天幕のジャードゥーガル(1~6幕)の感想とプロジェクトマネジメント×アジャイル×ビジネスアナリシス視点での考察~ゆっくり学べるプロジェクトマネジメント~
原作漫画も非常に面白い「天幕のジャードゥーガル」が7月からアニメ放送開始している。
モンゴルを題材にしているだけで間違いなく面白い。
かわいいらしい絵柄の一方で、内容は時代考証もしっかりした歴史アニメである。
第1幕「天にあるもの 地にあるもの」
1213年のイラン東部・トゥースで、母を亡くした少女シタラは、学者一家の奥方ファーティマに拾われる。
故郷へ帰ることだけを願い勉強を嫌っていたシタラは、ムハンマドとの交流を通じて「知識と知恵が生きる力になる」ことを学んでいく。
しかしその頃、モンゴル帝国の勢力が迫りつつあり、シタラの穏やかな生活にも大きな歴史の波が押し寄せようとしていた。
物語を通して大きなテーマとなる「知識と知恵」について、金ダライをわざと落として、未来を予測して、それに適切に対処できたというエピソードが印象的である。
そして、モンゴル軍の足音という不穏な終わり方で次のエピソードに続いていく。
第2幕「サファルに咲く薔薇」
ムハンマドが旅立って8年後、トルイ率いるモンゴル軍がトゥースへ侵攻し、シタラたちの平穏な暮らしは突如として破壊される。
ファーティマが大切にしていた写本『原論』は奪われ、街は焼かれ、シタラ自身もモンゴル軍の捕虜となってしまう。
すべてを失い絶望するシタラの前に、モンゴル軍の通訳を務める少年シラが現れ、彼女の運命が再び動き始める。
物語が大きく動いた第2幕。
いつまでも続くと思った平和は、仮初めのものでしかなかった。
地上波放送及び配信は、第1幕と第2幕が同時だったので、第1幕から続けて観ると、シタラの絶望が視聴者にも伝わってくる。
そして、シタラはまた新たな運命に流されていく。
第3幕「消しえぬ炎」
シラは出世のため、教養を持つシタラをモンゴル帝国の第四皇子トルイに引き合わせようとする。
シタラはファーティマが殺され『原論』を奪われた理由を知り、『原論』を取り戻すこと=モンゴル帝国への復讐の第一歩だと決意する。
そしてトルイへの謁見で、シタラは亡き恩人の名を受け継ぎ、自らを「ファーティマ」と名乗る。
運命に翻弄され続けていたシタラが、「ファーティマ」として自分の目的を定める。
そして、不老不死の秘密など、古今東西の賢者の知に触れる。
第4幕「炉の主(オッチギン)」
モンゴル帝国の第四皇子トルイに仕えることになったシタラ(ファーティマ)は、皇子の末子で「炉の主(オッチギン)」となるソルコクタニ・ベキと出会う。
シタラは知識を武器に宮廷で自らの居場所を築こうとする一方、モンゴルの女性たちが持つ権力や役割の大きさを知っていく。
そして彼女は、モンゴル帝国を内側から揺さぶるためには、皇族の女性たちに近づくことが重要だと気づき始める。
当たりまえのことが、モンゴルにとっては始まりとなる重要な知識となる。
ここでも「知識」がテーマとなる。
そして3年。流されそうになるが、復讐の意志を強く持つ。
チンギス・カンの崩御により、また運命は大きく動いていく。
第5幕「蛇のまだらは外側に 人のまだらは内側に」
シタラ(ファーティマ)はトルイの妻ソルコクタニ・ベキに仕え、モンゴル帝国の皇族たちの人間関係や、それぞれが胸の内に抱える思惑を知っていく。
表面上は強大で結束しているように見えるモンゴル帝国も、内部では後継者争いや一族間の対立など、そこにいる人々はさまざまな「まだら」を抱えていた。
復讐を誓うシタラは、人の本心や弱点を見抜き、それを利用して帝国を内側から崩すという自らの戦い方を模索し始める。
ソルコクタニからの密命と、本格的に登場するドレゲネ。
大カアンであるオゴタイと、最も信頼関係のあるチャガタイ。一番の軍事力を持つトルイ。既に当主のないジュチ家や、チンギス・カンの弟であるテムゲなど、様々な勢力がそれぞれの目的で動き出す。
第6幕「メルゲンの民」
モンゴル帝国に恨みを持つシタラを信頼し、自らの哀しい過去を語り始めるドレゲネ。
遡ること25年前。年の離れたメルキト族の長・ダイルに嫁いだドレゲネは、ダイルの娘クランたちと心を通わせる。
だが平和な日々もつかの間、チンギス・カン率いるモンゴル族に襲撃され、ダイルはある決断を下すのだった。
モンゴルとメルキトは昔からの仇敵であり、モンゴルが草原を統一しても、恨みが消えることはない。
「ジャダ石」はその謂われのとおり、嵐を呼ぶのか。
プロジェクトマネジメント×アジャイル×ビジネスアナリシス視点での考察
主人公であるシタラは、序盤では運命に流されていくだけだが、「知識と知恵」を武器に、目的を明確にしていく。
モンゴルでの生活に慣れ、その目的を忘れそうになる時があるが、炎を心に燃やし続ける。
プロジェクトにおいても、外部環境や内部環境が日々変わっていく中で、当初のプロジェクト目標が置いてかれてしまうことがある。
その時に、当初の目標に立ち返って考えることができるのが、PMの役割となる。
時には、状況に合わせて当初のプロジェクト目標を見直す必要もある。
日々の状況に合わせて、柔軟に目的を達成できるように、アジャイル的に対応をしていく必要がある。
シタラ(ファーティマ)は、まさに状況に流されながらも、アジャイル的に目標達成のために動いているといえる。
長期間のプロジェクトになると、目標が変わっていくことがある。
何をしたいのか、要求事項が明確になっていれば、目的がぶれることはない。
ビジネスアナリシスは、ビジネスニーズを特定するだけではなく、ステークホルダーのベネフィットを定義し、価値実現に向けた実行可能なソリューションを評価し、価値提供まで行う手法である。
シタラ(ファーティマ)は、長いプロジェクトの中で、何度も想いを新たにしながら、ステークホルダーを巻き込んでいく。
プロジェクトを成功させるためには、プロジェクトマネジメント、アジャイル、ビジネスアナリシスなどの様々な知識が必要となる。
「知識」はプロジェクト資源である。
「知識」を使い、「知恵」を用いて困難な障壁を乗り越えていくのが、PMの役割となる。
シタラ(ファーティマ)は、権限もリソースも何も持たないPMに見えるが、「知識と知恵」がある。
そこからステークホルダーを巻き込み、小さいプロジェクトから、巨大なモンゴル帝国というプログラムに切り込んでいく。
ランチェスターの法則における「弱者の戦略」でいうところの、弱者が勝つための戦略である。
決して正面からは挑まず、知をもって差別化を図り、「原論」に近づく。
ステークホルダーを巻き込んでいき、信頼できる味方=ドレゲネとともに嵐を巻き起こす。
シタラ(ファーティマ)とドレゲネの復讐の物語に目が離せない。

