卵焼きとニシン蕎麦の、やわらかな晩ごはん
ニシン蕎麦の湯気が、静かに立ちのぼる。
甘さを含んだ香りが、部屋の空気にゆっくり滲んで、
夜の湿度だけをそっと濃くしていく。
黒い身は深い影のように沈み、
刻んだ葱の緑が、湿った食卓に
ひと粒の灯りを置く。
横には、卵焼き。
淡い黄色の面に、やわらかな湿り気が宿っていて、
箸を置くたび、静けさがひとつ増える。
派手さのない晩ごはん。
けれど、こういう料理名がそのまま景色になるような一皿は、
一日の終わりをそっと抱きしめてくれる。
噛むたびに、夜が深く、やさしくなる。
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台所の音や、夜の静けさのように。
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