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香水・タバコの匂いが強烈すぎて、試着した服にまで匂いが移ってしまうお客様。断るわけにもいかないので、ただ耐えるしかない。

接客業をしていて、地味につらい瞬間というのがあります。

そのひとつが、強烈な香水やタバコの匂いを身にまとったお客様の接客です。

試着室にお通しした瞬間、空間ごと匂いが変わる。試着が終わって戻ってきた服には、しっかりとその匂いが移っている。「これ、もう売り物として出せるのかな」と内心思いながら、表向きは「ありがとうございます」と笑顔で受け取る。あの瞬間の、なんとも言えない気持ち。今日はそれを正直に書いてみます。


試着室から、匂いが「先に」出てくる現象

これ、現場にいる人なら共感していただけると思うのですが、お客様が試着室に入った瞬間、匂いがカーテンの隙間から漏れ出してくることがあります。

タバコの匂いは独特で、煙そのものの匂いというより、服や髪に染み付いた「ヤニ」の匂いが、密閉された試着室の中で一気に濃縮されます。香水も同じです。強い香水を何プッシュもしている方の場合、試着室全体がその香りで満たされ、しばらく次のお客様をご案内できないこともあります。

「強烈」というのは、決して大げさな表現ではありません。本当に、空間の空気が変わるレベルの匂いです。


戻ってきた服を見たときの、複雑な気持ち

試着が終わって、お客様が「これ、サイズぴったりでした」と笑顔で服を返してくださる。本来であれば、こちらも嬉しい瞬間です。

でも、その服を受け取った瞬間、強烈な匂いがこちらにも移ってきます。「これ、もう一回洗わないと店頭に戻せないやつだ」と、心の中で静かに察知します。

特にウールやニットなど、匂いが染み込みやすい素材だと厄介です。一度ついた匂いは、簡単には抜けません。陰干しをしたり、消臭スプレーをかけたり、場合によっては一定期間バックヤードで管理してから店頭に戻す、ということもあります。

これ、地味に手間と時間がかかる作業です。お客様には一切伝わっていない、見えない裏側の苦労です。


「断れない」というジレンマ

ここが一番のジレンマです。

「申し訳ございませんが、匂いが強いので試着はご遠慮ください」——そんなことを、面と向かって言えるわけがありません。

お客様は、商品を選んで、試着して、購入を検討する権利があります。匂いの強さを理由に試着を断るというのは、よほど特殊な事情がない限り、現実的な選択肢ではありません。

だから、現場でできる対応は、ひたすら「受け入れる」ことだけです。試着していただいて、商品が戻ってきたら、裏側でできる限りのケアをする。それだけです。

正直、これは結構なストレスです。「自分にはどうすることもできない」という状況そのものが、地味に精神を削っていきます。


香水・タバコの匂いに、罪はない。でも度合いの問題

ここで誤解しないでいただきたいのですが、香水をつけること自体、タバコを吸うこと自体に、何の問題もありません。

香水は身だしなみのひとつであり、好きな香りをまとうことは個人の自由です。タバコも、合法な嗜好品であり、吸う人を否定する権利は誰にもありません。

ただ、問題はその「度合い」です。

香水を何プッシュも重ねづけしている場合、その香りは想像以上に遠くまで広がります。本人は慣れてしまって気づかないことが多いのですが、周囲の人にとっては、かなり強烈に感じられることがあります。タバコも同様で、吸ってすぐの状態というのは、本人が気づいている以上に、匂いが衣服や髪に強く残っています。

つまり、問題は「香水・タバコそのもの」ではなく、「自分がどれだけ匂いを発しているか」に対する自覚の有無、ということになります。


現場で見かける、ちょっとした「匂い格差」

不思議なことに、強い匂いをまとっているお客様ほど、その匂いに無自覚なことが多い気がします。

毎日同じ匂いに包まれていると、自分の中で「普通」の基準になってしまい、それがどれくらい強いのか、客観的に判断しにくくなるのだと思います。これは香水やタバコだけでなく、人間の「匂いへの慣れ」という生理現象として、ある程度仕方のないことなのかもしれません。

一方で、匂いに対して非常に気を使っているお客様もいます。試着の前に「匂いが強いものをつけているので、もし服に匂いがついたら教えてください」と、わざわざ声をかけてくださる方もいます。こういう一言があるだけで、こちら側の受け止め方は全然変わります。

匂いの強さそのものより、その「気遣いの有無」のほうが、接客現場では大きな印象の差になっています。


それでも、笑顔で「ありがとうございます」と言う

結局、現場でできることは限られています。

どれだけ匂いが強くても、それを理由に接客の質を落とすことはできません。試着室の換気をこまめにする、消臭剤を常備する、戻ってきた商品はすぐにケアする——こうした地味な対応の積み重ねで、なんとかこの問題と付き合っていくしかないのが現実です。

「断るわけにもいかない」という前提がある以上、現場のスタッフにできることは、表では変わらず丁寧に対応し続け、裏側で黙々とケアをする、その二枚構えだけです。

正直、これは接客業の「見えない大変さ」のひとつだと思っています。お客様には絶対に伝わらない、伝える必要もない苦労。でも、こうして文字にすることで、少しだけ吐き出させてもらいました。


まとめ:匂いは、自由でいい。でも少しだけ、自覚を持ってもらえたら

香水もタバコも、個人の自由です。それを否定する権利は誰にもありません。

ただ、もし可能であれば、自分がどれくらいの匂いを発しているか、少しだけ意識してもらえたら——現場で働く人間として、そう思うことがあります。

試着室というのは、自分だけの空間ではなく、その後に使う人もいる、共有された場所です。そのことを少し頭の片隅に置いてもらえるだけで、現場の負担はかなり軽くなります。

今日はちょっと毒のある内容になりましたが、これも接客業のリアルな一面として、知っておいていただけたら嬉しいです。

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