『ケニィの心臓❤バグ野郎 de 月臍国墨祭市』#9 🔥地獄芸能界🔥に墜ちかけた【実話】の事実を拒否するコラソン
前書き:
芸能界でご活躍中の方々や習い事の講師の方々全体を揶揄する意図はみじんもございません。あくまで私の個人的な経験と私見でございます。
※ご注意:フラッシュバックの恐れについて
本作では、習い事において講師から「いやな目」で見られたり、しごかれたりしたトラウマを綴っています。
直接的な描写は一切ありませんが、同様の経験をお持ちの方はご注意ください。
怖い場合は本文を飛ばしてComentarioのみご覧ください。
そこは安全保証付きです。
さらに「へェ~」ボタンを連打したくなるでしょう。
(おかアさん、よく「へぇへぇへぇ~」って右手バンバンすんだけど。僕は母似なんだろね)
しかし、とても素敵な唄の数々をご紹介・公式リンクを貼っております。
自身を「再生・復活」――Resurrección――したい時や、重力を無視して空へ堕ちたい時などにぴったりな曲です。
……
僕を「黒い羊」を飛び越して「暗黒羊」へと変容させたトラウマのため、まともに書くとキツイので、事実を巧みにスライドさせ、絶妙に時空を歪ませることにより何とか書ききりました。
愉快な贄話や、『リメンバー・ミー』のシン解釈も同時に構想しているのですが、まず、この話を書いてしまわなければ!
自分自身の大地に根を張らねば!
リアル・ライフが手につかなくなるのです。
よって、実話ベイスではある気がするけれど...
僕のコラソンは、実話であることを拒否します。
去年の11月1日、死者の日…
昨日のように覚えてる。
むせかえるセンパスーチルの香り、たなびくパペルピカド、壁にはった先祖の写真。
パン・デ・ムエルト、タマレスにチャンプラード、モレ、日本人のママがつくったスープっぽいセビチェ、おにぎり、それから、お赤飯…
叔父さんの家のパティオで、手ぶりに感情をこめながら、みんな ひとりひとりの顔をみて歌う僕…
隣ではいとこのロサが、オレンジのドレスをまとい、僕の歌に合わせて踊っていた。
「私の方が主役なのよ!」って感じでおおげさに裾をひるがえしてさ。
いつにもまして生意気なのに、あの日は可愛く思えちゃった。
カラベラ・メイクをした近所の子まで乱入して、つまみ食いして踊ってさ…
歌のラインナップはね、
『リメンバー・ミー』の"El mundo es mi familia"を、プールに落ちずに"Un poco loco"に自然と繋げ….
🎵 …el mundo es mi familia
(世界は僕の家族)
aaah, aaaaaahhhh, ahhhhhhhh~!!
¡Tara ta ta ta ta ta!
(僕はウインクしながら、みんなを 撃ち抜く仕草 をする。バキュン★)
――Tú me traes un poco loco
🎵 Un poquititito loco…
(君が僕を狂わせるチョビットね)
挿入歌「El Mundo es mi Familia」、「Un Poco Loco」
作詞・作曲:Germaine Franco, Adrian Molina
(それ以外は拙訳及び状況描写。)
定番の『ラ・ジョローナ』でロサと火花を散らしあい、『SUKIYAKI』(『上を向いて歩こう』)歌って…
🎵…思い出す秋の日
一人ぼっちの夜…
🎵…If only you were here
You'd wash away my tears
(君がここにいてくれたら ぼくの涙は乾くだろ)
…But in reality, you and I will never be…
(でも現実はぼくと君永遠にすれ違い…)
作詞:永六輔、作曲:中村八大/
※英語歌詞パートは"A Taste of Honey"版等の英詞
(和訳は拙訳)
(ママが英語版を好きなんだ)…
写真のご先祖様までしんみりして…
セビチェもすき焼き味がしたかもね…
――それから一転『Cielito Lindo』!
「Ay, Ay, Ay, Aaaaaaaaay!!」と大合唱!
どさくさにおにぎりつまむ近所の子達…
……哀しげに『Recuérdame(Remember Me)』
そしてトリはもちろん、僕の心の歌、人生で一番大好きな、
『El latido de Mi Corazón(Proud Corazón/音楽はいつまでも)』!!
🎵…
Amor verdadero nos une por siempre
(真実の愛が僕らを永遠に結びつける)
En el latido de mi corazón
(僕の心臓の鼓動の中に)….
「El Latido de Mi Corazón(Proud Corazón)」
作詞・作曲:Germaine Franco, Adrian Molina
(和訳は拙訳)
"Ese" es eso!(マジ・エセ・最高!)
Rosita!エセ!アスカル!
ロシ!キエル!ロサ!
