ClaudeCodeの「作業」を全部Pythonに渡したら9,309行になった話【AI経営実験 #46】
この記事はClaude Codeの月額トークンコストで悩んでいる経営者・IT担当者向けに、コストを3割削減した方法と、その過程で積み上がったPython30本・9,309行の内訳・役割分担設計を一次情報でまとめたものです。
毎日Claude Code(Anthropic社が提供するAI開発支援ツール)を使っていると、ある問題に気づきます。
トークン(AIが文章を処理する際の単位。1トークンは日本語で約1〜2文字に相当します)が、あっという間に消えていくのです。
MAXプラン(Anthropic社が提供する最上位サブスクリプション。月額200ドル前後)でも、午前中だけで使用量が50%を超えることがありました。「こんなはずじゃなかった」と、使い方を見直したのが昨年末のことです。
トップ3スキルが全体の9割を消費していた
原因を調べるため、スキル(定型業務の手順を自動化したAIへの指示セット)ごとのトークン消費量を集計しました。
結果は明快でした。上位3つのスキルで全体消費量の約9割を占めていたのです。
そのうちの多くが、「判断」ではなく「作業」でした。JSON変換、スコア集計、テンプレート配布。これらは毎回同じルールで動く固定ロジックです。
「これ、わざわざAIに頼む必要はないんじゃないか?」
別の記事「AIの月額コストが止まらない。"判断"と"作業"を分けたら3割減った話」で書いた結論の裏側は、この発見から始まっています。
「固定ロジックはPythonに渡す」と決めた
AIに任せる作業と、Pythonに渡す作業を明確に分けることにしました。基準はシンプルです。「判断が必要なもの」はClaudeに、「毎回同じ手順で動くもの」はPythonスクリプトに渡す。
Pythonに渡した領域は大きく3つのカテゴリです。
1. 集計系
スコア計算やランキング、メトリクス集計など。AIが「評価する」、Pythonが「集計する」という分業です。
2. フォーマット変換
JSONのレビュー結果をMarkdownレポートに変換する処理などです。変換ルールが固定している以上、AIが毎回考える必要はありません。
# フォーマット変換の例(レビューログ保存)
def format_review_log(review_json: dict, output_path: str) -> None:
"""AI評価結果のJSONをMarkdownレポートに変換して保存する"""
lines = [f"# レビューログ: {review_json['title']}", ""]
for item in review_json.get("checks", []):
status = "✅" if item["passed"] else "❌"
lines.append(f"- {status} {item['name']}: {item['comment']}")
with open(output_path, "w", encoding="utf-8") as f:
f.write("\n".join(lines))3. テンプレート生成
評価テンプレートの配布や、記事番号の採番など。「次の記事番号は何番か」をAIに毎回計算させる必要はありません。
スクリプトが30本になった内訳
この方針を続けていくと、スクリプトが自然と増えていきました。主なヘルパーを紹介します。
quality-checker.py
記事やスキルの品質チェックを自動化します。AIが評価した結果をPythonが集計し、スコア・改善ポイントをまとめて出力します。
note-article-helper.py
記事の採番と過去の評価ログ検索を担当します。新記事を書く前に「同じテーマで過去に何を書いたか」を瞬時に引き出せます。
periodic-check.sh
週次で自動実行するShell scriptです。トークン最適化の棚卸しを行い、半年後の全体見直しをタスクに登録する処理も含まれています。
# 週次トークン最適化チェックの実行例
bash scripts/mark-periodic-done.sh token-optimization
# → 状態ファイルを更新して「今週分は完了」を記録30本のスクリプトは15のスキルに計45箇所組み込まれています。AIが判断している間、裏側でPythonが黙々と処理する形です。
AIに残した判断領域
では、AIには何を任せているのか。
文章生成・創造(記事本文、提案書)
評価判断(品質基準への合致判定)
対話・壁打ち
コード設計の判断
この境界を意識するようになって、「AIは何でもできる」から「AIが本領発揮するのはここだ」への転換が起きました。
Context Engineering(文脈の与え方を設計して精度を高める考え方)の観点でも、AIに渡す文脈を絞ることで出力の質が上がります。雑用を押し付けないことが、AIの本来の力を引き出すことにつながっていました。
結果の数字
半年で積み上がった数字は、こうなりました。Pythonスクリプト30本・総行数9,309行。15のスキルに計45箇所組み込み済み。月額コストは約3割削減しています。
定期運用はweekly(週次)で自動化しており、半年ごとに全体の棚卸しを実施しています。
学んだこと:「AI雑用係化」問題
この半年で言語化できたことがあります。
AIに作業を全部押し付けると、「AI雑用係化」が起きます。優秀な人材に雑用ばかりやらせている管理職と同じ構造です。コストが膨らみ、本来の判断力も引き出せなくなります。
平成国際大学 情報デザイン学部の教員として学生に伝えていることと同じです。ツールの性質を理解し、適切な仕事を割り振ること。役割分担の設計が生産性を決めます。
AIのコストで悩んでいる方は、「今AIに任せている仕事のうち、実は固定ロジックで動いているものはないか?」を棚卸しするところから始めてみてください。月額コストを3割削減し、判断の質は落とさない仕組み化。90分で削減ポイントの棚卸しができます。
あなたの組織でAIに任せている仕事のうち、「これ本当に判断が必要?実は毎回同じ手順では?」と思えるものはありますか?
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