「数字の基礎」#2|なぜ儲けてもいないのに税金を払わされるのか?
(※筆者は税理士ではありません。25年間、企業の現場で日々のお金と通帳に向き合い続けてきた「経理実務のプロ」として、現場で見えるリアルな資金の動きをお伝えしています。個別の税務判断は必ず担当の税理士さんにご確認ください)
「去年あんなに頑張ったのに、今年は正直しんどい…」
先月末(7月31日)、通帳から見慣れない引き落としがあって固まった方、いませんか?
それは、「予定納税」という制度です。
まだ今年の確定申告もしていないのに、
先に税金を前払いさせられる仕組みです。
「今年の儲けは今年終わってみないと分からないのに、
なんで先に払わされたんだろう」
そう思った方、正常な感覚です。
今日はこの多くの事業主が頭を抱える「税金が払えない」の
正体を、3つの視点から整理していきます。
① 消費税は、あなたの儲けではなく「預り金」
売上と一緒に受け取っている消費税。
これ、感覚としては売上の一部のように見えますが、本来の性質は
少し違います。
顧客から預かって、あとで納める。いわば“通り道”のお金です。
ここを「手元にあるから」と運転資金として使ってしまうと、
納税のタイミングで「あるはずのお金がない」という状態が起こります。
誤解:自分が稼いだ儲けの一部
真実: 一時的に金庫で預かっているだけのお金
実際、国税庁の最新データでも「滞納されている税金の半分以上が消費税」という結果が出ています。
「儲けたお金」ではなく「預かっているだけのお金」
この感覚のズレが、税金滞納の一番大きな要因になっています。
② 予定納税という「前払い請求」の正体
先ほどの予定納税について、もう少し詳しく見てみましょう。
これは、前年の所得税額が15万円以上だった方が対象になる制度です。
今年の儲けとは関係なく、「去年の実績」をもとに、
今年の所得税を前払いさせられる仕組みです。
第1期(7月末): 前年税額の3分の1
第2期(11月末): 前年税額の3分の1
確定申告(翌3月): 残りを精算
「去年は絶好調だったけれど、今年は苦戦している…」
そんな年でも、予定納税の請求は容赦なく去年の絶好調を基準に
やってきます。
今年の資金繰りの実感とは、完全にズレたタイミングで攻めてくるのです。
(※もし今年の所得が大きく減る見込みがある場合、予定納税額を減らす「減額申請」という制度もあります。該当するかどうかや実際の手続きは、税務署や顧問税理士の先生にご確認ください)
③ 税金を支払うタイミングは、年に何度も
バラバラにやってくる
税金は年に1回、確定申告の時期にまとめて来るものだと思っていませんか?
実際は違います!
3月:所得税・消費税の確定申告
7月:予定納税(第1期)
8月:個人事業税(第1期)
11月:予定納税(第2期)、個人事業税(第2期)
(※所得が290万円以下の方は事業主控除の範囲内のため、個人事業税はかかりません)
このように、年間を通して何度も別々のタイミングで請求が発生します。
1回にまとめて備えるのではなく、年間を通して「いつ、いくら出ていくか」をあらかじめ把握しておく必要があります。
ここが整理できていないと、その都度「なんで今このタイミングで」
と慌てることになってしまうのです。
💡 今日のまとめ
消費税は儲けではなく「預かっているだけのお金」
滞納税額の半分以上は消費税
予定納税は「去年の実績」をもとにした前払い請求なので、
今年の資金繰りとはズレる税金の支払うタイミングは年に何度も分散しており、11月は特に重なりやすい
この4つを知っておくだけで、「なぜか今年は税金がきつい…」という
モヤモヤの正体が見えてきます。
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