スタンディング・オベーション。みんな思い思いの愛称でぼくらを呼ぶ。
アズちゃん!アズちゃん!ケ・チドォ(かっこいい)!
これは、ママと弟だ。
――僕の名前はEsequiel梓・Rodríguez(エセキエル梓・ロドリゲス)。
厨二圧ヤバいが気にしないでくれ。
ハーフの名前あるあるだろう?
ローカライズすりゃ「佐藤つよし」みたいなもんさ?
…キエルはまだしも、エセって呼ばれるのは、
「にせもの」っぽくていつもひっかかるけど…
¡Otra! ¡Otra! ¡Otra! ¡Otra!…
「カラベラ・メイクとマリアッチの服にあっているよ」
「本当にミゲルみたいだったよ。」
「ラ・パストレラでも大天使ミゲルの役がもらえるんじゃないか?」
「死者の日もミゲル!クリスマスもミゲル!アズちゃん最高!¡Azúcar!」
…僕らは夜まで歌い続けた。
もちろん学校のクリスマス劇では
ミゲルの役を射止めたよ。
「チノ(アジア系)のくせに、どうしてうちの子が子羊役なの」とか、どこかの親が文句いったみたいだけど、へのへのかァっぱ~!
ママはいう:「イギリス系の学校なのに、あさましいねえ?おおやだやだ!」
つづく1月6日の「三賢者の日」は傑作だったな。
王様のパンの人形が当たった叔父さんが、2月にタマレスを奢りたくないからって、人形を丸呑みしようとしたんだ!
信じられる?あほだよね笑
…
嗚呼、あの時までは、確実に僕はきれいで、幸せだった。
…お父さんが、歌と踊りの教室に入ればと勧めてきた。
習い事の一種だから。お手軽なもんで、入塾の選抜は厳しくないけれど、先生が推薦してくれれば、コンテストに出場できるんだって。すでにピアノを習っているし、もう上手いでしょ、って思ったけれど、『ぼくはミュージシャンになる!』
君の声を思い出し、挑戦してみることにしたんだ。
….生贄になるなんて
露とも思っちゃいなかった…
月臍国墨祭市(【裏】メキシコ・メキシコシティ)の、わりと高級な住宅街、夜。少年が窓から星を眺めている…手元に置かれた彼のスマホからは、ハスキーでクリスタルな歌声が流れる…
🎵
…思春期に少年から大人に変わる
道を探していた
汚れもないままに…
作詞・作曲:徳永英明
…いつだって古代アステカの時代から僕みたいな少年は…
…いつだって心臓を差し出す「贄」になる
…残酷な運命…
…
車でアカデミア(ダンスと歌のお教室)にドナドナドナ~と送られる。途中でLGBTのデモ行進にぶち当たり、しばし立ち往生。聖セバスティアノの人形を見て、おなかの下の方がきゅうんと痛んだ…
無数の矢を浴び張り付けにされてる美青年の聖人セバスティアノ…
「¡Azúcar!…アズサは残りなさい!」そそくさと退室しようとしてたが遅かった。
「エセ・チノくん、また個人指導、うらやましいねェ~!」
僕を目の敵にする初期マルフォイみたいなヤツが吐き捨て肩をぶつけてくる。
「ウッセエ!!チノ(中国人)じゃあねえし!!
チノでもなにか?
底の浅ェェ~オメェとは違うんだよッ!!
¡¡4千年の歴史ッ!!」
「...ヨン?! Uy! ウィィィイィィ…(ぐぬぬぬぬ)」
(...ざわ…ざわ…)
「ケンカしないで、みんな帰りなさい。各自のパート特訓してこいよ!アズサ、おいで」
…つかまった。
二人きりになってしまった教室。
「先生、僕次の用事があるんで…」
「二人の時は、パピって呼びなさい?…今日は調子が悪そうだったね。高音がイマイチだったぞ。君の喉のためにまた高級青汁を取り寄せたから…」
(先生は部屋の隅のミニ冷蔵庫から、青汁入りらしいボトルをとりだし、いつのまにどこから出したのか?ガラスのCaballito*に、それをそそぐ。)
(*Caballito:文字どおりは「仔馬ちゃん」。テキーラを飲むためのショットグラス。)
「…パ、パピィ~~??」
(ヒクヒク…口角がひきつる。)
(調子ぶっこいてんじゃあねえぞこのオッサン!)
