見出し画像

外注に頼らない、大学事務の内製化による効率化のリアル

「忙しすぎて改善に手をつけられない…」
会議やメール、書類作成、問い合わせ対応。毎日がタスクの波に押し流され、本当にやるべき仕事が後回しになっていませんか?

少子化で大学運営は厳しくなる一方、新しい取り組みや改善業務は増えるばかり。働き方改革で残業は削減。
──時間は減るのに、業務は確実に増えている。

この矛盾を解消するために、多くの現場が「効率化」に目を向け始めています。
でも、効率化=高額なシステムや外注…だけではありません。

今回紹介するのは、大学事務が“自らの手”で作り上げた内製ツール。
Googleフォームやスプレッドシートなど、身近なツールを組み合わせるだけで、予約業務のほぼ全てを自動化し、ダブルブッキングをゼロにした事例です。

「うちの職場には無理」と思う方こそ、一度覗いてみてください。
あなたの業務にも、すぐに応用できるヒントが詰まっています。



📉 業務効率化が求められる背景

少子化が突きつける現実

日本の大学は少子化の影響をもろに受けています。

  • 1992年:18歳人口は 205万人(ピーク)

  • 2025年:113万人(ピークの55%)

  • 2040年:80万人(ピークの39%)

進学者数の母数は確実に減少し、多くの大学で定員確保が難しくなります。
そのため今後、学生募集や魅力ある大学運営のため、大学職員に求められる役割はさらに拡大・高度化します。

出典
2022年以前:文部科学省「学校基本統計」
2023年以降:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)(出生中位・死亡中位)」

働き方改革による時間的制約

2020年、働き方改革関連法が施行され、職員の働き方も大きく変わりました。

  • 時間外労働の上限規制

  • 年次有給休暇の取得義務

制度は整いましたが、業務量は減らず、むしろ増加傾向。
結果として「限られた時間で、これまで以上の成果」が求められるようになっています。

出典:
厚生労働省「毎月勤労統計調査」
パーソル総合研究所・doda調査レポート
労働政策研究・研修機構(JILPT)
IZA調査レポート(国際労働経済研究所)
総務省・経産省・Wikipedia「労働時間の国際比較」

社会情勢が業務を押し広げる

上記に示すように、社会情勢が大学業務に与える影響は大きく、今後より一層、業務の幅は拡大し、高度化していき、業務量も変わらないまたは増大してきています。

皆さんは、以下のような目の前の“作業”に時間を奪われていませんか?

  • データの転記・整理

  • 進捗確認・更新

  • メールや申請の手作業

  • Excelの加工・集計

こうした作業が、本来注力すべき「考える・支える業務」を圧迫しています。学生支援、教育の質向上、研究環境整備──時間が足りない理由は明確です。

だからこそ、ツールの力を借り、「業務そのものの見直し」とセットで効率化を進める必要があります。


⚙️内製のススメ

効率化の手段として、真っ先に思いつくのは、大規模システムの導入や外部委託ではないでしょうか?
これも選択肢の一つです。大規模システムや外部委託は確かに有効な手段ですが、最初の一歩としておすすめしたいのが内製化です。

内製化とは?

外部委託せず、組織内で業務を完結させること。万能薬ではなく、あくまで効率化のための手段の一つです。

内製化のメリット

  • スピード感
    外部業者への依頼や調整が不要で、思いついたその日に試せる。修正や変更も即対応可能で、現場の声を迅速に反映できる。

  • コスト削減
    ExcelやGoogle Workspace、無料APIなど既存ツールを活用し、追加コストを抑えて運用できる。トライ&エラーも気軽に実施可能。

