見出し画像

【現役IT技術者が選ぶ注目株 #10】NRIは「シンクタンク」だと思っていませんか?金融IT×AIで利益率20%目前の実力

野村総合研究所。

通称、

NRI。

この社名を聞くと、

「経済予測をしている会社」

「コンサルタントがレポートを書いている会社」

「ニュース番組にエコノミストが出てくる会社」

そんなイメージを持つ人も多いと思います。

確かに、それもNRIです。

しかしIT業界から見ると、かなり違う顔が見えてきます。

証券。

銀行。

保険。

資産運用。

セキュリティ。

IT基盤。

そしてAI。

実際、最新の2027年3月期第1四半期では、金融ITソリューションだけで1205億円を売り上げています。

全社売上2104億円の半分以上です。

つまりNRIは、

「シンクタンクの会社」というより、超高収益な金融IT企業

として見たほうが、株を見るうえでは分かりやすい。

現役IT技術者が選ぶ注目株。

第10弾は野村総合研究所〈4307〉です。



最新決算、まず営業利益率を見てほしい

2026年7月30日に発表された2027年3月期第1四半期。

売上収益は、

2104億5500万円

前年同期比、

+7.5%。

営業利益は、

417億1100万円

前年同期比、

+12.0%。

最終利益は、

292億1400万円

前年同期比、

+12.4%。

そして営業利益率は、

19.0%

19.8%

まで上昇しました。

これ、ITサービス会社として見るとかなり強い数字です。



SIerなのに営業利益率が約20%

私はここに一番注目します。

日本のSIビジネスでは、

人件費。

外注費。

大型案件。

不採算プロジェクト。

保守運用。

などが利益率を圧迫しやすい。

売上は大きくても、

利益率はそれほど高くない

という会社も珍しくありません。

ところがNRIは全社で19.8%。

さらに国内事業だけを見ると、

営業利益率23.0%。

かなり高い。

「IT企業は売上規模だけで比べてはいけない」

と感じさせる会社の一つです。



なぜNRIはこんなに利益率が高いのか

理由の一つが、

金融IT

です。

第1四半期の金融ITソリューションは、

売上収益
1106億円

1205億円

+8.9%。

営業利益は、

174億円

207億円

+18.9%。

営業利益率は、

15.8%

17.2%

まで上昇しました。

国内金融ITに限れば、

営業利益率20.6%。

証券、保険、銀行、その他金融のすべてで増収しています。

これは強い。



金融システムは「一度入ると簡単には変えられない」

IT技術者目線で考えると、金融ITには大きな特徴があります。

銀行や証券会社の基幹システムを、

「来月から別会社に替えます!」

なんて簡単にはできません。

データ。

インターフェース。

セキュリティ。

監査。

法規制。

業務フロー。

障害対応。

BCP・DR。

全部絡んできます。

しかも金融システムは、

基本的に止められません。

だから一度深く入り込むと、顧客との関係が長期化しやすい。

NRIの収益性を支えている重要な要素だと私は見ています。



そして、金融ITは今まさに「作り直し需要」がある

古いシステムをそのまま使い続けるにも限界があります。

メインフレーム。

古い言語。

オンプレミス。

複雑化したアプリケーション。

技術者不足。

これをクラウドや新アーキテクチャへ移行する、

モダナイゼーション

需要が増えています。

NRI自身も今回の決算について、

金融IT・IT基盤を中心に案件が活況で、AI活用を背景にしたモダナイゼーション案件が成長を牽引したと説明しています。

このテーマは数年で消えるものではないと思います。



AIが「売り物」だけでなく、NRI自身の利益を押し上げ始めた

ここが今回、私がかなり面白いと思ったところです。

NRIは第1四半期の増益要因として、

「AI駆動開発等による生産革新効果」

を挙げています。

つまり、

「お客様にAIを売っています」

だけではありません。

自分たちのシステム開発にもAIを使い、利益率を上げ始めている。

これは富士通編でも触れましたが、SI業界では非常に重要です。



AIでSEの生産性が2倍になったらどうなる?

