【詩のようなもの】 或る母子の思い出 《3つのお題に空想のひらめきを第57回》

鉄道の運転士をしていた父を
早くに亡くしたんです
それから母は
家政婦の仕事をして
私を育ててくれました
収入を多くするために
当時の家政婦には
24時間契約があって
その家の子供が熱を出すなど
緊急のときには
夜中に呼ばれることも
ありました
なので母は
大体ソファーで
寝るようにしていましたね
土日も仕事のことが
多かったですから
家族で旅行に行ったことも
ありません
母も
気にしていたのでしょう
他の子たちと同じような
思い出を作ってやれないこと
仕事の合間を見つけて
デパートに
連れて行ってくれました
私はまだ幼かったから
おもちゃ屋さんのことを
オーロラの駅
キラキラした
シャンデリアのあるロビーは
星降る丘の時計台
屋上のミニSLを
朝焼け色の汽車
なんていう風に
無邪気に思っていました
アイスクリームを買ってもらい
少し淋しそうに
微笑う母と並んで
ビルの街の
そんな想いを全て
透かしてしまうような
空を見上げる
私にとってデパートは
そういう思い出の
場所でした
《長きに渡る御愛好
誠にありがとうございました》
そう言いながら
頭を下げて閉店していく
百貨店のニュースを見ると
自分の中の
一番柔らかいままの部分を
きゅっと掴まれたような
そんな気が
今でも
してしまいます
*こちらに参加させていただきました🙇♂️
お題:
オーロラの駅
星降る丘の時計台
朝焼け色の汽車
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