東海Sは「末脚勝負」ではない|4F目まで緩まない中京ダート1400mで問われる2つの能力
7月26日(日)に行われる東海S。
今年の舞台は、中京ダート1400mです。
中京ダート1400mと聞くと、
前半が速くなりやすい
ハイペースなら差し馬が有利
最後に速い脚を使える馬を狙いたい
というイメージを持つ人も多いかもしれません。
ただ、過去の同条件重賞を確認すると、このレースを単純な「末脚勝負」として考えるのは少し違います。
今回、予想のSTEP1「レース環境分析」として、夏の中京ダート1400mで行われた重賞を過去5レース分を分析しました。
そこから見えてきたのは、東海Sで重要になるのは、直線で一瞬速い脚を使う能力ではなく、
速い流れから離されずについていく追走力
そして、
最後まで大きく速度を落とさない失速耐性
の2つです。
分析した過去5レース分
今回の分析対象は、以下の5レースです。
2025年 東海S
2023年 プロキオンS
2019年 プロキオンS
2018年 プロキオンS
2017年 プロキオンS
いずれも夏の中京ダート1400mで行われた古馬重賞です。
※東海Sは、一昨年前までは中京ダート1800mとして開催されており、時期や距離が異なるため、今回と同じコース・距離・開催時期・クラスの過去重賞を分析しています。
各年の前半3F、4F目、後半3Fを整理すると、次のようになります。
年 馬場 前半3F 4F目 後半3F 勝ち馬の4角位置
2025年 良 34.6 11.7 35.9 2番手
2023年 稍重 33.9 11.6 37.5 1番手
2019年 稍重 33.3 11.0 36.9 4番手
2018年 不良 33.5 11.2 35.6 1番手
2017年 良 34.2 11.8 36.9 12番手
ここで注目したいのは、前半3Fの速さだけではありません。
重要なのは、その直後にある4F目だと考えています。
芝スタートから加速した後も、レースが緩まない
中京ダート1400mは芝部分からスタートします。
そのため、各馬が序盤からスピードに乗りやすく、前半の流れも速くなりやすいコースです。
ただし、このコースの厳しさは「前半3Fが速い」だけではありません。
過去5回の4F目は、
2025年:11.7秒
2023年:11.6秒
2019年:11.0秒
2018年:11.2秒
2017年:11.8秒
すべて11秒台でした。
芝スタートから加速し、隊列が決まった後も、すぐに12秒台まで落として息を入れる形にはなっていません。
つまり、中京ダート1400mの重賞では、
序盤に位置を取るスピードだけでなく、その後も高い速度で走り続けること
が求められます。
前に行く馬は、速い流れを直接受けながら位置を維持しなければなりません。
差し馬も、後ろでゆっくり脚をためていればよいわけではなく、前との差を広げられずについていく必要があります。
ここで問われるのが、1つ目の能力である追走力です。
追走力とは「前に行ける能力」ではない
私の予想では、各馬の能力を以下の5項目に分けて評価しています。
初速
追走力
加速力
トップスピード
失速耐性
この中で追走力は、単純に前の位置を取れる能力ではありません。
スタート直後に位置を取る力は、主に「初速」として別に評価します。
※もちろんこれだけで隊列位置を考えているわけではありません。
追走力は、
レース中盤で位置を維持し、前との差を広げられずについていく能力
です。
中京ダート1400mでは、最初の位置取り争いが終わった後もペースが大きく緩みません。
そのため、初速で前に行けても、その後の追走で余裕を失えば直線まで持ちません。
逆に差し馬でも、速い流れの中で前との差を維持できれば、最後に先行馬の失速を捉えることができます。
東海Sでは、脚質の名前だけで、
「先行馬だから有利」
「差し馬だから展開が向けば届く」
と判断するのでは不十分です。
前方馬にも差し馬にも、それぞれの位置で流れについていく追走力が必要になります。
過去5レースはすべて前半より後半が遅い
もう1つの重要な特徴は、過去5回すべてで、後半3Fが前半3Fより遅くなっていることです。
前半3Fと後半3Fの差は、
2025年:後半が1.3秒遅い
2023年:後半が3.6秒遅い
2019年:後半が3.6秒遅い
2018年:後半が2.1秒遅い
2017年:後半が2.7秒遅い
となっています。
どの年も、直線に入ってから全体の速度が上がるレースではありません。
序盤から中盤にかけて高い速度を使い、最後は全体が減速しています。
最後の1Fも、過去5回すべて12秒3~13秒でした。
2025年:12.3秒
2023年:12.8秒
2019年:13.0秒
2018年:12.8秒
2017年:12.4秒
このレースで重要なのは、最後にどれだけ速く走ったかだけではありません。
全体が苦しくなる中で、
他の馬よりも速度を落とさなかったか
