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貧困スパイラルの時代。国や政治家なんか信じていたら人生が終わってしまう時代

国も膨れ上がっていく貧困層にお手上げになり、福祉も年金も削減していくようになる。普通の労働者がワーキング・プアとなり、シングルマザーが貧困化し、子供も一緒に貧しくなり、高齢者もまた救いのない困窮に苦しむようになる。こうした流れはもうとまらない。(鈴木傾城)

日本の相対的貧困率は15.7%に

あなたは今、豊かさを感じ取れているだろうか? 現代の日本は世界的に見れば経済的に成熟し、生活環境も整っているはずだが、日本の底辺ではじわじわと貧困層が増えている。中間層から脱落していく層も多い。

収入が増えない一方で物価や生活費はじわじわと上がっているのだ。毎日きちんと働いていても、日常的に経済的余裕を削られている感覚を持つ人は少なくない。

30年以上も日本を成長させることができない無能な政治家どものせいで、日本は衰退をまぬがれず、国民はじわじわと貧困にからみ取られている。厚生労働省の「国民生活基礎調査」の結果によると、日本の相対的貧困率は15.7%となっている。

これは、どういうことか?

日本の相対的貧困層のラインは127万円とされており、これは約6.5人に1人が相対的に貧困状態にあることを意味している。15.7%という数値は、先進国の中でもっとも高い。相対的貧困ではなくても、生活の苦しさを訴える層は激増している。それもそうだ。実質賃金はすでに2年以上ずっとマイナスなのだ。

貯金がない人は「貯蓄額階級別・借入金額階級別にみた世帯数の構成割合」によれば16%である。しかし、ほとんどの階層で「貯金が減っている」と答えている。

ただ、一方で富裕層も日本では増えている事実もある。

株式市場が上昇しているので、株式を保有できる層が資産を増やしているのだ。しかし、株を保有する余裕などない世帯は、まったく何の恩恵も受けていない。

貯金こそがすべてという「一見、堅実な人」も、物価上昇の時代には逆に追いつめられる結果となっている。現金はインフレによって目減りするし、日本ではいくら貯金していたとしても金利は実質的にゼロに近いので増えることはない。ただただ、目減りしていくだけなのだ。

政治は信用を失い、少子高齢化は進み、ステルス増税がなされ、社会保険料も引き上げられ、インフレが進んでいるので、日本人はもっと経済的苦境に落ちていくことになるのだろう。


就学にも苦しんでさらに貧困化?

子供の貧困は実態よりもひどいのではないかと現場の人々は指摘する。

なぜなら子供の貧困を発見するのに「就学援助を受けている子供」を対象にしているのだが、ひどく生活が切迫しているにもかかわらず、就学援助を受けない貧困家庭もいるからだ。

こうした家庭では食事の回数を減らしたり、子供の病気や治療、たとえば虫歯などを放置させたりしているわけで、子供の発育や健康にしわ寄せがいく。

さらにこうした家庭では子供を塾に通わせたりする余裕もないので、子供たちは学力の低下も余儀なくされる。また、義務教育が終わったあとの進学でも、親の資金力のなさで進学をあきらめ、低学歴になりやすく、それが貧困の固定化となる。

中学校卒業、高校卒業の若者は、そもそも就職も大卒に較べると難しくなっている。就職ができたとしても、賃金で大学卒業と区別が付けられている。

それでも正社員としてどこかの会社に潜り込めれば幸せなことで、その多くは派遣労働者や契約社員として「使い捨て」にされる可能性のほうが高い。

それでは大学を卒業して正社員になった人間が勝ち組で将来は安定なのかといえば、まったくそうでもない。すでに多くの企業は終身雇用も年功序列も捨て去って、業績が悪くなればリストラで調整するようになっている。

そのため、正社員であっても、会社が傾けばどこかのタイミングで捨てられることになるのが今の労働環境だ。

グローバル化が突き進んだ2000年代から、「正社員も安泰ではない社会になる」とさんざんいわれてきた。だが、当時のサラリーマンはそのほとんどが危機感がなく、まさか自分たちが会社からリストラされるような時代がくるとは想像すらもしなかった。

だから派遣社員の人間を見て、「自分たちは特別で勝ち組だ」という特権意識さえ持つ人間もいた。今は「正社員だから勝ち組」などと思っているおめでたい人間はひとりもいない。

日本を代表するプライム市場の企業であっても、いったん凋落したらすさまじいリストラの嵐が吹き荒れて従業員が放り出されるのを私たちはしばしば目撃する。


団塊の世代も貧困に転がり落ちる?

