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【ショートショート】 現金な奴 《アマノ文筆クラブ》


空港。チェックインカウンター。列を作る乗客たち。各便のアナウンスがターミナル構内に響く。
「お次のお客様」
「鹿児島行き382便〇〇です」
「かしこまりました。確認しますので少々お待ち下さい」
PC画面を確認する職員。
「お客様、大変恐れ入りますが、こちらの搭乗券のご購入は現金でお願いしたく思います」
「エッ? もうクレジットカードで払いましたが」
「ええ、そちらの支払いは一旦キャンセルとさせていただきました。現金でお願いします」
「いや…そうすると手持ちがギリギリで。ていうか、このキャッシュレスが謳われる時代になんでそこまで現金にこだわるんですか?」
「足がつくからです」
「足がつくから!? あの、なんかマフィアとか裏の世界みたいな言い方ですけど、そちら非合法組織かなんかなんですか?」
「表向きはホワイトです」
「表向きは!? じゃあ裏は?ってめちゃくちゃ気になるワードですけど、危ないことには絶対に巻き込まれたくありませんからね」
「失礼ですが、ご旅行の目的は?」
「里帰りですけど」
「なるほど、追っ手を逃れるための潜伏ですね」
「言ってない、言ってない。そんなことなんにも言ってませんよね。まぁ、現実という追っ手から逃れるための一時潜伏と言えば、そう言えなくもないですけど、拡大解釈にもほどがありますよね」
「そちらの紙袋の中身は?」
「えっ? ただのお土産ですけど」
「運び屋の方でしたか。大変失礼しました」
「言い方、言い方。こっちの社会的信用が著しく損なわれる言い方。あの、お土産持ってくだけで運び屋とか言われたら、温厚そうな鳩サブレでも全力で怒り出しますよ、多分」
「恐れ入りますが、ボディチェックをさせていただきます」
「いいですけど、なんもありませんよ。ていうか、そんな危険人物に見えます? 残念ながらリーアム・ニーソンほど渋くもないし、デンゼル・ワシントンほど知的でもないし、セガールほど強くもないし。自分で言っててちょっと悲しいですけど。
 あの、ほんとに現金払いだとヤバいんで、今回のフライトはキャンセルさせてもらえます?」
「任務途中での離脱は承認できません」
「えぇ〜…やめて、里帰りを任務言うの。なんかめっちゃ虚しくなってくるわ」








*こちらに参加させていただきました🙇‍♂️



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