後までご覧いただきありがとうございました🌈
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