こうした状況の中で、団塊の世代も逃げ切れないで巻き込まれている。後期高齢者は75歳以上の高齢者を指すのだが、1947年から1949年生まれの団塊世代全員が2025年には75歳以上となり、後期高齢者に該当することになる。

日本政府はまともな経済政策をする能力はまったくないので、内需が萎むと警告されているのに国民負担率を引き上げるような暴挙に走って、返す刀で社会福祉や年金の削減をおこなってきた。

インフレと年金の削減は、年金にすがるしかない高齢者の老後を直撃している。今後、高齢者の7割から8割くらいは貧困化するのではないかと予測する経済学者もいる。

すでに、エアコンすらも電気代を気にして使えない高齢者もいて、部屋にいながらにして熱中症で死亡したりしている。65歳以上の孤独死の件数も約1万7,000人近くに上っているのだが、これも貧困の光景である。

高齢者に貧困が襲いかかるのは、「物価が上がりまくって実質年金額が減る」という経済学的な要因からだけでない。高齢層になれば、病気や事故で身体がだんだん効かなくなる。自分が病気になったり、妻が病気になったりすると、想定しなかった医療費がのしかかってくる。

さらに、離婚問題もある。いわゆる熟年離婚というものだが、夫婦から個人になれば、ふたりで助け合っていたものがひとりで何もかもしなければならなくなる。

そんな中で病気になったり認知症になったりすると、もう目も当てられない。高齢になって離婚されるというのは、想像だにしない男もいる。そんな男が離婚を突きつけられて愕然とする。

子供がいたとしても、その子供が高齢化した自分を助けてくれるとは限らない。そもそも、子供自身が日本の貧困社会の直撃を受けている。それこそ、引きこもりやニートになって年金生活をする親に頼りかかる子供も珍しくない。

家に引きこもって社会生活が不可能になったニートや引きこもりはすでに「中年化」して、ニート問題は若年層の問題ではなくなった。

そんな中年化した引きこもりの子供を、年金生活に入った親が面倒を見る。親にしてみれば想定外としか言いようがない。こういった誤算の数々が高齢者を襲いかかり、老いて貧困に転がり落ちていく。(ブラックアジア:「80代の親にいつまでもタカリ続ける50代の子供」の問題は、もっと深刻化していく


そんな恐ろしい時代に生きている

社会がグローバル化し、企業間の競争が激しくなり、さらに大企業が次々と小さな企業を飲み込み、大株主が配当や株価上昇を経営者に強く求めるようになった。その結果、ほぼすべての企業経営者はROE(株主資本利益率)の最大化を目指すようになっている。

たとえば、ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイが日本の5大商社(伊藤忠商事、三井物産、三菱商事、住友商事、丸紅)の株式を大量に取得したのは2020年だった。

以後、このすべての商社は明確にROEを高めるために配当率を引き上げ、自社株買いをおこなうようになっている。会社の利益のために内部留保を確保し、配当を増やし、自社株買いで株価を上げることが重要になった。

今後、利益の確保のためにコストのかかる不要な従業員は容赦なく切り捨てるようになっていくだろう。AI(人工知能)もそれを加速するはずだ。現在の企業が目指しているのは、いかにコストを削減して利益を上げるかという「雇用を排除する経営」なのだ。

現在の日本企業も、決算が赤字でも黒字でも定期的に人員整理をするようになっているのは、社員はコストであり、コストは削減するものであり、それによって利益が最大化できるからである。

こうした最大化された企業の利益は、株主と経営者が総取りする。それでも余った金は労働者に配分されるのではなく、会社に内部留保されたり、自社株買いに使われたりする。

こうした中で、株式を持たない、ごく普通に生きている人々が、次々と貧困に落ちているわけである。資本主義が強者総取りの弱肉強食型に変化している。

国も膨れ上がっていく貧困層にお手上げになり、福祉も年金も削減していくようになる。普通の労働者がワーキング・プアとなり、シングルマザーが貧困化し、子供も一緒に貧しくなり、高齢者もまた救いのない困窮に苦しむようになる。

こうした流れはもうとまらない。格差が広がり、貧困が深刻化していく貧困スパイラルがここにある。政府も国民負担率を上げて収奪にやってくる。そんな恐ろしい時代に私たちは生きている。

生き残るためには、どうしたらいいのか? とにかく、金融リテラシーを上げるしかない。なぜなら、それだけが私たちに残された唯一の救命具だからである。


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