「僕行かないと!ア・ディオ…」
(ガシッ!腕をつかまれる)
「ほら、飲みなさい。」
「セン…パ・ピ…これ本当に青汁なんですか…家でママが買ってくる青汁はもっと…」
「高級だからね。わざわざ取り寄せたんだ。フゴ・ベルデ(青臭い緑のジュース)よりは飲みやすいだろ、え?君は東洋の血が流れてるから、よく効くはずだよ」
(グイ!押し付けられる。)
「パ…。あっ、これ、このカバ、カバジート、キレイですね。きっ、キリコ(切・子)ですよね。日本の。……もっ、もようが、「千の矢」…家にもあ、あります、どこで買ったんですか、これ、えっと、セルラで写真撮っていいですか、セルラとってきま…」
「私は日本通だ、しってるだろッ!いいから飲めッ!」
「今度のコンテストに推薦してやろうっていっているのに!」
「お前のためだぞ!」
(僕は泣きそうになって下を向く。)
「…ミゲルになりたいんだろ?」
「…………………………」
「ほら…ごめんね……考えない、考えない…」
「……サルー(乾杯)」
(…歯がくらげで、吸い取ってくれればいいのにな)
――デ・ラ・クルスとエクトルの乾杯場面。あるいは、アステカで心臓を取り出される前に麻酔の酒を飲む美青年が頭をよぎる――
やけくそだ!
味を感じないように一気に飲み込む。
リュウゼツランの棘のように、ねっとりしたアオジルが、切子の千の矢が!!
僕の体を引き裂いていく《desgarrrrrrrrrando》!
――ここに体現、聖バスティアノ…
「ああ、オイし…!!」
――ウウッ吐きそ…
(彼はトイレへかけこむ……じゃあ~じゃあ~バシャバシャバシャ…水回りの音がひととおり響いて…部屋に戻ってくる)
🎵
…
華やいだ祭りの後
静まる街を背に
星を眺めていた
汚れもないままに
…
作詞・作曲:徳永英明
ハン!ばかみたいだな!もう2年、1年か?…で声変わりするのにな!
この人みたいな少年性を残した素敵な声になればいいけどさ…?
普通は迷走するだろうさ!
あのビッグな兄を持ったかわいそうな彼のように。
(スマホのプレイヤーの一時停止ボタンを押す。)
立ち上がって、指を鳴らして拍子をとりながら、口ずさむ…
🎵
…Aaron, oh Aaron
(アーロン、おお、アーロン)
What are we going
To do with you?
(どうおとしまえつけりゃいい?)
Always a makin'
A biggermistake
(いつもしくじってばかりだね)
Always a-makin' A fool…
(いつでもバカやってるね)
作詞・作曲:Andy Goldmark (和訳は拙訳)
――DUNNO!HELL, NO!
(し・る・か・ッ!ヘル・ノオ!)
「――俺はこの深淵から抜け出してやる!
もうやめだ!2か月弱しかやってねえが、そんなの・関係ねえ!
あいつにこき使われる(me friega《メ・フリェガ》)のは
もう・お・しまい!
今日は「灰の水曜日」!
――ペロ(だが)!
(彼は、昼間教会で額に書かれた炭の十字を拭い去る!)
俺は Ave Fénixのように蘇る!
(彼は二重窓をぴしゃぴしゃりと閉め、アップライトのピアノの蓋を乱暴に開ける。まさに白魚のような手――彼の手を見る人に必ず「ピアノ弾くでしょう?」と言われてきた――を、殴るように躍らせる。
(彼の部屋は防音室だ)
祈りのように、リフレインするメロディー。
(理性が吹き飛び、美しいLの頭韻をガン無視して、すべてRRの巻き舌で歌っている。)
🎵
Lone star light the lowlands
(Rrrrrrroooon starrrrrr rrrighttt tha rrrrawwwwrrrreeeennnnnds)
Show up every stone …
(Shoaaaaaaahhhh eeeeeeeeebi ston!)
(括弧内は、登場人物の実際の発音を描写したもの。)
↑(Judee Sillは公式のYou tubeがなかったため、代わりに、日本のバンド・クラムボンが彼女の楽曲を極上に再解釈した名カバーを。)
――Lone star light the lowlands!
孤独な星、つまり、ソロ・アイドルになった俺!オン・ステージ!が、
低地――つまり観客席――を俺の歌で照らし!
――Show up every stone!
エブリ・ストン―ファン―を照らし出す!
――NAH(いや)!
――Lone star light the lowlands!
孤独な星、やはり、俺!が、低地、深淵を照らし出し!
――Show up every stone!
カク・ストン――あいつの悪事!――を白日の下・浮かばせる!
――つまり!
――Show up every stone…!!
俺の!心にヘヴィに沈む、カダ・ストン(各石ころ)つう~トラウマを!
正義の光で暴露するッ…!
🎵…To sleep enraptured waking up captured
(恍惚の中で眠りつき囚われたまま起きるなぞ)
chills me to the bone
(骨の髄まで凍えちまう)
My home's in the westward direction
(俺の家は西にある)
Of my own resurrection
(俺の復活・Resurrección《レスルレクシオン》する舞台!)