  • 現場に最適化
    実際の業務を知る人が設計するため、「かゆいところに手が届く」ツールを作りやすい。

  • ノウハウの蓄積
    作り方や改善方法が組織内に蓄積され、次の改善に活かせる。試行錯誤を通じてIT対応力や改善力が育成される。

内製化に向いている仕事

  • 繰り返しが多い業務
    繰り返し回数が多ければ多いほど、自動化による時間削減効果が累積的に大きくなる

  • ルールが明確な業務
    明確な処理手順があると自動化の設計がしやすく、内製でもミスなく作れる

  • ミスが起きやすい業務
    自動化の効果は高いものの、業務の中に属人性や例外が含まれていると、内製時の設計に工夫が必要

  • 関係者が少ない業務
    関係者が少ないと、導入の説明や調整がほぼ不要で、内製導入が進めやすい。改善効果を小さく検証し、徐々に広げるのに向いている。


📂 内製化の事例紹介 会議室予約システム

会議室の基本情報

私の部署が管理する会議室は3室。予約件数は月平均110件、繁忙期には250件を超えることもあります。

これまでの運用経緯

① 紙媒体での管理(2016年11月〜2017年2月)

  • 受付方法:電話、メール、窓口

  • 管理方法:紙台帳

  • 空き状況の確認方法:電話、メール、窓口

課題

  • 空き状況の問い合わせや予約連絡が多く対応が大変

  • 情報不足や不備によるやり取りが増加

  • 入力作業が煩雑で負担が大きい

  • ダブルブッキングや予約漏れが頻発

  • 予約状況をリアルタイムで確認できない

② Googleカレンダー+ポータルサイト管理(2017年3月〜2021年7月)

  • 受付方法:電話、メール、窓口

  • 管理方法:Googleカレンダー

  • 空き状況の確認方法:ポータルサイト

課題

  • 予約連絡は依然多い

  • 情報不足や不備によるやり取りが増加

  • 入力作業の負担は軽減されず

  • ダブルブッキングや予約漏れの可能性が残る

③ Googleフォーム+Googleカレンダー+ポータルサイト管理(2021年8月〜2022年12月)

  • 受付方法:Googleフォーム

  • 管理方法:Googleカレンダー

  • 空き状況の確認方法:ポータルサイト

課題

  • フォーム入力不備によるやり取りが多い

  • 入力作業の負担が依然大きい

  • ダブルブッキングや予約漏れが発生

  • 予約状況がリアルタイムで確認できない


✅ 現状の課題と改善案

少しずつ課題を潰しながら、改善してきましたが、今回の内製化システム導入前段階では、以下の3つの課題が残っていました。

  • フォームの情報の入力作業
    忙しいタイミングだと処理がなかなかできなく、予約状況がリアルタイムで反映されなくなる

  • 入力作業による人為的ミス
    予約フォームをGoogleカレンダーに入力する際に、人為的ミスにより、ダブルブッキングや予約漏れ等が発生する

  • 予約ユーザーとのやり取り
    空き状況を十分に確認しないまま予約への連絡、予約完了メールや申請不備への連絡対応が大変

これらの課題を解決するため、内製化による自動予約システムで達成したい要件を3つ挙げました。

  • 予約反映をリアルタイムで
    予約をリアルタイムに自動反映することで余計な問い合わせを防げる

  • 人の手はなるべく介さずに
    人間の処理ミスにより、予約間違い、ダブルブッキングや予約漏れが発生しない

  • ユーザーに自動連絡
    自動で予約完了や重複エラーの連絡することで、事務作業が軽減する

システムは既存ツール(Googleフォーム、スプレッドシート、Google Apps Script、Googleカレンダー、Gmail)を巧みに連携させて構築しました。

詳細は以下の記事をご覧ください。


🚀 業務効率化のために必要なこと

効率化に取り組む際、何から始めれば良いか迷う方も多いはず。
ここでは私が意識している3つのポイントをご紹介します。

①日々、疑問を持とう

まずは今取り組んでいる業務の内容や手順を正しく理解し、細かく分けて整理しましょう。できればマニュアルにまとめて説明できる状態にします。ただ単に作業としてこなすだけでは改善は難しいです。

次に、「この業務は本当に必要か?」「何のためにやっているのか?」「このデータはその後どう使われるのか?」など、疑問を持ちながら進めてください。この疑問こそ、効率化のヒントになります。必ずメモを取りましょう。

さらに、疑問から掘り下げて、「どこに時間がかかっている?」「何が問題か?」「影響範囲はどこまでか?」を洗い出すことで、改善点が明確になります。

こうして初めて効率化に取り組む準備が整います。準備を飛ばして進めると、かえって無駄な作業が増えることもあるので注意しましょう。

②他人事にしないで、まずは自分で使ってみよう!

