【ショートショート】 私、どろんします 《アマノ文筆クラブ》
始業前の朝礼。
「おはようございます!」
「おはようございます!」
「早いもので1月も終わり、今日から2月となりました。月日が経つのはあっという間です。後になって悔いを残さないよう、一日一日しっかりと業務にあたって下さい。本日もよろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!」
「まぁ、営業事務の山下さんは先日彼氏とこっぴどい別れ方をしたそうですが、それでも時間は戻りませんし、止まることもありません。
参考になるかはわかりませんが、私も以前4年付き合った彼女に『私、どろんします』と言われてフラれたことがあります。
これですね、どろんといっても忍者のあのどろんじゃないんですよ。よくよく聞いたらDolonとsimasだったんです。そのとき言われた言葉を正確に伝えると『私は7815Dolonにsimasを持っていかなければならないから、あなたとは別れるわ』と、こう言われたんです。
つまりですね、7815号木星トロヤ群小惑星Dolonに1955年創業イタリアの衛星用品メーカーsimasのトイレを設置しに行かなければならないからあなたとは別れますと、4年付き合った彼女にそう言われたんです。
あの、不幸マウントとっているとか思わないで下さいね。これ、ガチで言われたんですよ。(*フィクションです)
で、一応聞いたんです。木星までってどれくらいなの?って。そしたら、『う〜ん、一番早いロケットで片道最短18ヶ月かな』って、チャリで15分ぐらいかな、みたいなノリで言われまして。
あの〜…ここがイヤならイヤとはっきり言ってほしかったというか、これ、どういうリアクションをすればよかったんですかね? まぁ、かれこれもう10年以上も前の話ですが、いまだにどう対応をすればよかったんだろうと思わない日はありません。
こうしたことでも糧にしなければなりません。糧にして、働き、生きていかなければならないのです」
*こちらに参加させていただきました🙇♂️
