紙ヒコーキ
どうせ誰にも見せない手紙なら、誰にも言わない言葉を書いてみようか。
なぜ君が、いつまでも心に住みついているのか、とか。痛みが取れてくれない鼓動のこと、とか。
理由はひとつしかなくて。ある日、前触れもなくストンと私の心の中に入り込んで来たからだよ。
共通なものなんて何も無くて。ただ君の眼差しが好きで。嬉しい時に魅せる、はにかんだ表情とか。なんでもない時の横顔とか。キレイな肌だったり、白目の白さだったり。もちろん瞳もなんだけど。でも別にコレ、って何か好きだって言うものはなくて。ただ、君が「そこにいる」ということがいちばん好きで。
君が何をする、という訳でもなくて。君が得意なこととかも知らなくて。なのにただ、好きで。
君が、好きで。
君がいない時はいつも思うんだよ。会いたい、って。
そうだなぁ。
やっぱりこの手紙に書けるのはこれだけかな。
会いたい
遠くに、遠くに飛ばそう。
青い空が広がる日に、この窓から飛ばしたらどこまで行くだろう。
宛もなく、一言だけ書かれた紙ヒコーキは、風を纏って君に届くだろうか。
遠く。遠く。遠く。
さぁ!
いけっ!

紙ヒコーキ
あてはないけど 紙ヒコーキに
愛の言葉を走り書きして
くすんだレンガの街を見下ろす
窓の形に広がるそらへ
とりとめのない 気ままなものに
どうしてこんなに 惹かれるのだろう
とりとめのない 気ままなものに
どうしてこんなに 惹かれるのだろう
屋根にのぼると 空が近いよ
頭を低く 雲が流れる
風のきらめき 羽にたたんで
紙ヒコーキは
空の彼方へ
空の彼方へ
とっても有名なユーミンですが、わたしは結婚する前の荒井由実さんだった頃の曲が好きです。思いっきり昭和ですよね。父のレコードで聞いていたルージュの伝言とか、『魔女の宅急便』で流れてきた時は嬉しくて。
そして荒井由実さんの曲の中でも、なかなか知られないと思うのですが、『紙ヒコーキ』が好きです。小学生の時に今月の歌、として先生が選曲して、ある月に歌っていた曲(セレクト渋いですよねー)で、「あてはない」という言葉とか、「とりとめもない」という言葉とか。小学生ではあまり聞かない言葉に惹かれたんです。「窓の形に広がる空」とか、「風のきらめきを羽にたたむ」とか。今月の歌が終わってからも、その情景を浮かべるのがクセになってて。脳裏に焼き付けちゃったんでしょうね、小学生のわたしは。まだ誰かを好きになるってこともわからなかったのに、言葉に惹かれたのでした。
冒頭は、そこから考えたお話しです。
先日20字小説を作ったら、ちょっと気持ちよくって。できることをやってみようと、ここに残してみました。
