忍び足の理由
年長の娘は、最近体重が気になるらしい。
といっても、「増えたら困る」という話ではない。
むしろその逆だ。
娘の中では、
お姉さんになる=体重が増えること
らしい。
同じくらいの年齢のお友達の中に、自分より少し大きな子がいて、
「早くあの子くらいになりたい」
と思っているようだ。
ある日の夕飯。
ごはんを半分ほど食べたところで、
「体重はかりに行ってきまーす!」
と突然脱衣所へ向かった。
しばらくして戻ってきた娘は、
「なんで昨日より減ってるんだー!!」
と本気で悔しそう。
私は、
「動いたらエネルギー使うからね。いっぱい食べないとだね。」
と声をかけた。
すると娘は残りのごはんをしっかり食べて、
「ごちそうさまでした!」
そして再び、
「体重はかりに行ってきまーす!」
と脱衣所へ。
ところが今度は様子がおかしい。
ものすごくゆっくり。
そーっと。
まるで泥棒みたいな忍び足で歩いている。
「何してるの?」
と聞くと、
娘は真剣な顔で言った。
「だって、エネルギー使うと体重減っちゃうから。」
なるほど。
さっきの話を、ちゃんと自分なりに考えた結果らしい。
少しでも体重を減らさないように、全力で省エネ移動中だったのだ。
結局、体重は昨日と同じ。
増えてはいなかった。
それでも悔しそうにしている娘に、隣で見ていた次男が一言。
「牛乳いっぱい飲んじゃえー!」
娘はそのアドバイスを素直に信じて、牛乳をがぶ飲み。
早く大きくなりたい気持ちと、そのための一生懸命な作戦がなんともかわいくて。
忍び足で脱衣所へ向かう後ろ姿を見ながら、思わず笑ってしまった夜でした。
