「伝えベタ」の私だから見つけた、コピーライティングの技術
最もエコでないコピーライター

「もともと伝えるのが苦手でした」
というと、だいたい疑われるのですが、
赤裸裸にいうならば
「超苦手でした」
転校生だった私は、たとえ好意でいじられても黙っていることしかできない少年でした。大学で機械工学を勉強したのも、人とつきあうのが苦手で、機械といっしょにいたほうが気楽だったからです。
そんな私がついた仕事がコピーライター。
もう25年も前です。当時「ポテンシャル採用」という、ちょっとのんきな採用方法があって、入れてくれたのでしょう。
私は、そのポテンシャルを見事に発揮しませんでした。
それはそうです。キャッチコピーどころか、文章もほとんど書いてない学生をコピーライターにするなんて、人事も大博打をうったもんだ。
まず、文章の書き方を知らない。漢字もろくにかけない。
入社した広告代理店の「博」という漢字の右上に、点がつくかつかないか入社して数年わからなかったのは、社史の中でも私だけでしょう。
誤字だらけのコピーを見た上司は、放送禁止用語で評価してくれました。
「おまえ、知ピーピーピー?」
コトバは才能で決まると思っていた私は途方にくれていました。一方で、同期入社の人たちはどんどんいい仕事をしていく。自分ができないことの恥ずかしさと嫉妬で、人と目をあわせることができませんでした。
強いコトバの法則を発見

そんな私が、あることを見つけた日から人生が変わりました。徐々に変わったのではなく、突然変わったのです。国内のコピーライターの賞をいただいたのをはじめ、アメリカの広告賞で日本人初、金賞を受賞。書いた本は、日本でも世界でも100万部を突破しました。
私は、見つけたのです。
「強いコトバには、法則性がある」ことを。
それまで、キャッチコピーは凄いひらめきのある人が書けると思っていました。
その日は突然きました。
私は
「こんなキャッチコピーを書いてみたい」
そう思うコピーを見つけると、必ずノートに書きとめていました。
憧れのコピーたちを見て、世の中には天才っているんだと、ため息をついていました。その日も、天才たちのコピーを見ていたところ違和感というのでしょうか、
「何か、何かがある」
そう感じたのです。
そのコトバは
「コクがあるのに、キレがある」スーパードライ
「考えるな、感じろ」燃えよドラゴン
「事件は会議室で起こっているんじゃない、現場で起こっているんだ!」踊る大捜査線
どれも、時間はたっても、超有名な名言です。これを見ていて「何かがある」と感じたのです。もっというと、構造が似ていると感じたのです。どれも正反対のコトバを使っている。
コク←→キレ
考える←→感じる
会議室←→現場
はじめ、気のせいかなと思っていました。しかし、偶然にしてはそろいすぎている。この惑星直列に、ただならぬ予感がありました。もしかしたら、偶然に正反対が入っているのではなく、あえて正反対のコトバが入っているのでは!
・・・いや、偶然ではない。正反対のコトバを使えば、心を動かすコトバになる!これは応用ができる!
世の中にある、膨大な量の、有名キャッチコピーを読みあさるうちに、あいまいだった仮説が確信に変わりました。