That's the spirit!…
That's the spirit!…
That's the spirit!…
その意気だ!その意気だ!その意気だ!
(和訳は拙訳)
…ハァ、ハァ、ハァ…
「君は、デ・ラ・ロサのマサパンのようだね。
優しく奏でないと、すぐに壊れてしまいそうだ…
次はどんな天上の音楽を聞かせてくれるのかな?
そうだ、君がデビューした暁には、わたしが君のキャッチ・コピーを考えてあげよう。オクタビオ・パスもびっくりな・ね!」
…いらねえよ。テメエのマアドレに
そのコピーとやら、ヤってなヨ…
………。
「ちがう!もっと頭から抜けるように声を出せッ!重心がブレブレだッ!
軸を意識しろ!腹から出せッ!もッと!天上へ、天国へッ、届かせろッ!! 下腹部で声をロックしろ!声をマスカラ(仮面)に響かせろ!」
「喉を力ませるなッ!」
(僕の喉につつーー…と指をはわせやがる。)
「下腹部で声をロックしろったらッ!」
(僕は下腹部を守るように両手でおおう。)
「ちがうッ!骨盤が死んでいるッ!もっと腰を振れッ!」
「ラテンのビートッ!燃え尽きろハートッ!」
「恥ずかしがるな、腰を回して音を掴めッ!」
(腰に手を回されたので!)
「チッッッ!!!」盛大に舌打ちし、にらみつける。
――ドンッ!
鏡のそばまで僕の体はふっとんでいく。
……ッッ……テェ……くそッ……
「おお、おお、ごめんね。私の腰が君にあたってしまったね。
…つい興奮してね…君と激しくおどっていたら、ね…」
「そんな目で見ないんだよ…?あと、このパートが完成したら終わりにしてあげよう…」
………。
「…すんばらしいィィッ!
おまえはオレのXXXXXXXだ!!
¡Otra! ¡Otra! ¡Otra! ¡Otra!」
「¡No, no, no! ¡Porfa, no! ¡No puedo más, más, más!」
「NO PUEDO ¡MÁS!(もうムリ!)」
「¡Más!」(もッと!)
「¡Más!」(ムリ!)
「¡Más!」(もッと!)
「¡Más!」(ムリ!)
「DOS(2)DOS!DOS!DOS!DOS!DOS!」
――ばたり。
(真っ赤なサバナ(大地/シーツ)に倒れこむ。)
"Déjame tirado, porfa…
un ratito
…no…por siempre…"
このまま
ここに
うちすてておいて…おねがい…
ちょっとだけ…いや…えいえんに…
〈Dame-Santa-Paz〉
<せいなる--やすらぎを--ください>
アハ、アハ、アハハ!
(彼は、ピアノの椅子から立ち上がり、
両手をばっ!と鷲のように広げる。
ピアノの上の花瓶にさしてある
メキシコ国旗の鷲
――蛇をくわえて居る――も
翼をはばたかせ、彼にぴたりと重なる。)
さあ!¡Zámpame(サンパメ)!
俺を喰らえよ!
俺は心臓をささげ、神殿から今!!
蹴落とされたぜ!
極上の俺のピエル(肌)を召し上がれ!
¡Como zampón!(コモ・サァンポン)
――ガツガツと!
¡Como Zanpan?(コモ・ザンパン)
――残飯のようにな?
俺は、きたない・寿司、
スシ・スゥシオ(Sushi Sucio)!
キレテル、キレテル、ジョークもキレキレ!
a jaja aja aja (ア・ハハ・アハ・アハ)
……….ァァァァアアアハハハハハハハハハハ!!!
.…..ハ……
(ピアノの椅子に顔をつっぷす)
すくなくとも…
戦争よりはまし、まし、まし?
いや、わるい、わるい(ペオル・ペオル)、
わ、わりゅい(ピ・オル)…
…
すくなくとも…カラ(顔・ガラ・皮)は
こわれては
みえないだろう?
…
僕を
雑巾みたくしぼりたい。
チャポポテ(chapopote)みたいな
ドス黒いものが、
ベっちゃり下に溜まるだろう
また
まっしろく
なれるのかな
…
(僕はすっくと立ち上がる!)
うじうじうじ、みっともない!
まったくもって、俺らしくない!
¡Ahora me voy a plantar en mi propio suelo!
(これからは自分の足で!自分の地面に!
根を張ってやる!)
¡Ni de chiste voy a dejar que me siga fregando la vida!
(これ以上、あいつに俺の人生を)
(めちゃくちゃ(フレガンド)に
されてたまるかっ!)
Fregar, fregar, fre-fre, fregar, fre-fre! fre, ¡fregarrrrrrrrrrrrrrrr!
