大企業がIPを作れない本当の理由
こんにちは、朝日けけ。です。
先日、西野亮廣さんと田中聰さん(GOKKO CEO)のIPに関する投稿がXで話題になっていました。
【IPは結果】 最近、経営者の間で「IP」「IP」という言葉が頻繁に使われるようになりました。
— 西野亮廣(キングコング) (@nishinoakihiro) January 22, 2026
一方で、それに対して「そんなに簡単に作れるものではない」という冷静な声も上がっています。
僕自身は、どちらかといえば後者の立場にいます。… pic.twitter.com/EvdVguY2KK
「経営者とIPは相性が悪い」
「IPは正しい経営判断からは生まれない」
という主張なんですよね。
元IPプロデューサーとして、これを読んで思ったことがあります。
彼らの言っていることは正しいんです。
ただ、現場にいた人間として、もう一歩踏み込んだ話をしたいなと。
結論から言うと、大企業でIPが生まれない本当の理由。
それは、経営者/創業者本人が本気でやらないから。
これに尽きると思っています。
本記事ではこの理由と構造について、深掘りながらまとめていきます。
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「IPがほしい」と言う企業の正体
最近「IPがチャンス」「日本はIPビジネスが成長筋」「IPで外貨を稼ぐ」という言葉をよく聞きますよね。
わたしも記事にしていますし、これ自体は正しいんです。
ただ、このタイミングで「IPが欲しい」と言っている企業のほとんどは、今IPを持っていない企業なんですよね。
もしくは、既存の強みをIPに転換しようとしている企業。
では、IPを持っている企業って何でしょうか。
任天堂はマリオを持っている。
→山内溥社長が宮本茂を信じて任せた。
サンリオはキティちゃんを持っている。
→創業者辻信太郎が戦争体験から「みんななかよく」を理念にキャラクタービジネスを創出。
カラーはエヴァンゲリオンを持っている。
→庵野秀明が監督と経営者を兼任。
カプコンはモンハンとストリートファイターを持っている。
→創業者の息子がモンハンのプロデューサー。
スクエニはドラクエとFFを持っている。
→ドラクエは堀井雄二、FFは坂口博信が生みの親。経営者がクリエイターを信じて任せた
レベルファイルは妖怪ウォッチを持っている。
→日野社長自らシナリオ執筆。
新興だと、
サイバーエージェント(Cygames)はウマ娘を持っている。
→渡邊耕一社長が今もアートディレクションに携わる
スパイラルキュートはちいかわを持っている。
→ちいかわが売れる前に、川上洋一社長が自ら独占ライセンス取得。
チョコレイトはパペットスンスンを持っている。
→パペットスンスンが売れる前に、独占ライセンス取得。社員としてHPにも記載されている。
miHoYo/HoYoverseは原神、崩壊シリーズを持っている。
→創業者がゲーム開発者。
MAPPAはチェンソーマンを持っている
→アニメ業界では稀な100%出資。
共通点、わかりますか?
自ら生み出したか、
出資をして権利を獲得したか、
まだ売れる前に権利取得して、めっちゃ売ったか。
差はあれど。
自らリスクを背負って作り上げたものだということなんですよね。
IPには温室が必要
IPの本質は、時間に耐えることだと思っています。
面白い話や怖い話が、伝承や都市伝説、寓話、神話になっていくのと同じです。
時間的耐久に耐えられた物語だけが、IPになっていく。
集英社や講談社などの大手出版社は、作家と流通という二つの要素を押さえることで、100年変わらない商流を作りました。
この「変わらなさ」が、作家にとっての温室になったんですよね。
商業デビューすれば原稿料がもらえる。重版やメディア化されれば本が売れる。大手出版は書店の棚を取れるから、作品が届きやすい。届きやすいと売れやすい。売れると連載が続くし、次回作も作れる。
たとえデビューできなくても、アシスタントや読切や担当編集がつくなど、創作活動の界隈に留まれる仕組みがあります。
この「100年変わらない温室」と「温室に入れる敷居の低さ」。
これが、日本から作家が生まれ続ける源泉なんだと思います。
担当者に何が起こるか
一方、新しくIPがほしい企業を想像してみてください。
だいたいの場合、創業時からエンタメやIPを狙って作ってきた会社ではないですよね。
今からIPを欲している企業です。
ということは、代表や経営権を持っている人には、会社全体の責任がある。つまり既存の事業や稼ぎ頭に使う時間がほとんどです。IPをゼロから作るという泥臭いことに、すべての時間を使うわけにはいかないんです。
会社全体の成長に責任を持っていますからね。
そうすると、どうなるか。
役員や新規事業担当、つまり偉いけど決裁権は持っていない人が、その責任を担うことになります。
1本の決裁はできる。でも100本は?
もっと具体的にお話ししますね。
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