を見る必要があります。
これが2つ目の能力である失速耐性です。
上がりの速さと、失速しないことは同じではない
競馬予想では、上がり3Fの順位やタイムが注目されます。
もちろん、速い上がりを使えること自体は能力です。
ただし、前傾ラップになりやすい中京ダート1400mでは、普段の上がりタイムだけを見ても、その馬が本当に今回のレースに対応できるかは分かりません。
例えば、道中で後方に置かれ、流れの負荷をあまり受けなかった馬が、最後だけ速い上がりを記録することがあります。
一方で、前方で速い流れを受けながら走り、最後まで大きく順位を落とさなかった馬は、上がり順位だけを見ると目立たないことがあります。
しかし東海Sで重要になりやすいのは、後者です。
速い流れを追走したうえで、直線の坂を迎え、最後まで大きく失速しない。
そのため、STEP2の能力評価では、
4角から大きく順位を落としていないか
厳しいペースでも粘れているか
最後まで脚色が大きく鈍っていないか
着順を落としていても、失速幅は小さかったか
といった点を確認していきます。
勝ち馬は5回中4回が4角4番手以内
過去5回の勝ち馬の4角位置は、
2025年:2番手
2023年:1番手
2019年:4番手
2018年:1番手
2017年:12番手
でした。
5回中4回は、4角4番手以内から勝っています。
これだけを見ると、単純に前へ行く馬が有利に見えます。
しかし、そう結論づけるのは危険です。
2023年は、逃げたドンフランキーが勝ちましたが、馬場は直線で時計を要し、先行馬の負荷が高い状態でした。
前に行った馬が楽だったのではなく、厳しい流れを逃げながら耐えた勝ち馬の能力が高かったと考えるべきレースです。
2017年は前方勢が崩れ、上位3頭が4角12番手、9番手、8番手から伸びました。
つまり、過去5回から分かるのは、
先行馬が有利なのではなく、前方で負荷を受けても失速しない馬が基本的に強い
ということです。
位置取りだけではなく、その位置でどのような負荷を受け、最後まで能力を維持できるかを見る必要があります。
前半が速いから差し有利、でもない
2019年の前半3Fは33.3秒。
今回分析した5回の中で最も速い流れでした。
それでも上位3頭の4角位置は、4番手、6番手、3番手です。
一方、2017年の前半3Fは34.2秒でしたが、上位3頭は4角12番手、9番手、8番手でした。
前半時計だけを比較すると、2019年の方が速いにもかかわらず、2019年は前方決着、2017年は差し決着です。
したがって、
「前半33秒台なら差し有利」
「ハイペースなら追込馬を狙う」
という単純な判断はできません。
実際の予想では、
逃げ候補の数
各馬の初速
逃げ馬が単騎でも速く走るタイプか
隊列形成後にペースが緩むか
馬場の時計水準
前方馬の追走力と失速耐性
を組み合わせて判断する必要があります。
今年の東海Sが前残りになるのか、差し決着になるのかは、現時点ではまだ決めません。
それは出走馬の能力評価を行った後、展開分析で考えます。
レース環境分析で見えた、東海Sで問われる2つの能力
今回の過去レース分析から、東海Sで中心になると考えている能力は次の2つです。
追走力
序盤から中盤にかけて高い速度が続く中で、位置を維持し、前との差を広げられずについていく能力。
前方馬にも差し馬にも必要になります。
失速耐性
高い速度で追走した後、直線の坂を含む終盤で、大きく速度を落とさず走り切る能力。
全体が減速する中で、他馬よりも失速幅を小さくできるかが重要です。
現時点での能力重要度は、次のように考えています。
初速:★★★★☆
追走力:★★★★★
加速力:★★★☆☆
トップスピード:★★☆☆☆
失速耐性:★★★★★
トップスピードや加速力が不要という意味ではありません。
ただし、今回のレースを考えるうえでは、最後の瞬間的な末脚よりも、
そこまでの速い流れについていけるか
そして、
最後まで大きく失速しないか
を優先して見ていきます。
次は全出走馬の能力を評価する
今回の記事は、予想工程のSTEP1「レース環境分析」です。
まだ特定の馬が向いている、好走するという判断はしていません。
次のSTEP2では、出走予定馬の過去レースを確認し、
初速
追走力
加速力
トップスピード
失速耐性
の5能力を評価していきます。
特に今回の鍵になる追走力と失速耐性について、
複数のレースで再現しているか
速い流れでも能力を示しているか
中京ダート1400mに近い条件で証拠があるか
直近でも能力を維持しているか
明確な反証がないか
を確認します。
「脚質が合いそうだから」
「前走の上がりが速かったから」
という印象ではなく、過去レースの事実を積み重ねて、各馬の能力構成を整理します。
今年の東海Sで、速い流れを追走した後も最後まで耐えられる馬はどの馬なのか。
次回は、出走馬の能力評価を進めていきます。