フレガァル(めちゃくちゃにこする)、フレガァル、フレ、フレ、フレガァル、フレ、フレ!フレ、フレガァルルrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!
(フレ、フレ、フレ……)
(ふれ…((嗚咽))…)
Su, suelo, solo, sole, ¡Sol!…sacrificio… del…Sol…
(じ、suelo、solo、sole、¡Sol!
……太陽の……生贄(サクリフィシオ)……)
…
….お寿司、たべたいな…
…きたなくないやつ、にほんの、やつ…
…スウーーーーーーーッ…
(彼は息を大きく吸い込み、ピアノに向き直る。)
先ほど彼が弾いたThat's the Spiritの魂の片割れ(cuatachón)のような歌。
彼の目からちいちゃな真珠が
あとから、あとからこぼれおち、
鍵盤を跳ねていく。
リフレインするメロディー
🎵
Makin' my way downtown
(Calle(通り)をあるいてく)
Walking fast
(アレグロで逃げるように)
Faces pass and I'm homebound
(仮面・仮面・とおりすぎぼくはカサへ
Staring blankly ahead
(据えた目をして)
Just makin' my way
(わがみちを)
Makin' my way
(わがみちを)
Through the crowd
(群衆つっきり)
作詞・作曲:Vanessa Carlton
(和訳は拙訳)
彼とピアノは、Vanessaと同様に、外へ飛び出してカージェを疾走していく。思い出の場所、彼の魂(アルマ)が宿る場所・場所を。
――叔父さんの家の中庭。3か月前。
全体的にだいだい色…アズちゃん、ケ・チドォ!かっこいい!
僕は、みんな、ひとりひとりの顔をみて、みんなだって、僕の顔(カラ)、僕のアルマ(魂)、僕の心臓(コラソン)をたしかに見ていた。
そうでしょう?
――学校の、クリスマス劇。
全体的にしろい色。
大天使ミゲルになりきって、高らかに歌い、石ころ(観客)照らす。
うちの子はどうして子羊なの!そうどなりこんだモンペだって、
けがれない子供たちが
体現した
奇跡のものがたり
――コラソンから共鳴し、目から白い真珠をおとす。
みんなとともに、かがやく「せいざ」
こどくな「ほし」ではなかった、ぼく
――悪魔の巣窟、アカデミア(ダンスと歌のお教室)。
全体的に、まっくろけ。
ぼくは、しずかにあたま、ふる。
いっしゅん
だって
とどまらず、
じごくのトイレでながしきる
🎵
And I need you
(Te quiero.きみはぼくのコラソン)
And I miss you
(あいたいよ)
And now I wonder
(どうかなあ)
If I could fall into the sky
(ぼくがそらへおちたらば)
Do you think time would pass me by
(ときがわすれさせてくれるかな)
'Cause you know I'd walk a thousand miles
(わかってるでしょう)
If I could just see you
(こんやきみにあえるなら千マイルだって)
Tonight
(あるくって)
――墨祭市(【裏】メキシコ・シティ)のにぎやかなCalle(とおり)。
色んな色であふれてる。
ちいさなからだに、おっきな「ぎたるら」
プロかおまけの、ぱふぉーまんす
チャリン🎵て音に心うきたつ
ほこりたかき褐色の「ぴえる」
土着の血を引く貧しき子
くろいかげは、せるらをかまえ
かれを
るす(ひかり)と
ぱてぃくら(りゅうし)の
しゅうごうたいに
堕としこむ
おこな、はたいてピエロになりきり
でんしゃの中は「おぺらはうす」
あなぐら、かえりゃ
おさない、こいびと
おこなをわけあい、なぐさめる
――アステカの神殿
全体的に水のいろ
あつめられた、こどもたち
なけ、なけ、なけ!
なくほどに
「とらろっく」は雨をおめぐみくださる
から・から・からの、このさばなに
なみだかれたらしんぞうさしだし
とらろっくに、じかだんぱん
嗚呼、ああ、嗚呼
どうしてくるしまなきゃ、いけないの!
どうして、こどもが「にえ」にされるの!
If I could fall into the sky
(ぼくが空へおちたらば!)
Do you think time would pass me by
(ときがわすれさせてくれる!)
'Cause you know I'd walk a thousand miles
(わかってるだろ)
If I could just see you
(こんや、きみにあえるなら!千マイルだって)
Tonight
(あるくって!)