「自分は詳しくないから」とツールやシステムを避けていませんか?
でも考えてみてください。他の仕事で「得意じゃないから」と誰かに全部任せるなんて通用しますか?システムも業務の一部。遠ざけていては、いつまで経っても効率化は進みません。

今のままで本当に大丈夫ですか?変わりたいなら、まずは自分から動くしかありません。

小さな一歩でいいんです。怖がらずに試してください。

  • ChatGPTで文章やコードを作ってみる

  • Excelの関数や条件付き書式を使ってみる

  • 紙の申請をフォームに変えてみる

※ちなみに、今回紹介した内製化事例もChatGPTがサポートしてくれています。

あなたも、まずは小さな一歩を踏み出してみてください。
試行錯誤しながら成長していくことで、必ず業務は楽になり、働きやすい職場づくりにつながります。

今こそ行動の時です。あなたの変化が、職場全体の未来を変えていきます。

③現状維持は衰退である

業務効率化の最大の敵は、「例年通り」や「これで十分」といった考え、つまり「考えないこと」です。

松下幸之助は言います。
「うまくいっているから十分だ」と安心することは、すぐに退歩につながる。今日より明日、明日よりあさってと、日々新しい改善を心がけるべきだ、と。

福沢諭吉も「学問のすゝめ」の中で説いています。
「進まざる者は必ず退き、退かざる者は必ず進む。進まず退かずの停滞は許されない。」

そしてウォルト・ディズニーはこう語りました。
「ディズニーランドはいつまでも未完成である。現状維持は後退にすぎない。」

これらの言葉は、変化の激しい現代においても色あせることはありません。

現状に甘んじて動かない限り、周囲はどんどん先に進んでしまいます。今こそ、新しいことに挑戦し続ける勇気を持ちましょう。

あなたの小さな改善が、組織の未来を大きく変える第一歩です。


まとめ:現状維持はもう終わり。内製化で生まれる未来の大学業務スタイル

内製開発は、特別なシステムではなく、現場のちょっとした工夫と身近なツールの活用から生まれる“小さな革命”です。

日々の繰り返し作業に目を向け、少しずつ改善を重ねることで、大きな時間と労力の節約につながります。今回の事例のように、Googleフォームやスプレッドシートなど無料ツールで、人手に頼っていた作業を自動化できます。

何より大切なのは「自分たちで作り、改善していく」姿勢です。内製化は業務理解を深め、現場に最適な仕組みを築くことで、組織全体のIT力と問題解決力を高めます。

その結果、本来注力すべき学生支援や教育・研究環境の充実に時間を使えるようになり、大学の使命を果たす力が強まります。

変化が激しい今こそ、現状維持ではなく、日々の小さな改善から始めることが未来への第一歩。今日の「ちょっとした不便」に気づき、まずは試してみてください。

あなたの職場でも内製化による“小さな革命”を起こし、より良い未来を創りましょう。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました!
少しでも「いいな」と思ってもらえたら、「スキ」「フォロー」「チップ」で応援していただけると嬉しいです。どれも今後の活動の励みになります✨

note以外でも様々な活動をしていますので、よかったら下記のリンクからのぞいてみてくださいね。

それでは、次の更新もお楽しみに〜♪


~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~

▼おすすめグッズ紹介【楽天ルーム】はこちら

▼LINEスタンプ販売【LINE STORE】はこちら

▼中古品販売【メルカリ】はこちら

~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~⁂~

いいなと思ったら応援しよう!