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米不足・米価高騰で考えるイネのイロハ

最近、米不足、米価高騰は新聞・ニュースで周知のとおり。多くの人に得心がいかないのは
 ① 農水大臣はずっと、米不足ではないので、流通のスタックが解消される 
  と言ってきた(結局、備蓄米の継続的な市場への供給をすることに)
 ② 専門家と称する人が、流通云々の問題ではなく、そもそも米が足りない
  とのコメントしてきた
という中で、数字・図式できちんと説明していないことではないだろうか。

専門家でないので深く立ち入らないが、ここ10年位、減少しているとは言え米の収量に大きな変化はなく、また、米離れの傾向に変わりなく、人口減少を加味すれば、何故、急に不足するのか不思議である。収量を輸出に回す、飼料用にする、和食文化で海外からの観光者の消費が増えた、など勘案してもボリューム的に到底説明がつかない)。

政府の統計より筆者作成

ということで、令和の「米騒動」を機に長らく日本人の主食であったイネについて、改めてその基礎を確認してみたい。

1. イネの分類
細かいことを捨象すれば、以下のようになる。
(1)種の分類
   アフリカイネやジャバニカ米は日本でお目にかかることは少ない

イネの種の大分類

(2)成分の分類

うるち米ともち米
NPO料飲専門家団体連合会『日本酒の基(もとい)』より

①    粳は米に硬いという字、糯は米に濡れるという字。
②    餅はコムギ粉をこねて作るものなので、餅米とは書かない。
③    せんべいはうるち米から作る。あられはもち米から作る。
④    もち米はうるち米の突然変異。自然界で発生しても淘汰されうるち米に
  変わるので人工的に栽培する必要がある。
⑤ うるち米の粉は「新粉」 もち米の粉は「白玉粉」。
ムギに同じようにうるち性ともち性があるものが併存する。後者はもち麦と言われる一方、前者をうるち麦とは特に言わない。

2. 古代米と白米
古代米として赤米、黒米があるのはよく知られていると思う。修善寺の旅館で古代米の黒米を出すところもあるし、日本酒を古代米から造る酒蔵もある(有名な銘柄は伊根満開などがある)。古代米というよう本来のイネはこういう色だった。白蛇など白色に突然変異した動物をアルビノと呼ぶが、白米も同じアルビノである。つまり、突然変異して白くなった米を主に生産するようになったということである。白は穢れがないということか?

古代米で作った日本酒「伊根満開」筆者撮影

実際のところ、古代米の方が白米より栄養があるとされている。また。赤飯は本来赤米を炊いたものである。現代の赤飯は、小豆を混ぜてもち米を蒸すか炊くかし、赤っぽい色を付けるのが一般的。言うまでもなく赤は邪を払うという主旨である。

白米を一般人も食べるようになったのは江戸時代からである。これは、籾殻を取る器械が江戸時代までなかったからである。それまでは、籾殻ごと米をついて、籾殻と玄米の皮を可能な範囲で取った。白米にするのは非常な労力を要するので要するので、白米ではない(玄米でもない)「じょうまい」というものを庶民は食していた模様。白米を食べられるのは貴族など上流階級だけだったと思われる。尚、白米をばかりを食べビタミン不足になる「江戸わずらい」という用語があったので、地方では白米でないものを食べていたのかも知れない。

イネの実の構造 
https://tk-murase.co.jp/structure/


【参考】
コムギを使ったものを粉もん(粉もの)というのは、コムギを殻ごとついて粉にし、皮=殻を漉して除いてしか食べられなかったからと言われている。尚、日本で「麦飯」として食べる麦はオオムギの変種「ハダカムギ」という突然変異により皮がむきやすくなっったものである。

3. 保存食としての米
米を炊く(日本酒造りでは蒸す)前と後で胞胚にあるデンプンの性質(アミロース繊維の結合具合)が変わるのはご存じの方が多いであろう。
  ○炊飯前:ベータ状態
  ○炊飯後:アルファ状態=糊化
ご飯=アルファ状態のものを放っておくと再びベータ状態となりカチカチに固化して食べられなくなるのは周知のとおり。この固化が始まる前に保存(保存方法は省略する)したものが戦国時代に武士、足軽などが持ち歩いていた干し飯である。
現代において災害対策用保存食米である「アルファ米」も同じである(保存方法は異なる)。

4. イネのルーツ、日本稲作のルーツ

イネの原産地は必ずしも特定されていないが、中国南部の山岳地帯が有力とされている。何となくイネは湿地帯で生まれたように思われがちでながら、そうではないということである。子細に触れないが、イネが今の生態にまで変化(進化)したのは、地球の寒冷化、乾燥化に対応したものらしい(如何に動物に食べられないようにするかの進化)。水稲ではなく陸稲が先行していたものと解釈している。
<農林水産省サイト:イネはどこからきたの?>
https://www.maff.go.jp/j/kids/agri/ine/i01.html#:~:text=%E3%82%A4%E3%83%8D%E3%81%AF%E3%80%81%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E5%8D%97%E9%83%A8%E3%81%AE,%E3%81%B0%E3%81%84%20%E3%81%AB%E3%82%80%E3%81%8F%E3%82%A4%E3%83%8D%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82

日本にどういうルートでイネが入って来たかの特定は考古生物学的に困難である。水田(田んぼ)による稲作のルーツは中国(長江流域)であろうと思っている。日本に入って来たのが朝鮮半島経由であったか、中国から直接であったかは余り気にしていない。日本最古の水田の跡は佐賀~福岡である。

5. 棚田の米は何故美味しいのか
日本の原風景として、田んぼ、里山、棚田がよく揚げられる。能登地震被災地域に有名な「千枚田」がある。しかし、棚田は日本の専売特許ではなく、世界遺産に登録されている棚田も残念ながら日本にはない。
<棚田学会>

<被災前の輪島と千枚田:筆者撮影>

ところで、「棚田米は美味しい」と言われているのはご存じであろう。これは根拠のないことではないらしい。山間部は夜の気温が下がりが大きいが、この気温の低下により栄養がよく実に行き届くということが分かっているからである。

【オマケ】
海外観光客に最近おにぎりが人気であるようだ。嘗て海苔は苦手と言われていたように思う。大谷翔平がファミマのおにぎりのCMに出たことで、ファミマの売上げ高(トップライン)はセブンを抜いたようだ。米離れと言われつつ、おにぎりの人気は高い。

人体に必要なアミノ酸は20種で、そのウチ、9種は体内で生成できないので(必須アミノ酸として)食物から摂取する必要がある。これを食材毎に評価するものにアミノ酸スコアというものがある(タンパク質の摂取の評価ではないので一部批判もあるようだ)。イネは、8種は足りているもののリシンだけが足りない。これを補うのが大豆なので、米と味噌汁という組み合わせは理にかなっているという話がある。コムギよりイネの方がアミノ散スコアは高い。
<参考>アミノ酸スコア
身体作りは『質』のよいたんぱく質で | 酒田米菓


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