【詩のようなもの】 Draco post pluviam 《3つのお題に空想のひらめきを第51回》


私は以前
Draco post pluviam
雨上がりのドラゴンという
組織で
密入国のビジネスに
関わっていました
不法移民たちを
トラックや船に乗せ
目的の場所まで
連れて行きます
密入国の道のりは
とてつもなく過酷です
トラックなどのコンテナに
潰されそうなほどの人数が
押し込まれ
食事や休憩も
まともに与えられないまま
長く険しい距離を
移動します
取り締まりを
避けるため
あらゆる工夫をします
ルートを変え
ダミーのコンテナを
用意するなど
幼い子供もいるので
泣かれてしまうと
失敗のリスクが
高くなります
あまり派手には
できませんが
コンテナの側面に
動物の絵などを
描いていましたね
5年前
Draco post pluviamのコンテナが
摘発されたとき
当時7歳の男の子と
6歳の女の子が
亡くなりました
死因は
極度の栄養失調でした
こうしたケースは
珍しくはありません
密入国業者は
人々をできるだけ生かして
届けさえすればいい
摘発を逃れるための
コストもあるため
不法移民の健康状態は
優先順位が低いのです
その子たちは
別々のコンテナに
乗っていました
男の子は
月の描かれたコンテナに
女の子は
傘の描かれたコンテナに
ただ二人は
自発的な
移住希望者ではなく
親も居場所もない
孤独な存在
つまり
人身売買のために
連れてこられました
証言によると
二人は
年の近い子供たちに
お話しを
聞かせていたそうです
例えば
雨が止んだ
おつかいの帰り道
空を見上げると
虹が
七色の扉になっていました
その扉をくぐると
お星さまのすぐ近くに出たのです
雨の日の長靴を履いたまま
月のブランコや
土星のすべり台で
たくさんたくさん遊びました
人身売買の対象には
劣悪な環境に置かれた子たちが
多くいます
もともとの栄養状態が悪く
この二人も
痩せ細っていた
それでも自分と
周りにいる子たちが
怖くないよう
空想のお伽噺を
話し続けた
それゆえの
死でもあったのではないかと
考えています
おそらく
コンテナの月と傘から
連想した話を
聞かせていたのだろうと
思います
二人の
痩けた死に顔を見て
もうこれ以上は
続けられないと
思いました
良心に
目覚めたわけじゃない
私の心身が
限界だっただけです
いったいいつまで
こんなことを
続ければいいのか
こんな光景を
見続けるのかと
このような場面を
見る度に
以前
たまたま知人が持っていた
日本の線香花火を
思い浮かべます
夜の闇にほんのりと
確かに色を変えながら
いっとき小さく
浮かんでいる
日本ではポピュラーな
ものだと聞きました
あの子たちは
その輝きを
ほとんど誰にも知られずに
去っていって
しまうのです
私はもちろん
批難されるべき
存在でしょう
子供も成人も
誰のことも
ほとんど人間らしく
扱ってこなかった
ですが
一つだけ教えてほしい
あなた方は
彼らに何を
与えましたか
私と彼らは
出会うべきでは
なかったのかも知れない
それでも現実には
新たな地という
希望を持ちたい人々や
消えても
誰の気にも止まらない
子供らが
毎日のように
組織の元へと
やってきます
あなたたちが思い描く
希望とは
どのようなもので
それは誰に
届いていますか
*こちらに参加させていただきました🙇♂️
お題:
月のブランコ
雨上がりのドラゴン
七色の扉
雨の日の長靴
おつかいの帰り道
線香花火
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