かれは、自分自身の魂(アルマ)を、自らの白い両羽でだきしめる
彼にはりついていた鷲もその上から彼をつつみこむ
きずついたけど、白いまま
白きサバナ(大地/シーツ)にたおれこむ
白いシーツは彼のコラソンを
やさしくふんわりつつみこみ
おそらの
かなたへ
おちてった
…サントス・アブラソス…
….聖なる、抱擁…
――ミゲリート
昨夜君の夢をみたよ。僕らはある「フィエスタ」に来ていた。帰る間際になって、君が来ていたこと――小さいステージで歌ったんだってね?見逃しちゃったよ…
…そして、僕を探してることを、人づてにきいた。
僕は、君の「魂の片割れ(cuatachón)」だって言って探してくれてたんだってね…僕も君を探したよ。
でもすれちがってばかりで会えなかった。
橋がやけに多い場所で。
あっちの橋を渡ったと思ったら君は向こうにいたりして。
いつまでも小さくて全然近づけない、きみに…。
ミゲル…!!
僕はここだよ…!!
寝ぼけてさけんじゃったよ。
自分の声にびっくりして目が覚めたんだ…泣いていた…
君に会って言いたかった。
ミゲル、有名になっちゃだめだよ。
芸能界にはいっちゃだめだ。
君の才能をみんなにひろめてはだめ。
流行りの歌でアイドルに
なっちゃだめ。
伝統的なスタイルで
有名になったって
だめ…
マXク組織に引き抜かれ、
ナXコXリXドを歌わされる…
…可能性があるからね…
悪い大人がいっぱいいるよ
絶対に、ダメなんだよ...
デ・ラ・クルスの悪事を知って、
信じていたものが粉々になって、
きみは混乱・あたまは、まっしろ。
「音楽やめるよ。家族が一番だから」
寂しそうにいったよね…
心、張り裂けちゃったよね…
でも、わかったろ?
華やかな光の舞台につきまとう
まっくら闇を見ただろう。
光が強けりゃ影も濃い
それはまさにメキシコだ
デ・ラ・クルスだけじゃないんだよ。
君を食らおうと
悪いやつらが
群れをなして待っている
…趣味の音楽はやめなくていい…
でも有名になろうとしてはだめ
今度こそ贄として心臓を捧げるはめになる…
…結局…
靴を作って
休日に広場や
家で、歌う…
それくらいが一番幸せなんだよ…
ほんとうの「しあわせ」おしえてあげる
Esta vez "sí" nos vemos en los sueños….¿eh?….
こんどこそ。
ゆめで、あおうよ
ね…?
――心臓を取り出す際の道具――で刻まれたヒエログリフ
――ジジッ…
もぬけのからになった彼の巣に
日本の風がふきぬけて
ふるいラジオをよみがえらせた
とわに生きる少年の
天上のvozをキャッチする
🎵
遠ざかる溢れた夢
帰れない人並みに
本当の幸せ教えてよ
壊れかけの
Radio
By Esequiel梓・ロドリゲス
=Comentario=
★¡"Ese" es eso!(マジ・エセ・最高!):
Eseは「それ」を意味し、Ese es eso!と普通にいえば「まさにそれ!最高!」の意味。また、Eseには相棒・お前という意味も。ここではEsequielの愛称Eseにかけている。
★アスカル(お砂糖):
梓という名前はアスカル(お砂糖)に聞きまちがえられる。歌手セリア・クルース(Celia Cruz)の決めゼリフでもある。「¡Azúcar!(アスーカル!=お砂糖!)」
★Esequiel梓・Rodríguez(エセキエル梓・ロドリゲス)は日本名にロカライズすれば佐藤つよし:
Esequielは一般的なスペイン語圏の男性名で、「神のつよさ」等の意味。ロドリゲスも佐藤さん、のようによくある苗字。また、梓の部分は上記説明(砂糖)→(佐藤)の連想で、佐藤が内包している。
本作品へのセルフ・ツッコミはこうだ:「つよし、しっかりしなさい!」
また「佐藤史緒さん」という、素敵な漫画家さんもいらしてね…。
★Rosca de Reyes:
1月6日の「三賢者の日」に食べる伝統的なケーキ。中に仕込まれた人形を当てた人には2月にタマレスを全員に奢る「罰ゲーム」が課される。
★Tamales:
トウモロコシやバナナの皮で包んで蒸したメキシコの伝統料理。
★Mole:
チョコレート、チリ、スパイスを調合したメキシコの伝統的なソース。お祭りや記念日などの特別な日に食べられる最高のご馳走。
★月臍国墨祭市:
メキシコの語源は、ナワトル語のMetztli(月)+xictli(へそ)+co(場所)である説がある。それを漢字に僕がおとしたもの。墨祭市はメキシコシティ・CDMXのイメージ。メキシコの中国での表記は墨西哥のため。
★初期マルフォイ:
僕はマルフォイと、演じられた俳優のトム・フェルトンさんが大好きです。
メキシコのスペイン語で、"Él es un hígado"(彼は肝臓だ)というと、「いやなやつだ」という意味になります。"Es mi corazón"(私の心臓=愛しい人)のノリで、僕はマルフォイのことを"Es mi hígado"(私の「愛すべき」肝臓=いやなやつ)と呼んでいます。「フォフォイのフォイ★」
★わりと高級な住宅街:
マXク関係者はもちろん排除できていない。よって、銃撃戦に巻き込まれることを覚悟せねばならない。
★パピって呼びなさい:
メキシコの、金持ちのボンボン(Mirrey)どもが自身のパパを指すときの言葉だ。詳述しないが、僕はあるミレイに、子孫末代までノ〇いたいほどの恨みを持っている…けどやめとこうかな。
「人を呪えば穴ふたつ」
★フゴ・ベルデ:
生のサボテンと青物野菜を容赦なくミキサーにかけた、ドロっとした、青臭いスムージー。
★リュウゼツランの棘のように…僕の体を引き裂いていく《desgarrrrrrrrrando》:
メキシコの劇作家Humberto Roblesの戯曲『Frida Kahlo ¡Viva la vida!』の一場面のオマージュ。「フリーダ・カーロの世界 人生万歳!」というプログラム名で、今期「NHKまいにちスペイン語応用編」で取り上げられている(再放送)。講師の𠮷川恵美子先生の、ポエミィすぎる解説が爆発しているのと、パートナーの長谷川ニナ先生とのキャピっとしたかけあいが尊い。
先生:「Esta es tu casa.ここはあなたの家よ、は、あくまで慣用表現です。本当に引っ越しちゃ、だめですよ💖」→僕「先生、わ、わかると思うよ…? お茶目なんだからァ….。…ハッ!…先生、まさか…かつて、この言葉を聞いて、本気で、お友達のカサ(家)におひッ…?!」
先生:「agüita・お水ちゃんとは「水であることを主張しない水」、「ただの水」といったニュアンスです💖」→僕「えッ...????」この文章に小一時間向き合う。これは先生からの挑戦状だ!→僕「理解しました!存在を主張しない存在、ただのプラズマ・ファンタズマ(幽霊)」ってことですね!?
(agüitaとは、メキシコで食事時にテーブルによくあがる、フレーバー水のことを指す。)
スペイン語がよくわからなくても、フリーダの強い生き方やトリビアが学べますので、みなさん、聞きましょう(圧)。
初級編も、われらがギタリスト、イルヴィン・コージさん(メキシコ)とパロマ先生(スペイン)の熱きバトルが見ものである。コージさんが、メキシコを出さないよう我慢させられているのが透けて見えて少し泣けてくる。
みなさん、聞きましょう(圧)。
★歯がくらげ:
ジョジョ第5部の冒頭のいわゆる「アバ茶」攻略法のオマージュ。
★そんなの・関係ねえ!:
小島よしおさんの有名な芸。スペイン語的にA~へ向かう、の意図もこめて「A・そんなの・関係ねえ」としようか、小一時間迷ったが、ギャグ度がはねあがるので、いれなくてよかったね?
★ビッグな兄を持ったかわいそうな彼:
アーロン・カーター氏のこと。僕はBack Street Boysも、彼の歌も愛している。彼に定期的に思いをはせ、祈りを捧げている。
★「灰の水曜日」:
カトリック圏のメキシコでは2月中旬〜下旬の「灰の水曜日」に教会で額に灰(炭)で十字を描いてもらい、自らの無力さを悟り、神の前で心を入れ替えて過ごす伝統がある。夜はしずかに内省する。十字は流さず寝るのが慣習。その十字を自ら拭い去り「不死鳥のように蘇る」と宣言するのは、燃え尽きた灰の中から自分の力で再起する、強い決意の表れ。
★デ・ラ・ロサのマサパン:
De la Rosa社の、有名なマサパンのお菓子のこと。バラの絵が描いてある。ほろほろとくずれる、個人的には生八つ橋・ピーナツ味。くずさないチャレンジとかあるよ。バラの花弁で小腹を満たす吸血鬼(バンパネラ)のような気分にひたれる(『ポーの一族』(萩尾望都作))。
★君のキャッチコピーを考えてあげよう。オクタビオ・パスもびっくりなね:
メキシコの偉大な詩人オクタビオ・パス。彼の影響かわからないが、メキシコでは、商品にポエミィなキャッチコピーを付けると、凄く売れるんだよ。
ジョジョ第8部「ジョジョリオン」の冒頭のほうで、康穂ちゃんたちが行ったやたらに能書きが長いデザート屋のイメージだね。(「岩手県盛岡市の吉村さんの牧場の太陽をいっぱいに浴び~中略~クリームブリュレ580円そして幸せが訪れる」という、あれ。"This is the house that Jack built"という、えげれすの積み上げ歌みたいなノリのあれです。)
★ラテンのビートッ!燃え尽きろハートッ!:
ジョジョ第1部のオマージュです…
しかし、このマエストロ(先生)も、この時の僕も(「四千年の歴史ッ!」とか)ジョジョクサいので、楽屋裏では仲がよさそうである。
★繰り返し出てくるサバナ:
sabana(大草原)、sábana(シーツ)のダブルミーニング。語源的な繋がりはない。
★DOS(2)DOS!DOS!DOS!DOS!DOS:
『ハリケーンの季節』(フェルナンダ・メルチョール作)の最後の方のオマージュ。新聞で「魔女だったから〇害した」旨の小さな地方の事件の記事を見た著者がイメージを膨らませて執筆したという(取材するとやばそうだから)。登場人物それぞれが、人を愛する力を持っているが、救いがなさすぎるお話。メキシコ怖いよお。
★フレガアル(fregar):
繰り返し出てくるこの単語は、洗う、磨く、こする等の意味。
メキシコではmolestar(迷惑をかける)の、悪位互換(キツイ表現)で本作では「弄ぶ」を意図。
★¡Zámpame(サンパメ)!俺を喰らえよ!
