㊲お客との恋~錦糸町ラプソディ~長編その④
7)勃たない…
そんな隙間ができている中で、いつものように車を走らせて錦糸町に会いに向かった。
首都高は少し渋滞しており、なんとなくテンションが上がらない。
少し低めの気分で錦糸町に到着した。
「もうすぐ着くよ~」とラインして、車を降りて彼女のマンションに向かう。
ところがなかなか下りてこない。
「こっちは渋滞の中来てるのに…。」
そんなやさぐれた気持ちが浮かんでくる。
「お待たせ~」
15分後にこちらの気持ちも知らずに、彼女はやってきた。
僕はネガティブな気持ちは出さずに、笑顔で
「遅いぞ!」と言いながら、腕を組んで歩き始めた。
いつも行くラブホはあいにく満室で、少し古ぼけたホテルしか空いていなかった。
昔ながらの受付で鍵を受け取り、部屋に向かう。
そして部屋に入るとキス。
寒かったので服を脱ぐと、裸で二人でベッドに入った。
そのまま抱き合いながらキスをするのだが…
勃たない…。
気持ちが少し冷めているからなのかもしれない。
しばらくキスやアレコレして刺激を試みるけど、勃たなかった。
僕にしては非常に珍しい。
「疲れてるのかな?」
彼女は少し心配そうな顔をしている。
「そうだね。ごめん、仕事で疲れているみたい。」
「そっか~仕方ないね。じゃぁ隣でくっついていよ?」
「うん」
僕はそう答えながら、ぼんやり古い天井の壁紙のシミを眺め続けた。
8)結果的には…
20分くらいそうしていただろうか?
僕は勃たなくて焦るというよりも、なんとなく
「やっぱりな」
って思っていた。
僕は相手に対する気持ちがなければ、勃たなくなるのだ。
好きだった彼女と別れても、愛情がなくなってしまえば、たとえセクシー下着で誘惑されても、勃たなくなってしまう。
頭の中が冷静になってしまい、興奮しなくなってしまうんだ。
だから今回も、自分の中に冷めている部分があるのを感じていて、
「やっぱりな」
と納得してしまっている部分があった。
彼女は隣で寝息を立てていた。
そんな彼女を見ていると、こんな美人が裸で寝てるって、客観的に見るとすごいなって思った。
そう思ったら、急に下半身に力が漲ってきた。
そしてそのまま彼女の身体を抱き始めた。
「ん?どうしたの?突然?」
彼女は目を覚ましながらも、驚いてそう言う。
「欲しくなったから」
そう言って彼女を貫いた。
終わって横になっていると、
「嬉しい。今日はもう抱いてもらえないのかと思った。
私じゃもう興奮してもらえないのかなって心配になってたの」
彼女は彼女でやはり不安だったのだ。
「そんなことないよ。疲れていただけだけど、寝顔見てたら愛おしくなって。」
「ありがとう」
彼女はほっとしたように笑顔になった。
帰りの首都高を走りながら夜景を眺める。
彼女とはあんな風に話をしたけど、自分の心にはウソがつけなかった。
冷めていた自分の気持ちが本心なんだろうなって。
ただの僕のワガママ。
身勝手な気持ち。
彼女は全然悪くない。
そう分かっているけれども、自分の気持ちはもうどうしようもなかった。
「別れよっかな…」
そんな思いを抱えながら、車を走らせた。
つづく…。
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