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体が正直すぎて、終わったあと泣きたくなった夜

体って、正直だな、と思ったことがある。

心が「これは違う」って言ってるのに、体だけ先に走っていく感じ。その乖離がなんかもう、情けなくて、情けなくて、当時は自分のことが嫌いだった。

23歳のころの話。

カズさんのことは、以前も少し書いたと思う。取引先の33歳。既婚かどうかも聞けなかった。指輪はしてなかったから「まあいっか」って自分を騙してた。

どういう経緯でそうなったか、最初の夜のことはもう細かく覚えてないんだけど、確か渋谷のバーで飲んで、そのまま近くのホテルに行って、みたいな流れだったと思う。よくある流れだよね、って今は言えるけど当時はまだそういう経験に慣れてなくて、ちょっとドキドキしながらついていったんだよな。

カズさんは、触れ方が慣れてた。

年上の余裕、みたいなやつ。急がなかった。首筋とか耳の後ろとか、そういうところから始めてくる。それだけで変になりそうで、やばいと思った。

「やばい」は本当にやばかった。

太ももの内側を指でゆっくりなぞられたとき、頭が一瞬ふわってした。息が浅くなって、体が勝手に力を抜いていくのがわかった。やめてって思う気持ちと、続けてって思う気持ちが同時にあって、わたし何やってんだろうって心の端で思いながら、でも目は閉じてた。

胸を掴まれた瞬間、ぞわっと熱くなって。

声、出た。

それが一番恥ずかしかった。自分でも引いた。こんなにすぐ反応するんだって、自分の体に対してちょっと怒った。

彼が動くたびに、奥の方がじわじわ広がっていく感じがして、全身がびりびりして足の力が完全に抜けた。声を堪えようとして唇を噛んだけど、無駄だった。腰を掴む手が思ったより強くて、でも離してほしくなかった。ずっと奥を突かれながら、頭が溶けそうで、気持ちいいって思ってしまって、それが一番嫌だった。

びしょびしょになってた。自分でも引くくらい。

中で脈打つ感触がして、そのまま体の奥が震えて、声が出た。イってしまった。嘘みたいに体が正直で、情けなかった。

終わってから、ぼーっとしてた。

カズさんはすぐスマホ見てた。わたしは天井見ながら、なんにも考えられなかった。気持ちよかったのに、じゃないか。気持ちよかったから、嫌だったんだと思う。

好きかどうかもわかんない人に、あんなに感じてしまったこと。体だけが先に答えを出してしまったこと。

シャワー借りて、一人で浴びながら、なんか泣きそうになった。泣かなかったけど。泣く理由もよくわかんなかったし。

ホテル出たのが0時過ぎで、渋谷の外に出たら空気が冷たくて、なんか急に現実に戻された感じがした。マークシティのあたりをぼーっと歩きながら、また来てしまったな、と思った。

この「また来てしまった」って感覚、あの頃ちょくちょくあった。反省するわけでもなく、後悔するわけでもなく、ただ「また」って思う感じ。

カズさんとはそのあとも何回か会った。体の関係だけになってた。自分でわかってたのに切れなかった。

なんで切れなかったのか。当時はわかってなかったけど、今思えば、「必要とされてる感」が欲しかっただけだと思う。LINEが来たとき、求められてる感がして、それが嫌じゃなかった。寂しかっただけ、って言えば一言で終わる話なんだけど。

体が正直すぎる問題、今でもたまに思い出す。

好きな人にはちゃんと感じたい、っていう理想があった。でも現実は、好きかどうかと感じるかどうかって、あんまり関係なかった。そっちの方がずっと傷ついたな、と今のわたしは思う。

当時のわたしは、本当になんにもわかってなかった。体だけが大人で、心はずっと追いついてなかった気がする。

まあ、そういう夜の話でした。

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