たとえば従来、

10人で10カ月。

100人月。

必要だった開発があるとします。

AIによって、

7人。

8カ月。

で完成したらどうでしょう。

必要工数は56人月。

かなり減ります。

問題は、

その生産性向上分を誰が取るのか。

顧客が全部取れば、SIerの売上は減ります。

しかし提供価値に応じた契約やサービス型ビジネスに転換できれば、

SIerの利益率が上がります。

NRIはすでに高い利益率を持っている。

そこへAIによる生産革新が乗ってくる。

ここが面白い。



NRIは「AIをちょっとやる」レベルではない

そして2026〜2028年度の中期経営計画を見ると、かなり大胆です。

NRIは、

AIによるビジネス変革

を成長領域の一つに設定。

AIエージェント。

AI HUB。

既存システムのAIネイティブ化。

AI駆動開発。

などに、

3年間で800億円

を投資する計画です。

そしてAI関連売上を、

2025年度:約300億円

2028年度:3000億円以上

へ。

なんと、

10倍超。

数字だけなら、かなり攻めています。



「2028年には新規案件を全部AI関連に」

さらに面白いのがここ。

NRIは、

2028年には新規プロジェクトを全てAI関連にする

という方向性を示しています。

さらに2030年には、

すべての売上をAI関連にする

という構想まで掲げています。

もちろん、

「NRIが全部AI企業になる」

という単純な意味ではありません。

金融システム。

コンサル。

セキュリティ。

IT基盤。

これらすべてにAIが組み込まれる。

つまり、

AIが独立した事業ではなく、全事業の標準機能になる

という話でしょう。

私はこの考え方の方が現実的だと思っています。



AIエージェントも金融業務へ入ってくる

NRIは2026年3月、金融業界向けの業界・タスク特化型LLMの研究成果も公表しています。

AIエージェントに組み込んで金融業務で検証したところ、複数の業務で高い精度を確認したとしています。

私はここもNRIらしいと思います。

汎用AIをそのまま企業へ売るのではない。

金融なら金融。

証券なら証券。

保険なら保険。

業務知識をAIに組み込む。

これです。



AI時代ほど「業務を知っている会社」が強い

AIモデル自体は今後さらにコモディティ化していく可能性があります。

OpenAI。

Anthropic。

Google。

Amazon。

Microsoft。

モデルは選べる。

ではSIerは何で差別化するのか。

私は、

顧客業務をどこまで理解しているか

だと思っています。

証券会社の業務を知らない人が、証券AIを作るのは難しい。

銀行も同じ。

保険も同じ。

NRIには何十年も積み上げてきた金融業務の知識があります。

AI時代にそれがもう一度、価値を持つ可能性があります。



IT基盤サービスがさらに強烈

そして今回の決算でもう一つ見逃せないのが、

IT基盤サービス。

売上収益は、

522億円

576億円

+10.3%。

営業利益は、

88億円

110億円

+24.8%。

営業利益率は、

17.0%

19.2%。

デジタルセキュリティやデジタルワークプレイス事業が伸びています。

AIばかり注目されますが、

私はむしろ、

セキュリティが次の巨大需要になる

と思っています。



AIが増えればサイバー攻撃も増える

生成AIが企業に普及すると、

便利になります。

でも同時に、

攻撃も高度化します。

フィッシング。

マルウェア。

ソーシャルエンジニアリング。

脆弱性探索。

攻撃コード作成。

AIエージェントへの攻撃。

企業側もAIで防御しなければ追いつかなくなる。

NRIも中期経営計画で、デジタルセキュリティ売上を、

962億円

1280億円

へ伸ばす計画を掲げています。

国内では2000名体制の整備も進める方針です。

ここもかなり注目しています。



NRIの本当の強さは「考える→作る→運用する」

私がNRIを面白いと思う理由は、

コンサル会社でもあり、

SIerでもあり、