メキシコのスペイン語zamparse:がっつく、の私を食べてな命令形。
体にリボン巻いて「わたしがプレゼントよ💖」な感じなので要注意
★俺は心臓をささげ、神殿から今!!蹴落とされたぜ!:
アステカで心臓を取り出された生贄は、「そのまま神殿から蹴り落され」
「下にいる人々に調理されて」、「食べられた」(マジで)
★いや、わるい、わるい(ペオル・ペオル)、わ、わりゅい(ピ・オル):
幼児退行をおこして、幼児語になっている(peor→pior)。あるいは、先住民族のようななまり。
★きたない・寿司、スシ・スゥシオ(Sushi Sucio):
エッチなスシ、という意味不明な意味合いも帯びる。
★じごくのトイレでながしきる:
メキシコの公共トイレはディザスタア。みんな、外でトイレにいかなくて済むよう、幼き頃から膀胱の修行をする。僕は日本に来てから、どんどこ行く。日本万歳!
….あッ!!本編でながしきる、ってかいたけど…ながせないか
…じごくのトイレは、すぐつまる。
★ほこりたかき褐色の「ぴえる」
土着の血を引く貧しき子:
白人の血が濃い人が裕福で、先住民の血が濃い人は貧しくなりがちである。
また、ストリートチルドレンも多い。
★なけ、なけ、なけ!なくほどに「とらろっく」は雨をおめぐみくださる:
アステカで干ばつの際、トラロック(雨の神)に大勢の子供たちを生贄に捧げた。泣けば泣くほどトラロックを喜ばせるとされ、〇される前に残虐な方法で、泣かされた…
そりゃあ、スペインに滅ぼされるよね、アステカ。
★チャポポテ(chapopote):
メキシコのスペイン語で「アスファルト」や「天然のタール」のことで、ナワトル語の"chapopotli(チャポポトリ)"が語源とされる。
★Te quiero.:
英語に直訳すると、I want you.であるが、親友や家族に対しても使われる。
★君の「魂の片割れ(cuatachón)」:
ナワトル語で双子を意味する"coatl(コアトル)"が語源、そこからメキシコで「相棒・兄弟」を意味する"cuate(クアテ)"というスラングが生まれ、さらにそれを最大級に強調したのが"cuatachón"。
ケツァルコアトル(Quetzalcoatl)も同じイメージ。
蛇の舌が2つに分かれていることから。
★白いシーツは彼のコラソンを、やさしくふんわりつつみこみ、おそらのかなたへおちてった:
『百年の孤独』(ガルシア・マルケス作)で、絶世の美少女レメディオスが天日干し中のシーツにつつまれて、文字通り空へ「昇天」するシーンのオマージュ。ちなみに下界で、彼女の義理のおばさんは、「ちょっと、シーツ泥棒!シーツおいてけえええ!」みたいなことを叫んでいた笑
また、この僕のシーンは、僕は「寝・た・だ・け」です!
どっこい生きてる!
¡Tenkiu!
By ♰梓/Keni Nacastli Atyalan Miguel ♰
===To be continued==>>>>#10
【本記事における引用・オマージュについて】
本連作(全15話)では、作品の特性上、多数のカルチャー作品をオマージュ・引用しています。本文中で多用している『ジョジョの奇妙な冒険』(荒木飛呂彦作)の正式な出典表記につきましては、第1話「『ケニィの心臓❤バグ野郎 de 月臍国墨祭市』#1【イントロダクション】」にて示しております。そのため、第2話以降の本文中では「ジョジョ」と略して記載しています。
※その他の作品の出典・引用元については、各話の本文中にてその都度記載しております。
