7/3ー令和2年7月豪雨
7月3日は,令和2年7月豪雨の日でもありました(自然災害は,和暦を用いて気象庁が命名する名前が正式名称になります)。この豪雨もまた,原因は線状降水帯です。7/3~4日にかけて,水俣では513mmを記録するなど,熊本県南部で広い範囲にわたって,400mmを超える大雨となりました。

なお,当時の球磨川の様子です。また日田市の様子も,洪水のすさまじさを語る貴重な映像です。少し長いものをご覧になりたい方は,こちらをご覧いただけたらと思います。
さて。
この豪雨の最大の被災地は球磨川流域でした。球磨川は全国の109水系の1級水系河川(本川)の1つですが,(北海道を除くと)珍しく,一県内で完結している河川です。ということで,球磨川流域=熊本県と基本的にはなります。


この令和2年7月豪雨の熊本県の被害はこちらです。死者・行方不明者は,最終的に69人になっています(熊本県資料)。他方,国土交通省の資料は7月8日の速報ですので,65人になっています。資料作成の時期のずれから,数値に若干のずれがありますが,見て頂きたいのは死者の年齢・場所です。
この令和2年7月豪雨でも,高齢者が犠牲になりました。そのなかには,特別養護老人ホーム千寿園の入居者14人もいました。この千寿園(球磨郡球磨村大字渡)が立地していた場所は,ハザードマップ上,危険性が指摘されていた場所でした。そこに千寿園が建っていた,いやそういう場所にしか特養が建てられなかったということが,この国の福祉の現状なんだと思います。なお千寿園を含む球磨村の当時の様子は,こちらに映像が残されています。
(前略)14人の高齢者が亡くなった千寿園は,土砂災害防止法上の土砂災害警戒区域(イエローゾーン)内に位置していたほか,球磨村に隣接する人吉市が2017年作成したハザードマップ(総合防災マップ)でも浸水が懸念されていた地域である。千寿園では,「洪水や土砂災害に備えて避難確保計画を作成し,年2回の避難訓練では地域住民と協力して車椅子の入所者を高台に避難させる訓練も実施していた」(山本・渡邉・兼光・坂本・岩谷2021,p114)が,それでも今回の悲劇を防ぐには至らなかった。
水害後,厚生労働省(老健局)と国土交通省(水管理・国土保全局)が共同して事務局を担う「令和2年7月豪雨災害を踏まえた高齢者福祉施設の避難確保に関する検討会」(座長・鍵谷一跡見学園女子大学教授)が立ち上げられた。同検討会に提出された資料「高齢者福祉施設の避難確保における実態調査の結果」 は,千寿園の悲劇が繰り返される恐れがあることを明らかにしている。アンケート調査では,全国7,531の特別養護老人ホーム・地域密着型特別養護老人ホームのうち,洪水浸水想定区域内に2,048施設,土砂災害警戒区域内に1,085施設もあり,双方が該当する施設も106もあったことが明らかになった。そのうち531施設が,浸水深3m以上が予想される区域にある(同,p3)。3m以上の浸水が予想されるということは,2階への垂直避難では助からない恐れがある。水平避難が困難な人々が住む施設が垂直避難も危険となれば,事態は深刻である。
【追記】 他方で,救出作戦に成功した特養もあります。