運用会社でもあることです。

普通は、

コンサル会社が戦略を作る。

SIerがシステムを作る。

運用会社が動かす。

という分業になります。

NRIは、

経営戦略

業務設計

システム設計

開発

IT基盤

セキュリティ

運用

まで持てます。

AI時代には、この一気通貫型はかなり強いと思っています。



ただ、完璧ではない

もちろん弱点もあります。

まず今回、

コンサルティング事業は増収ながら、

営業利益が8.7%減少しました。

AIコンサル案件自体は活況でしたが、公共案件の受注遅延などで稼働率が低下しています。

産業ITも、

売上+3.8%に対し、

営業利益は10.9%減。

新顧客・新領域案件で上流工程が多かった影響などが出ています。

全部が絶好調ではありません。



海外事業も課題

海外売上は281億円。

前年同期比+2.3%ですが、

営業損益は、

2億5700万円の赤字。

北米売上は14.4%減少しています。

NRIは国内では非常に強い。

だからこそ、

海外でも同じ収益モデルを作れるか

は長期的な課題でしょう。

国内金融ITだけで永遠に高成長できるわけではありません。



そして「高収益企業=割安株」とは限らない

ここは投資で最も重要です。

NRIは、

高収益。

金融ITが強い。

AI。

セキュリティ。

受注残高も増えている。

かなり魅力的です。

でも、

良い会社と、安い株は別物。

良い会社であることが市場に知られていれば、株価にはすでに相当な期待が含まれている可能性があります。

だから私は、

「NRIは良い会社だから買い」

とは考えません。

決算のたびに、

利益成長。

利益率。

受注。

AI投資の回収。

そして株価評価。

これを見ます。



受注残高は4204億円

ちなみに6月末の外部顧客向け受注残高は、

3842億円

4204億円

前年同期比、

+9.4%。

金融ITは+7.3%。

産業ITは+9.1%。

IT基盤は、

+26.1%。

将来の売上につながる受注が増えているのはポジティブです。

特にIT基盤の伸びは、

セキュリティ需要の強さを感じます。



私ならNRIの4つを見る

これからNRIを追うなら、私は次の4点を見ます。

① 全社営業利益率20%を超えられるか

現在19.8%。

ここを超えて定着するなら、かなり強い。

② 金融ITの利益成長

今のNRIの収益エンジンです。

③ AI関連売上3000億円への進捗

これは中計最大の注目ポイント。

④ デジタルセキュリティ

AIが普及するほど、こちらも伸びる可能性があります。



まとめ――NRIを「シンクタンク株」と思っていたら見えない

野村総合研究所。

名前だけ見ると、

調査。

経済予測。

コンサル。

そんな会社に見えます。

でも最新第1四半期では、

売上収益2104億円。

営業利益417億円。

営業利益率19.8%。

金融IT売上だけで1205億円。

そしてIT基盤サービスの営業利益は24.8%増でした。

さらに、

AI関連へ3年間で800億円投資。

2028年にAI関連売上3000億円以上。

新規プロジェクトのAI化。

セキュリティ強化。

かなり明確な成長戦略を出しています。

私はNRIを、

「シンクタンクがITもやっている会社」

とは見ていません。

むしろ、

「金融ITという強固な収益基盤を持ち、コンサルとAIで上流へ行ける高収益IT企業」

だと思っています。

そしてAI時代に重要なのは、

AIモデルそのものを作れる会社だけではありません。

企業の業務を理解し、

AIを基幹システムへ接続し、

セキュリティを守り、

24時間365日動かす。

そこまでできる会社です。

現役IT技術者が選ぶ注目株、第10弾は野村総合研究所〈4307〉。

SIerなのに営業利益率20%目前。

私は、この数字の裏側にある「稼ぐITの仕組み」に注目しています。

※本記事は特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事は noteマネー にピックアップされました

noteマネーのバナー